2024/09/27 11:00
北海道生活

ポタジェ|「麦」を育てクラフトづくり!秋まき麦の栽培に挑戦

今回は、「秋まき麦」の特徴や栽培についてご紹介。来年のクラフト用にタネまきにも挑戦!
このコーナーでは、季節ごとの野菜やハーブ、花や果樹など、相性のよいコンパニオンプランツを組み合わせながら育てて楽しむ“ポタジェのある暮らし”を紹介していきます。お料理や花のクラフトも。

文・写真:藤井 純子さん(ピュア・ポタジェ代表)



一雨ごとに気温が下がり、秋の気配が漂う季節になりましたね。我が家のポタジェでは、そろそろスワッグづくりなどのクラフトに使う「秋まき麦」のタネをまく季節。今からタネをまいて準備しておけば、来年6~7月に収穫でき、庭シーズンを通してクラフトづくりも楽しめますね。
そこで今回は、「秋まき麦」の特徴や栽培についてご紹介したいと思います。

ポタジェ|「麦」を育てクラフトづくり!秋まき麦の栽培に挑戦

収穫前の麦。青々とした麦も美しい(6月15日撮影)

麦を使ったクラフトいろいろ


リース

ドングリをグルーガンで輪の中央に取りつけ、その周囲を麦で囲んだリース。実りの秋を感じますね。

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麦とドングリのリース

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札幌市東区丘珠にある「さとらんど」で拾ったどんぐり


スワッグ

麦の茎の長さを生かし、ラムズイヤーとラベンダーを添えて、アジサイでボリュームを出したスワッグ。ブルー系にまとめて、爽やかな印象に。

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アジサイのボリューム感がアクセントのスワッグ


ヒンメリ

北欧フィンランドが発祥のヒンメリ。ストローのように空洞になっている麦の茎に糸を通してつくります。麦の茎は壊れやすくヒンメリづくりはとても繊細な作業ですが、完成したヒンメリを部屋に吊るすと優しく揺れ、心を癒してくれます。

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ヒンメリは“光のモビール”といわれ、クリスマスのオーナメントとして飾られている

麦について―


麦は、イネ科の一年草の植物。もともとは野生の植物で、雑草の中から見つけ食用にしたのが始まりといわれ、およそ1万年前には栽培されていたとされるほど歴史がある穀物です。
タネまき時期は大きく分けて「春まき」と「秋まき」に分けられますが、今回は「秋まき麦」をご紹介。私たちが日ごろ食用としている麦には品種登録されているものが多いため、栽培してタネを採種する場合は固定種を選ぶと安心です。
*固定種とは、同じ品種のタネを毎年採りつないできたタネのこと。

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パン用小麦「ゆめちから」。黄金色の麦畑が美しい(2015年7月12日 知人の畑を撮影)


●麦の品種

我が家のポタジェでは、食用として食べられる麦を育て、スワッグやリースなどのクラフトに使っています。一口に麦といっても、大麦、小麦、もち麦、エン麦などさまざまな種類がありますが、品種によって「禾(のぎ)」と呼ばれる「ヒゲ」が長いものや短いものもあり、穂の長さも品種ごとに特徴があるので、自分好みの麦を選んでクラフトづくりを楽しんでくださいね。

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自家採取している麦


・大麦

大麦はビールや麦味噌、青汁(大麦若葉)などに利用されることが多く、小麦と比べてグルテンが少ないのが特徴です。麦茶などに利用される六条大麦やビールなどに利用される二条大麦、もちもちとした食感があり雑穀としても人気のもち麦も大麦の仲間です。一般的に穂に禾(のぎ)と呼ばれるヒゲが長いのも特徴です。

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麦茶に利用される六条大麦(写真手前)


・小麦

小麦は、パンやうどん、パスタ、ケーキなどに利用される麦。大麦に比べると禾が短いものが多いようです。古代小麦と呼ばれるスペルト小麦は、グルテンの含有量が少ないといわれています。

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スペルト小麦は、タネを扱う会社「グリーンフィールドプロジェクト」で取り扱いがある

