2025/01/03 15:00
「北海道生活」編集長
流氷を求めて、ニポポちゃんとJR「流氷物語号」に乗ってみた。
※取材は2024年3月に行なわれたもので、2025年度は変更になる場合があります
「北海道生活」冬号では、特別企画として冬の限定列車「JR流氷物語号」をご紹介。
日本で唯一流氷が見られるオホーツク沿岸沿いを走る列車の旅をしてきました。
流氷におおわれる、オホーツクの冬。
2月から3月初旬の限られた期間に、JR釧網(せんもう)本線の網走駅から知床斜里駅を走る「流氷物語号」は、オホーツク海の沿岸を見ながらの小さな旅が満喫できる2両編成の観光列車です。
車内は昔ながらの雰囲気を残す座席に、テーブルが付いているボックス席もあります。
網走駅から出発、カニのお面を付けた地元の方が、手を振ってくれました。
列車によって、途中で北浜駅と浜小清水駅のいずれかで停車します。
北浜駅では隣接する展望台からの眺めが絶景で、流氷の撮影ポイントとなっています。
浜小清水駅には道の駅「葉菜野花(はなやか)小清水」があるので、地元の特産品などお買い物が楽しめます。
「流氷物語号」を往復して乗れば、両方に立ち寄れるのでおすすめですよ。
車内ではボランティアによるアナウンスが流れていたり、写真を見せながらあたり一帯のようすを教えてくれたりと、車窓の風景とともに心地いい時間が過ごせます。
流氷と言っても氷が浮かんでいるものですから、その日に見られるかどうかはわかりません。
ややグレーがかった冬のオホーツク海にじっと目を凝らしていると、やがて眼前いっぱいに真っ白い流氷が! びっしりと海をおおいつくす流氷は、一度は目にする価値ありです。
ニポポとともに車窓の旅を楽しんで
ニポポは網走を代表する木製の人形です。「ニポポ」とは樺太アイヌの言葉で「小さな木の子供」という意味。アイヌの人たちのお守りで、今は網走刑務所でおみやげ用に制作されています。
網走駅には駅弁屋さんのみで売店がなかったので、隣の観光協会の建物に入ると、絵葉書とともにニポポ人形が売られていました。
そういえば、網走流氷観光砕氷船おーろらのフェリーターミナルでも見かけたな……と、おみやげに買ってみました。
取材終了後、駅弁屋さんで買った「帆立弁当」とともに……。
呑み鉄の方には、青い発泡酒でおなじみ網走ビールの「流氷ドラフト」とジャガイモ焼酎「清里」の水割りとともに……。
こちらのお酒は途中下車した道の駅「葉菜野花(はなやか)小清水」で買いました。(取材中なので飲めず、持って帰りました)
ずっとニポポと一緒にいたら、なんだか守られているようなホッとする気持ちになりまして、誰かにプレゼントするつもりが情が移ってしまい、結局ニポポと一緒に帰ることにしました。
この日は流氷がないという予想だったのですが、無事撮影できたのも、ニポポのおかげかもしれません。
知床斜里駅へ到着。往復して流氷を満喫するもよし、ここから釧網本線を使って釧路へと足を延ばすのもおすすめです。
冬は蒸気機関車が走る!釧網本線と駅舎カフェ
道東を通る釧網本線、冬には「SL冬の湿原号」も走ります。2000年から運行しているので、2025年でちょうど25周年。
オホーツク海を沿って走る「流氷物語号」と、釧路湿原の中を走る「SL冬の湿原号」は、どちらも大人気の観光列車です。
この釧網本線には、歴史のある駅舎カフェがいくつか残っています。
北浜駅/停車場
止別駅/えきばしゃ「ツーらーめん(塩)」
止別(やむべつ)駅にあるラーメンきっさ「えきばしゃ」は、店主の菊地さん亡き夫の想いを引き継いで長年つづけているラーメンと喫茶のお店。
今では娘さんやスタッフなど、元気な女性たちと一緒に店を切り盛りしています。
名物は、白髪ねぎとチャーシューの2種類が入った、その名も「ツーらーめん」。
取材の最後に、オホーツクで昔よくつくられていた「でんぷん団子」を出していただきました。
今では食べられるお店はほとんど見かけないので、こちらもおすすめですよ。
川湯温泉駅/オーチャードグラス「ハンバーグランチ」
川湯温泉駅にある「オーチャードグラス」は、昔の風情を残す建物の奥が、まるで鉄道ミュージアムみたいになっています。
鉄道ファンならずとも楽しくなるレトロな店内では、マスターの竹山さんがつくるハンバーグやビーフシチューが人気です。
3年前に取材した藻琴駅の「軽食&喫茶トロッコ」は、すでに閉店してしまったそうで残念です。
名物は「田舎カレー」で、かつて地域でよく食べられていた、さつま揚げ入りのカレーでした。
こちらで紹介したのは、すべて無人駅。観光列車で楽しむだけでなく、普通列車に乗って、駅に降りてみて、ランチやコーヒーをのんびりいただく時間もいいですよ。
(「北海道生活」編集長)
※この記事は「北海道生活」本誌2024年冬号より一部転載しています。