2024/11/15 15:00
北海道生活
ポタジェ|ホワイトセージのお香など楽しみ方と鉢上げの方法
「聖なるハーブ」と呼ばれるホワイトセージ、その楽しみ方や鉢上げについてご紹介。
このコーナーでは、季節ごとの野菜やハーブ、花や果樹など、相性のよいコンパニオンプランツを組み合わせながら育てて楽しむ“ポタジェのある暮らし”を紹介していきます。お料理や花のクラフトも。
文・写真:藤井 純子さん(ピュア・ポタジェ代表)
今回は「聖なるハーブ」と呼ばれる、ホワイトセージの利用法と鉢上げの方法などを紹介したいと思います。
「聖なるハーブ」と呼ばれるホワイトセージ
◆『ホワイトセージ』
学名:Salvia apiana
原産地:アメリカ南西部、メキシコ北西部
植物分類:シソ科、常緑低木
生育温度:10~30℃ 耐寒温度:マイナス10℃まで
栽培環境:高温多湿に弱いため、日当たりがと水はけがよい乾燥気味の場所が適しています。
※生育温度や耐寒温度は栽培環境によって異なりますので、目安として参考にしてください。
ホワイトセージの利用
~パワーストーンなどの浄化、香りを楽しむ
ホワイトセージは、古くからネイティブアメリカンの人々が神聖な儀式に使用してきたといわれています。現在は、主に乾燥した葉に火をつけ、立ち上る煙で天然石のブレスレットなどを浄化したり、瞑想やヨガをするときの空気の浄化などに使われることが多いハーブです。ホワイトセージはコモンセージの仲間ですが、ホワイトセージの香りは強いため、料理にはコモンセージを使うのがおすすめです。
●葉を乾燥させる
茎から葉を切り取り、重ならないようにキッチンペーパーなどに広げて乾燥します。一般的なハーブは1週間ほどで乾燥しますが、ホワイトセージは葉に厚みがあるため、2週間ほど乾燥するとよいでしょう。
葉に厚みがあるホワイトセージは、2週間ほど乾燥しましょう
●乾燥した葉に直接火をつける方法
乾燥した葉にライターなどで火をつけると煙が立ち上ります。ブレスレットを浄化する場合は、煙にかざすようにします。葉の状態によってはすぐに煙が出なくなる場合があります。
※火の取り扱いには充分に注意してください。
ホワイトセージは香りが強いため少量を利用する
●炭を利用する方法
炭をおこして灰を熱し、間接熱で練香や香木など香りを楽しむ方法に「空薫(そらだき)」という方法があり、それを応用した方法です。ホワイトセージの葉は、直接火をつけても途中で消えてしまう場合がありますが、空薫用の炭や灰を利用すると途中で消えることなく最後まで燃えてくれます。
※火の取り扱いには充分に注意してください。
[ 用意するもの ]
・炭(*)
・灰(*)
・香炉や耐熱容器
・ピンセットや火箸
・ライター
*空薫(そらだき)用の炭や灰は、仏具店やお香などを取り扱っているお店で購入できる。
[ 香りを楽しむ空薫(そらだき) ]
1.今回は耐熱の容器「ココット」を使用し、灰を入れます。ピンセットで炭を持ち、ライターなどで火をつけ炭をおこします。
耐熱のココットをうつわに使用
炭を持つときはピンセットなどを利用し、火をつける
2.炭がおきたら灰の上に置きましょう。乾燥させたホワイトセージの葉を置き、香りを楽しみます。
炭に火がついたら灰の上へ
ホワイトセージの葉を炭の上にのせ、燃やして香りを楽しむ
ホワイトセージのお香は、コモンセージにローズマリーやユーカリがプラスされたようなスパイシーな香りが漂います。香りが強いのも特徴なので、少量を楽しむとよいですね。
ホワイトセージを鉢上げする方法
冬期間、マイナス10℃以下になる北海道などの地域では、ホワイトセージは地植えにしたままでは越冬できないため、10月末~11月初めに掘り上げ、鉢に植えて室内で管理をします。
室内に置くため小さめの鉢がよいでしょう。スリット鉢は根が伸びやすく生育がよくなるのでおすすめです。
[ 用意するもの ]
・鉢(小さめの鉢)
・培養土(清潔な土)
※必要に応じて鉢底石も用意
[ 鉢上げの仕方 ]
1.植物を掘り上げます。根を傷めないように注意しながらシャベルなどで堀ります。掘り上げた根にたくさん土がついている場合は、鉢に入る程度まで土を落としますが、根がむき出しにならないように注意しましょう。
植物を掘り上げる
2.葉を剪定する(枝数を調整する)。葉は少なめにすると扱いやすくなるので剪定します。剪定した葉は乾燥して利用しましょう。
右が剪定した枝。左のように程よいサイズ感に!