麦の育て方


麦は比較的乾燥を好むため、水はけがよく、日当たりのよい場所で育てます。秋まき麦のタネまき時期は、一般的に最低気温が3~5℃、10~11月が適期といわれています。北海道では9月下旬~10月中旬にタネをまきます。早すぎると年内に大きく育ちすぎてしまい、霜に当たって新芽が枯れてしまう場合があるので注意してください。


タネまき

タネまきする土壌を、空気を含ませるように耕しておきます。ポタジェでは堆肥を入れませんが、堆肥を入れる場合は、耕す際に土壌にすき込んで1週間ほど寝かせて馴染ませてからタネをまきます。スジ蒔(ま)きか点蒔きで、1カ所に5~15粒程度をまきます。株間は10~15㎝。タネをまいたら、軽く覆土して手の平で優しく土を押さえましょう。

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点蒔(ま)きは株間10~15㎝にし、10~15粒ほどのタネをまく


麦踏み

タネをまいたら10日~2週間ほどで発芽します。葉が3枚ほど出たら「麦踏み」をします。土が乾いているときに“カニの横歩き”のように、麦全体を踏んでいきます。麦踏みすることで、茎が分けつして収穫量が増える効果や、根張りがよくなって倒伏の予防、霜で枯れるのを防ぐといった効果があります。
積雪のない地域では1カ月に1回程度、麦踏みをしますが、積雪のある地域では雪が降るまでの間に2~3回、麦踏みをしましょう。

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生育向上のためにも麦踏みは大切


春の動物対策

春になれば、麦の新芽が出てきます。無事に長い冬を乗り越えてくれたことに安心するとともに、感動する瞬間です。我が家のポタジェでは鹿(シカ)がやってきて新芽を食べてしまうので、ふんわりと寒冷紗で覆い、早めに電気柵を設置するようにしています。

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無事に越冬してくれた麦。感動の瞬間!(4月30日撮影)


土寄せ

草丈が伸びてきたら、除草を兼ねてねじり鎌(かま)などを使って「土寄せ」を行ないます。土寄せは、麦が倒れないようにする効果や土の中に空気が入り生育を促す効果もあります。

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1カ所にタネを多めにまくと、ボリュームが出る。グラス類のような印象に


開花受粉

気温が上昇してくると、茎の中から葉鞘(ようしょう)と呼ばれる穂を出します。穂が出て数日経つと、開花して受粉します。一つひとつの実から黄色の雄しべが顔を出す瞬間は感動的です。

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ジャーマンカモミールの咲く頃に麦も開花する(6月15日撮影)

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よく見ると、雄しべが出ている 


麦の収穫

麦の収穫時期は、5月下旬~7月。札幌では7月中旬に収穫しています。なるべく晴天の日に株元から刈り取ります。刈り取った茎を束ね、穂を下に向けて、直射日光が当たらない風通しのよい場所で乾燥します。
スワッグやリースに使う場合は、少し早めに麦を収穫すると色が淡くきれいな穂に仕上がります。食用にする場合やタネを採る場合は、穂がかたくなり、しっかりと完熟するまで育てましょう。

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クラフト用にする場合は、緑色が残る麦を収穫する。7月中旬に収穫を!

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1カ月ほど乾燥させる

麦は、タネまきのタイミングや麦踏みなどのポイントはあるものの、比較的手間がかからない植物です。また、収穫した麦の茎は敷きわらや堆肥づくりなどにも利用できるため、エコロジカルな視点で育ててみてはいかがでしょうか。

プロフィール


藤井 純子
「Pure Potager(ピュア ポタジェ)」代表。ポタジェ・アドバイザーとして道新文化センター札幌校などのセミナー講師のほか、新聞・雑誌にて執筆活動を行なう。また、ポタジェの魅力を一冊にまとめた「Green Finger ポタジェ~小さな庭が与えてくれる恵みと幸せ~」を執筆。「コーチャンフォーミュンヘン大橋店」で取り扱いのほか、HPに掲載のネットショップを利用。またはAmazonでも販売、「ポタジェ」で検索。

HP  ピュア・ポタジェ 
Instagram pure.potager
YouTube ポタジェ『心と身体を癒す庭へようこそ』 @lifewithpotager401



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