2024/10/17 11:00
北海道生活
ポタジェ|秋の菜園と、春夏野菜の振り返り
今回は、「秋の菜園」の様子とともに、今シーズンの春夏野菜を振り返ってみたいと思います。このコーナーでは、季節ごとの野菜やハーブ、花や果樹など、相性のよいコンパニオンプランツを組み合わせながら育てて楽しむ“ポタジェのある暮らし”を紹介していきます。お料理や花のクラフトも。
文・写真:藤井 純子さん(ピュア・ポタジェ代表)
北海道では、冬の訪れを知らせる雪虫が飛び始める頃。そろそろ夏野菜の片付けをする季節になりましたね。
ポタジェでは暑かった夏を乗り越えたマリーゴールドやナスタチウムが、育ちやすい気温になったことに喜んでいるかのように美しく咲いています。人も花たちも一緒ですね(笑)
今回は、春夏野菜の生育を振り返りながら、秋の様子をご紹介したいと思います。
春にタネまきをして育てたセンニチコウ(千日紅)が咲く
座敷ぼうきの材料になる“ほうきもろこし”。3mを超えるほど大きく育ち、そろそろ収穫時期を迎えている
秋色アジサイの西安(シーアン)
名残(なごり)の夏野菜。ズッキーニ、ピーマン、サヤインゲン、モロッコインゲン、トマト、食用ホオズキ。10月7日撮影
ここ数年、北海道とは思えないほどの猛暑や長雨などで、植物の生育にも影響が出ていることを実感しています。まずは、簡潔に今年の天候を振り返ってみたいと思います。
4月は、20℃になる日もあるほど急激な気温上昇があり、急な温度変化に植物が驚いているようでした。タネから育てていた植物は5月はじめまでは順調に育っていたものの、5月中旬~6月上旬の3週間ほどの間、今度は例年よりも気温が低くなって最高気温10℃以下の日が続いたうえ、曇りの日も多く、苗の生育や定植した植物の初期生育が悪くなって、その後の生育にも影響を及ぼした印象です。
その後は、6月中旬~8月までは最高気温が30℃の暑さが続き、涼しい環境を好むアスパラやスナックエンドウ、ジャガイモは暑さに戸惑っているかのように、例年に比べて収穫量が少なくなりました。
例年に比べるとスナックエンドウなどは収穫量が少なく、残念だった…
●トマト
初期生育が悪かった影響もあり、例年に比べると全体的に収穫量が少なかった印象です。ただお盆明け頃から気温も落ち着き、多少は元気を取り戻した様子でした。
トマトは夏野菜の印象ですが、南米アンデスの山岳地帯が原産地のため、気温が下がり始めるお盆頃から9月にかけて収穫するトマトは、水分が少なく旨味が増して濃厚な味わいになります。片付けの際にはぜひ味わってみてくださいね。
片付け時期に収穫する名残のトマトは、水分が少なく美味。10月3日撮影
トマトの株元に植えたマリーゴールド(オレンジジェム)が、今も元気に咲いている。リビングマルチとして通路に植えているクローバーも元気
●ピーマン
気温が下がってもまだまだ実を付ける野菜といえばピーマンやシシトウ。コンパニオンプランツとして一緒に植えたマリーゴールドは、生育適温が15~20℃のため気温が高い真夏は少し元気がなかったのですが、育ちやすい気温になったことに喜んでいるようかのように満開。トマトと同様、水分が少なく旨味が増した名残のピーマンを味わってみてくださいね。
名残のピーマンは、輪切りにすると美味しい
気温が下がったことでマリーゴールドが再び元気に咲いている
●つるありインゲン
今年は、豆科などを食害する“ホソヘリカメムシ”が大量発生して“つるありインゲン”も被害に遭い、「今年はもうダメかも…」と半ば諦めていたのですが、気温が下がって虫の発生が減少したおかげで見事に復活してくれました。インゲンは長さ15㎝ほどの小さめのうちに収穫するとやわらかく美味しいので、サッと茹でて小分けに冷凍しています。収穫期間が長く、冷凍しておけばさまざまな料理に活用できるので、つるありインゲンは家庭菜園におすすめ!
つるありインゲンは、小さめのうちに収穫するのがポイント
2分ほど茹でて、小分けにしてラップに包み冷凍しておくと重宝する
●ズッキーニ
初夏の低温で生育が今一つだったズッキーニ。例年は5月中旬~下旬に定植しているのですが、来年は、気温がしっかり上がった頃に定植してみようと考えています。苗の生育状況と定植のタイミングの見極めは本当に難しいものです。定植するまでの間、苗のまま置いておくことで大きくなってしまうのが心配な場合は、大きな鉢に植え替えて大苗にしてから定植するのもおすすめです。
また、ズッキーニを長く収穫する秘訣は、実が小さいうちに収穫することです。秋になっても収穫を楽しむことができます。トマトやズッキーニ、ナス、ピーマン、インゲンなどの名残の夏野菜を使ったカポナータにぴったりですよ。
10月になっても最後の力を振り絞って、実を付けてくれている。10月3日撮影
名残の夏野菜で作るカポナータは、野菜の旨味が増して美味しい
●ニンジン
「発芽が成功すれば半分成功したようなもの」といわれるほど難易度が高いニンジンですが、収穫するときの手ごたえと、抜いた瞬間に漂うニンジンの香りが、何度育てても楽しい野菜です!
ニンジンは冷涼な気候を好むのですが、根が肥大していない幼苗期は暑さ・寒さに強いといわれています。そのためか、今年のような不安定な気候でもニンジンは大きく育ってくれました。肉じゃが、豚汁、シチューなど温かい食べ物が恋しくなる季節に常備野菜としてありがたい存在です。
北海道などの冷涼地では、春にタネを蒔(ま)いて秋に収穫する
●ムカゴ
ナガイモやヤマイモなど、ヤマノイモ科のつるの葉の付け根にできる小さな丸い球(肉芽)を「ムカゴ」といいます。収穫は9下旬~11月にかけて行ないます。
我が家のポタジェでは、毎年このムカゴが落ちてあちらこちらで育っていますが、ナガイモとして収穫するには数年かかります。そのため、春先に地面から伸びてくる新芽を見つけて、支柱を立てて大切に育てています。ムカゴはナガイモ同様に疲労回復、老化防止などの栄養が豊富な野菜です。
収穫したムカゴは、洗ったあとに軽くこすり洗いをして汚れを落とし、3~5分茹でるだけで素朴な味わいが楽しめます。茹でたムカゴを入れたかき揚げやムカゴご飯は、今が旬の味わいです。
旬が短いムカゴ。秋の味覚の一つ
ポタジェでは毎年10月はじめのあたたかい日を狙って夏野菜の片付けをしています。そのあとは、10月末にサツマイモや落花生、ゴボウ、ヤーコン、コクワを収穫。まだまだ楽しみが続きますよ。
プロフィール
藤井 純子
「Pure Potager(ピュア ポタジェ)」代表。ポタジェ・アドバイザーとして道新文化センター札幌校などのセミナー講師のほか、新聞・雑誌にて執筆活動を行なう。また、ポタジェの魅力を一冊にまとめた「Green Finger ポタジェ~小さな庭が与えてくれる恵みと幸せ~」を執筆。「コーチャンフォーミュンヘン大橋店」で取り扱いのほか、HPに掲載のネットショップを利用。またはAmazonでも販売、「ポタジェ」で検索。
HP ピュア・ポタジェ
Instagram pure.potager
YouTube ポタジェ『心と身体を癒す庭へようこそ』 @lifewithpotager401