2024/11/21 15:00
北海道生活
ハーバルライフ|クリスマスに向けて続くリースなどのクラフト
今回は、クリスマスに向けてまだまだ続くリースづくりや、ポマンダーづくり講座の様子などをお伝え。
このコーナーでは、香りを持つ植物の魅力に惹かれて、育てる、眺める、味わう―、日々の出来事をハーブ研究家のかりのあさのさんがつづります。
取材協力:かりの あさの さん(herbarist・ハーブ研究家)
紅葉シーズンがすぎ、札幌では11月初旬に初雪もそれなりに積もって、いよいよ冬へと季節がシフトしてきました。タイヤ交換も済ませて、雪かきスコップを玄関にスタンバイ! 北海道の一軒家では、玄関フードなどに数種類の雪かきスコップを並べてスタンバイさせるのが冬恒例の風景なんですよ(笑)。
さて、前々回からスワッグやリースづくりの様子をお伝えしてきました。その後もまだまだリースづくりが続いています。また、自宅講座を今年から再開し、申込みをいただいた皆さんと一緒に連日制作に勤しんでいるところです。今回は、そんな様子をお伝えしていきますね。
自宅工房の壁には制作したばかりのリースがずらり
個人宅用のオーダーのリース制作はほぼ終わり、今は店舗用のリースとスワッグ、教会に飾るリースの準備をしています。店舗やレストランの店内、ホテル内のレストランの店内用と、それぞれの玄関先に飾るリースなどさまざまです。お店の客層や照明、壁色などを意識して色合いや花材の種類、サイズを選び、ある程度のテーマを決めて着手していきます。
趣味でつくっていた頃とは違い、依頼先や利用者の皆さんに喜んでいただけるよう、その空間に馴染んで、そこに集う皆さんの目にも留まるように意識しています。そして、「自分らしさ」もそこにちょっとプラス。
例えば、ニセコにあるレストランの玄関用には、大きなドアに合わせて大きめのリースを。クリスマスが過ぎても壁に飾ってオールシーズンお客様を出迎えられるように、どのシーズンでも違和感がないような花材を使っています。
黄色系の花と赤いローズヒップが、白い枝ものにも映える。大きなドアに飾られたリースに、きっと目に留まるはず
同じ敷地内にあるショップの入口用に制作したリースは、オレンジ色とスケルトンの葉で、爽やかなイメージに仕上げました。訪ねて来られるお客様を、明るく、爽やかに出迎える演出です。
オレンジ色の花(カイザイク)と綿の実、スケルトンの白い葉を相性よくまとめている。白やゴールドの飾りはアクセントに
また、ニセコのホテルに入っているレストランには、インバウンドのお客様の利用も多いので、エントランスに飾るリースはゴールド系を多様して、落ち着きのある華さを演出。美味しい料理を楽しむ時間をゆっくりと過ごしていただけたら嬉しいですね。
通路用には、ニセコの自然を感じるようなウッディ系で、邪魔にならない小さめサイズのリースを。白い壁にも映えるようにしてみました。
ゴールド系のゴージャス感と、花材はシルバー・ブルー系にまとめて落ち着いた雰囲気
ウッディー系の色味の素材を利用。シナモンやクチナシの実も使用し、香りもほのかに感じる
洋食レストランの店内用には、赤いローズヒップとゴールド系、黄色系を合わせて制作したリースを。赤・オレンジ・黄色などは、食欲も促してくれますね。
クリアラッカースプレーをかけるとローズヒップがツヤツヤと、ゴールドの花材と相まってゴージャスな雰囲気も。ディナータイムには、照明を受けて存在感が増しそうです。
※クリアラッカースプレーをかけるときは、必ず戸外で作業してください。噴霧すると退色が遅くなり、きれいな色味を長く楽しめます。
赤いローズヒップと黄色の花材(リューカデンドロン)、ゴールド系の飾りを合わせたリース
同じような色味にまとめているけれど、使う花材を変えるとまた違った雰囲気のリースに
