2024/10/05 10:00
北海道生活
北海道 宿根草の育て方|10月 株分けや球根の植え込みは今月中に
北海道のバラや宿根草、芝生や樹木、病害虫についてなど季節のお手入れ・管理をプロの皆さんが伝授。ここでは、「宿根草・草花」についてお伝えします。
文・写真:高林 初さん(苫小牧市・観光庭園 イコロの森)
10月がタイムミリット!株分けや秋植え球根の植え付け
草紅葉(くさもみじ)やグラス類の穂、シードヘッドなど、北海道では宿根草の秋の姿が大変美しいのが特徴です。秋の季節はそれらを楽しみながら、庭の管理を行ないます。
アネモネ ウィルギニアナのシードヘッド。綿毛が陽の光に輝く
イコロの森のホワイトガーデン。白い花が終わり、草紅葉(くさもみじ)やシードヘッドで秋色の庭に変わる
●寒さに強い雑草は取り除く
宿根草の立ち枯れとともに、地面では寒さに強い緑色の雑草が逆に目立つこともあります。ダッチホウなどを利用しながら効率よく、表土の雑草を取り除きましょう。
小さな雑草を処理するときは、ダッチホウを使うと便利
●シードヘッドは楽しみの一つ
この季節は、咲き終わった花のシードヘッドを秋の庭の楽しみとしてそのまま残すのをおすすめしますが、見た目がよくないものは切り去りましょう。自分が美しいと思うものを基準にしてよいのが、庭仕事の楽しいところ。深く考えずに楽しみながら、いろいろ試してみてください。
アスターの花が満開。アスクレピアスの花がらは、あえて切らずに残している
●移植や株分けはタイムリミット
秋は春に次ぐ移植や株分けの適期ですが、そろそろタイムリミットです。耐寒性の弱い種類は、作業を春に回した方がよさそうです。実行した場合はいつもよりも少しだけ深めに植えたり、ウッドチップなどのマルチングを厚めにするなど、根を寒さから守る対策を行なうとよいでしょう。
●積雪の早い地域の刈り込みは10月中に
積雪の早い地域では、10月中に宿根草の刈り込みを行ないます。刈り込みの対象になるのは落葉性の宿根草で、主に立ち枯れている部分を地際近くで刈り取ります。常緑の種類は刈り込むことで根が弱ってしまうものもあるので、育てている宿根草がどちらなのかを知っておくことが大切です。
この作業は、積雪のない本州では春に新芽が芽吹く前に行なうもの。北海道では積雪の影響で春は作業がしにくいため、積雪前に行なう場合が多いです。
積雪前に刈り込みを行なう。立ち枯れの部分を地際近くでバッサリと刈り取る
●秋植え球根の植え込みも10月中に!
秋植えの球根の植え込みは今月中に行ないたいです。刈り込みを済ませ、花壇の見通しがよくなってから行なうと作業しやすいですが、どちらが先でないといけないという決まりはありません。
球根はそれ自体に多くの栄養を含んではいますが、植えっぱなしで何年も咲かせたい場合は、やはり土づくりが大切です。腐植をたっぷりすき込こんでから植えるとよいでしょう。植える深さは、球根の2~3倍。球根によって形は異なりますので、球根の上下をしっかり確認してください。
球根は宿根草の株と株の間に植える。ばらまいて配置すると自然に増えたような雰囲気に演出できるのでおすすめ。配置後は植え付けを!
秋植え球根を庭に植えた場合は、土に含まれる水分や自然の降雨で充分なので、潅水は不要です。
鉢植えにする場合は少し浅めに植えても構いません。植え込み後に一度、十分に水やりを行ないます。その後は土が完全に乾くまで不要です。春に芽吹き始めたら土の状況を観察し、適宜水やりを行なうことになります。
鉢やプランターに植えて楽しむことも可能。割れやすい素材は、越冬時に寒さで割れることがあるので注意
プロフィール
高林 初
英国Writtle College(リトルカレッジ)にてガーデンデザインを学ぶ。現在は、苫小牧市にある「イコロの森」の勤務、ヘッドガーデナー 。設計からメンテナンスまで庭づくりの幅広い経験をもとに、宿根草ガーデンの管理・栽培等を担当。
Instagram ikor_no_mori
HP イコロの森