3.鉢に3分の1程度培養土を入れます。スリット鉢を使用する場合は鉢底石は不要ですが、普通の鉢を使用する場合は、ひと並び程度の鉢底石を入れてから培養土を入れましょう。
培養土を3分の1程度入れる
4.掘り上げたホワイトセージを鉢に入れ、ウォータースペースを確保しながら深植えにならないように気をつけます。培養土を加えたら、根と土の間に隙間がないように確認し、しっかりと土を入れましょう。
「鉢上げして室内に置いたらコバエのような虫が出てきて、どうしよう…」という相談をよく受けるのですが、それは掘り上げた土にいた虫が室内で孵化してしまうために起こります。予防するコツは、なるべく菜園の土、特に表面の土(黄色の斜線部分)をあらかじめ取除くとよいでしょう。
表土(黄色斜線部分)は新しいものを入れると虫の発生を予防できる
5.植え終わったら、鉢底から水が流れるまでたっぷりと与えます。また、葉や土などに虫がいる場合があるので、ニームやストチュウ(酢と焼酎、木酢液を同量混ぜて希釈したもの)など虫の忌避剤を噴霧しておくと安心です。できればすぐに室内には入れず、数日はそのまま屋外に置いて寒さに当てることで虫の発生を予防することもできます。
そのまま戸外である程度の寒さに当てることで虫の発生を予防
室内での管理のコツ
●日々の管理
できるだけ日当たりのよい場所に置きましょう。室温は、北海道など寒冷地の室内では20~25℃程度の場合が多く、冬に休眠する植物にとっては温度が高すぎる傾向があります。そのため、生育温度の低い植物(ホワイトセージの場合は10~15℃)を目安にするとよいです。
また、室内が乾燥している場合は、時々 葉に水を噴霧するのもおすすめ。温度計や湿度計で確認しながら管理しましょう。水やりは、乾燥したらたっぷりと水を与えますが、気温が低い場合は水分が蒸発しづらいため、夏場に比べると水やりの頻度は少なめになります。
●虫の予防アイテム
「鉢上げした植物から虫が出てくるかも…」「ペットがいるから殺虫剤を使いたくない」という場合は、黄色の粘着シートを近くに吊り下げるのもおすすめです。多くの虫は黄色に引き寄せられる習性があり、数匹程度の虫であれば粘着シートで誘引することができるので、近くに吊り下げておくと安心ですね。
粘着シートを吊り下げておくだけで、コバエなどの虫を誘引してくれる効果が期待できる
冬期間の気温がマイナス10℃以下にもなる北海道などの地域では、ホワイトセージ以外にも、ローズマリーやローズゼラニウムも鉢上げをして室内で管理します。今回ご紹介した方法で、いずれも冬越しすることができます。冬は植物に触れる機会が少なくなる時期ですが、鉢上げした植物を見守りながら過ごすのも楽しいひとときですね。
プロフィール
藤井 純子
「Pure Potager(ピュア ポタジェ)」代表。ポタジェ・アドバイザーとして道新文化センター札幌校などのセミナー講師のほか、新聞・雑誌にて執筆活動を行なう。また、ポタジェの魅力を一冊にまとめた「Green Finger ポタジェ~小さな庭が与えてくれる恵みと幸せ~」を執筆。「コーチャンフォーミュンヘン大橋店」で取り扱いのほか、HPに掲載のネットショップを利用。またはAmazonでも販売、「ポタジェ」で検索。
HP ピュア・ポタジェ
Instagram pure.potager
YouTube ポタジェ『心と身体を癒す庭へようこそ』 @lifewithpotager401