いろいろご紹介してきたスワッグやリース。手づくりして楽しむ際には、花材やデザインなどの参考にしていただけたら嬉しいです。
先日、スワッグをつくる自宅講座を行ないました。工房で皆さんと一緒に、花材をふんだんに使ってスワッグづくりを楽しみ、自宅に帰ってから飾る嬉しさもあって、ワクワクする時間を共有しました。1人でつくるより仲間と一緒につくるのは楽しいものですね。
玄関先の装飾にするということで、きっと華やかな演出を楽しめますね。
スワッグづくりに取り組んでいるところ
ボリュームいっぱいのスワッグができあがり! 完成後に記念撮影
工房では紐(ひも)に生花を吊るし、ドライフラワーにしながら制作しています。庭シーズンのうちに準備してきたものや、新たにお花屋さんから調達した切り花なども利用しています。
工房の天井はドライフラワーでいっぱい
毎年欠かさずに使う花の一つがエリンジウム。花色の褪色がほとんどないことと、落ち着いた色合いのブルーがほかの花材と相性がいいのです。
エリンジウムは、ブルーの色味や花の姿・質感も魅力的な花材
最近では、リースやスワッグをオールシーズン飾っている方も増えているので、その場合は木製の花(バラ)が重宝しています。着色されているのでドライにしたバラよりも色持ちが長く、形の崩れが少ないのも魅力です。今年は、店舗用の作品に多用しています。
バラを模った木製の花材。色も選べて便利
そして、もう一つ。先日、ポマンダーづくりの講座がサッポロさとらんどで開催されました。申し込みが多数あり、枠を増やして皆さんに参加いただきました。
ポマンダーづくり講座の様子。黙々と作業しているところ
ポマンダーは中世の頃からヨーロッパで広く伝わってきた、クリスマス時期の定番の飾り。病気の予防や魔除けの効果を期待して、もともとは修道院が腰に吊るしていたものともいわれています。
ポマンダーは、柑橘系の果物(くだもの)や小さめのリンゴに、スパイスのクローブを挿してつくります。今回は、生のレモンとクローブを材料に使いました。そのほか用意するものは、マスキングテープ、竹串、吊るすための装飾用リボンなどと、最後にポマンダーに塗すシナモンパウダー。
作業後のイメージはこんな感じ。最後にリボンなどをあしらって、素敵なポマンダーに
はじめに作り方を説明して、さっそく作業スタートです。
最初に、ポマンダーを吊るすためのリボンなどの装飾を巻く部分に、十字状にマスキングテープを貼ります。レモンの表皮に竹串で果汁が出るよう穴を開け、その穴にクローブを挿し込んでいきます。レモンは時間の経過とともに果汁が蒸発し縮んでいくので、クローブは詰め過ぎない程度に挿すのがコツ。
竹串で穴を開けながら、1列ずつ順にクローブを挿していく
クローブの殺菌抗菌作用も相まって、レモンは腐ることなく乾燥が進み、ポマンダーとして何十年も状態を保てるものになります。
全ての面にクローブを挿し終えたら、シナモンパウダーを全体に塗してできあがりです。あとはリボンで結んで、飾りながら乾燥させていきます。
シナモンパウダーを全体に塗す。ビニール袋に入れて塗すのも便利
ポマンダーはレモン以外に、すだちやカボスなどの柑橘類や、かためのリンゴなどでもつくることができますので、チャレンジしてみてくださいね。
プロフィール
かりの あさの
herbarist・ハーブ研究家。北海道札幌市内に在住。ハーブやアロマの指導員などの資格を有し、30年以上植物と向き合い得た知識・経験をもとに、企業のアンバサダーや商品開発に携わる。また、さまざまな講座開催や公共の場での「みどりのまちづくり」のサポートなど、幅広く「ハーブのある暮らしの魅力」を伝えている。
・かりのあさの lit.link(リットリンク)https://lit.link/karinoasano
HP「ハーブまるごと活用生活」、Facebook「かりのハーブcom」やInstagram「karinoherb」をまとめて掲載中