2024/11/10 10:30
北海道生活
北海道 宿根草の育て方|11月 庭じまいと冬に向けた保護
北海道のバラや宿根草、芝生や樹木、病害虫についてなど季節のお手入れ・管理をプロの皆さんが伝授。ここでは、「宿根草・草花」についてお伝えします。
文・写真:高林 初さん(苫小牧市・観光庭園 イコロの森)
庭じまいの作業と、越冬ための株の保護
北海道ではいよいよ本格的な庭じまいの季節。宿根草は休眠に入りますので、この時期に行なう作業と、無事に越冬できるように保護などの対策を行ないます。
●刈り込み
宿根草の多くは地上部が枯れ込んで休眠に入ります。本格的な積雪になる前に、刈り込みを行ないましょう。
2人で行なう場合は、刈り込み鋏(ばさみ)が便利
剪定鋏でも宿根草の刈り込りは可能
このように束ねて縛ってから切れば、ゴミが散らばらず、片づけもラク
刈り込みの対象になるのは、落葉性の宿根草で、主に立ち枯れている部分を地際近くで刈り取ります。常緑の種類は、刈り込む必要がありません。育てている宿根草がどちらなのかを知っておくことが大切です。
・刈り込みをしない主な種類:クリスマスローズ、ヒマラヤユキノシタ、イベリスなど。
クリスマスローズ(常緑)
イベリス(常緑)
●移植・株分けと温室での管理
冬の寒さが厳しい北海道では、移植・株分けを今の時期に行なうのは避けたほうがよいでしょう。ただし、ビニールハウスなどの寒さを避けられる場所がある場合は可能です。
土壌が凍る前に掘り取り、ハウス内で株分けなどの作業を行なったら、簡易なビニールポットなどに植え込んで春まで温室で管理し、春に庭に植えることが可能です。温室の室温は-5℃~10℃くらいが理想です。しっかりと休眠させるため、室温が上がりすぎないよう注意してください。また、地上部がない状況でも根は呼吸をしています。土が乾いたら潅水を忘れないように行ないます。
掘り取った場合、植え場所がわからなくならないように、女竹などでしるしを残しておくと便利
●秋植え球根の植え込み
秋植えの球根も、根雪や土壌の凍結前ならば、まだ植え込み可能です。刈り込みを済ませ、花壇の見通しがよくなれば作業はぐんと行ないやすくなります。
植えっぱなしで何年も咲かせたい場合、腐植をたっぷりすき込んでから植え込むとよいです。球根の種類によって、日当たりや土壌の好みがありますので、適切な場所を選びます。植える深さは球根の2~3倍。球根によって形は異なりますので、上下をしっかり確認しましょう。
宿根草の株の間に植えても大丈夫! 春には宿根草とのコラボレーションを楽しめる
ボーダー花壇のチューリップの彩り。宿根草の隙間を埋めるようにチューリップを咲かせることもできる
白いスイセンばかりを植えても美しい
庭に植えた場合、土に含まれる水分や自然の降雨で充分なので潅水は不要です。
植木鉢に植える場合は、植え込み後に一度しっかりと水やりを行ないます。その後は土が完全に乾くまで不要です。春に芽吹き始めたら、土の状況を観察し適宜水やりを行なうことになります。
チューリップやクロッカスは動物の食害にあいやすいので、対策を講じましょう。
●花壇の掃除を行なう
花壇に刈り込みの残渣(ざんさ)や、周囲の樹木の落ち葉や枯れ枝などがあればきれいに掃除します。それらをそのままにしておくことで土に戻り肥やしになるという考えもありますが、冬の間に害虫や病気の温床になるリスクもあります。できれば取り除いて、見た目もきれいに整えた方がよいでしょう。
●マルチングで寒さから守る
花壇がきれいになり余裕があれば、堆肥を花壇に敷き均します。できれば動物性の堆肥(馬ふんか牛ふん)と植物性の堆肥(腐葉土かバーク堆肥)を混ぜて利用するとよいです。花壇全体に約5~8㎝程度の厚さで敷き均します。
きれいになった花壇にマルチングを施す
越冬が心配な種類には、このようにマルチング材で株を覆って寒さから守る!
庭をきれいにし保護も行なっておけば、冬を迎えても安心ですね。庭じまいもしっかり行なって、あとは来年の庭を楽しみにプランを考える季節へと移っていきます。
プロフィール
高林 初
英国Writtle College(リトルカレッジ)にてガーデンデザインを学ぶ。現在は、苫小牧市にある「イコロの森」の勤務、ヘッドガーデナー 。設計からメンテナンスまで庭づくりの幅広い経験をもとに、宿根草ガーデンの管理・栽培等を担当。
Instagram ikor_no_mori
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