2024/10/15 20:00
「北海道生活」編集長
北海道のお寿司「蝦夷前鮨」をプロに教えてもらいました!
「蝦夷前鮨(えぞまえずし)」とは、北海道で発展したお寿司のこと。
北海道が蝦夷と呼ばれていた江戸時代、江戸では「江戸前ずし」が庶民の味として普及し、蝦夷が北海道と名付けられた明治以降からは北海道でも寿司が提供され、いつしか「蝦夷前鮨」と呼ばれるようになりました。
冷蔵庫のない時代、江戸では〆る、漬けるなど仕事をすることでネタが保存できるよう工夫し、今に伝わる技術となっていますが、冷涼な北海道では新鮮な魚介が手に入りやすいことから最小限の手を加えて美味しさを引き出す技が発達しています。
2024年10月14日、北海道のプロの寿司職人がお寿司のつくり方を教えてくれるという「THE 蝦夷前鮨(えぞまえずし)講習会」が札幌で行なわれ、興味しんしんで行ってきました!
主催は北海道鮨組合というところで、北海道各地のお寿司屋さんが参加しています。
毎年10月3日は「道産(どうさん)の日」ということで、道産食材を使ったお寿司の普及や、家庭でのお寿司のつくり方を教えるなど、さまざまな活動をしているそうです。
今回の講習会も、その活動の一環なんですね。
会場では札幌市内5件のお寿司屋さんが登場、それぞれに魚の下ろし方やネタの仕込み方について、ていねいに教えてくださいました。
近所のスーパーでも魚がまるごと売っていて、自分には無縁だろうなあと敬遠していたのですが、目の前で見ながら教えてもらえるので、魚を身近に感じます。
三枚に下ろしたヒラメは、お寿司にしてくれるので、見て楽しい、さらに食べてうれしい、といいことづくめです。
鮨のネタケースにずらりと並んでいるのは見ますが、並ぶ前の仕込む姿を見られるのも、参加してみてよかったです。
カウンターで寿司職人と向かい合っていても、手元まではなかなか見られません。
見ていて、楽しいものですねー。
熟練の腕で包丁を入れたホタテ、とっても美味しかった!
大きなマグロも登場!
参加者のみなさんが一斉にマグロに集まりました。
コハダにささっと包丁を入れて、これもお見事。
包丁を握るのは寿司職人だけですが、お寿司を握るのは参加者でも体験することができます。
「まずシャリ玉をつくって、わさびをつけて……」と、まるで手品を見ているような手さばきです。
ゆっくり教えてもらえますが、ぬらしたはずの手にごはんがどんどんくっついて、なかなか難しい。
お手本で握ってもらえたマグロをいただきました!ラッキー(笑)
「握りたい!」と次々に候補者の方が出ていらして、場は一気に盛り上がります。
しかも、握るごとにだんだん上手になっていて、「できたー!」という握り寿司にみんなで拍手!
今が旬!のイクラのつくり方も教えてもらいました。
そうそう、北海道のスーパーには筋子の形でどんどん出ている季節なのですが、なかなかハードル高いなあと感じていたのでした。
こちらでは寿司職人の方が、いい筋子の見分け方、そして筋子から卵をバラしていく方法、漬け込むところまで教えてくださいました。
よく「金網を使った方がいい」とか「テニスのラケットでやってる」という声を聞いたことがありますが、網は使わず手だけでほぐすのがいいんだとか。
そう、北海道に来て初めて知ったのですが、新物のイクラは「プチプチはじける」のではなく、「皮がとけてしまう」くらいやわらかいのです。
手で優しくほぐして、3時間くらい漬け込めばできあがり! 自宅でもできる!と自信が付きました。
イクラは寿司職人の方に軍艦巻きにしていただきました♪
ぱくっと口に入れると、新物イクラがとろ~りと口の中でとけてシャリと一体になり、海苔の香りがふわんと香ります。
最高!! ……いえ、これは講習会なんですが、後半はほとんどお寿司屋さんにいる心地いい時間になってしまいました。
講習会は無料で、特製のパンフレットももらえました。
「蝦夷前寿司」のお話や、とっておきのネタのレシピなど、寿司職人のみなさんの手による記事が載っていて、読んでいてとても面白かったです。
北海道鮨組合では、これからも握り講習会などさまざまな活動を展開していくそうなので、最新情報はSNSをチェックしてみてくださいね!
(「北海道生活」編集長)