2024/09/14 10:00
北海道生活
ポタジェ|収穫は来シーズン!秋からが適期の「ニンニク栽培」
今回は、秋から栽培シーズンを迎える「ニンニク」についてご紹介します。
このコーナーでは、季節ごとの野菜やハーブ、花や果樹など、相性のよいコンパニオンプランツを組み合わせながら育てて楽しむ“ポタジェのある暮らし”を紹介していきます。お料理や花のクラフトも。
文・写真:藤井 純子さん(ピュア・ポタジェ代表)
ススキの穂が風に揺れ、秋の気配が漂う季節になりましたね。今回は、これから栽培シーズンを迎える「ニンニク」についてご紹介したいと思います。
中央アジア原産とされるニンニクは、ネギやタマネギ、ラッキョウと同じヒガンバナ科ネギ属の多年生草本で、鱗片(りんぺん)をタネ球(たねきゅう)として定植します。ニンニクの皮をむいたり、切ったりすると強烈な匂いが出てきますが、その香りはアリシンという成分で、消化機能を健全にし、血液をきれいにする働きや殺菌作用、風邪などのウイルスにも効果を発揮するといわれています。
収穫したばかりのニンニクは、生ニンニクと呼ばれる。ネギのような茎の緑色がきれい
スーパーなどで国産ニンニクを購入すると1個200~400円もするため、ポタジェでも毎年欠かさずに栽培しています。少量多品種、食べきれる量をポタジェでさまざま栽培していますが、1年間に夫婦二人で食べるなら、ニンニクは30~40個あればちょうどよいと感じています。
ニンニクをたっぷり入れた芽キャベツとエビのアヒージョ
ニンニクの品種
ニンニクの品種は、大きく分けて暖地向けと寒冷地向けの品種がありますので、住んでいる地域に合わせてニンニクの品種を選びましょう。
冬の低温期間が長い北海道や東北などの寒冷地は「ホワイト六片」や「富良野」、北海道の在来種といわれる「紫ニンニク」。暖地向けの品種では、鱗片数が8~10粒、1球が100~150gほどと大きくて育てやすい「平戸」や島ニンニクなどがあります。リーキ(西洋ネギ)の仲間のジャンボニンニクは、寒冷地、暖地どちらでも栽培できる品種です。
写真左側は、北海道の在来種「紫ニンニク」。右側はジャンボニンニク
ニンニクの定植(植え付け)時期
ニンニクの植え付け時期は、9月下旬~10月上旬が適期といわれています。早すぎると高温障害を受けやすく、逆に遅すぎると生育が遅れるため北海道では9月下旬に定植します。
ニンニクの各部位の名称
畑とタネ球の準備
●植え場所の土壌
ニンニクは、有機質に富み、保水性と排水性に優れた土壌が適しているといわれ、堆肥や肥料を入れるとよいとされています。ポタジェでは、ジャガイモを収穫したあと堆肥や肥料などは入れず、2週間~1カ月ほど畑を休ませてからニンニクを植え付けています。堆肥や肥料は施しませんが、中耕などをして生育が向上するようにしています。
●タネ球は1片ずつばらす
植え付ける前に、1片ずつにばらして厚い外皮をむいていきます。1片が大きいほど生育がよく大玉になるといわれていますので、大きくて形のよいものを選ぶのがおすすめです。野菜として市販されているニンニクは、病気にかかっている場合があるので、心配な方は栽培用として市販されているニンニクを購入するようにしましょう。
ポタジェでは、今年収穫したニンニクの中から大きなものを選んで植え付けしている
植え付けの仕方
まず、タネ球を条間(列の間)15~20cm、株間12~15㎝になるように仮置きします。写真のように、支柱を利用しながら置いていくと便利。おっちょこちょいな私は、土をかけるとどこに植えたのか分からなくなって踏んでしまうので、植えた場所の端に短めの支柱を立て、紐(ひも)を結んで目印にしています。
ニンニクは、約1.5m×60cm程度の小さなスペースで栽培できる
タネ球の尖った方の頂芽を上に向けて、4~5㎝の深さに真っすぐに植え付けし、上から手で押さえて鎮圧します。真っすぐに植えることで茎が真っすぐに伸び、形がきれいなニンニクに育ちます。その後は雪が積もる前に芽が出て、そのまま冬を越します。雪の下で養分を蓄えて発芽に備えます。
タネ球は尖っている頂芽を上に向けて植え付ける
翌年、長い冬を乗り越えたニンニクの新芽が伸びてきます。無事に越冬したことに感動する瞬間です。発芽が揃う秘訣は、よいタネ球を選ぶことと、植えたときのタネ球の深さと鎮圧が均等になっていることが大切です。
冬を乗り越え、ニンニクが発芽し伸びてきた!(4月25日撮影)
ニンニク栽培の方法
●春先の中耕と根切り
また、大きく育てるために大切にしていることは、春先に行なう中耕と根切りの作業です。気温が上がってきて葉が茂ってきたら1回目、花茎(かけい)が伸びてきた頃に2回目の中耕と根切りをしています。
中耕は、かたくなった土壌を耕す作業のことで土の中に空気が入り、微生物が活性化して、野菜の生育を促してくれる効果があります。ニンニクの場合は、三角ホーやねじり鎌(かま)などで根を切るように深めに中耕することで、新しい根が増えて生育が促され、大きなニンニクに育ってくれます。
根切りすることで新しい根が増えてくれる
●花茎の摘み取り
本州では4月頃、札幌では6月はじめ頃になると、「総苞(そうほう)」と呼ばれる花を包むための葉が付いた花茎(かけい)が伸びてきます。この花茎は、中華料理などの炒め物にする「ニンニクの芽」と呼ばれる部分になります。ニンニクの玉に養分を集中させるために、花茎は付け根から切り取ります。採りたての「ニンニクの芽」はやわらかく、炒め物などにして食べられますよ。
薄い黄緑色の花茎(かけい)は、ニンニクの芽として食べられる
採れたての「ニンニクの芽」を味わえるのは、育てている人の特権!
ニンニクの収穫と保存
●収穫のタイミング
葉の3~5割ほどが黄色く枯れてきたら収穫します。札幌では7月中旬。雨天に収穫すると腐敗する場合があるので、晴れた日に収穫しましょう。収穫後は茎と根を切り、泥のついた皮をむいて風通しのよい日陰で乾燥させます。
茎と根を切り、ひと皮むくときれいなニンニクに
●ニンニクの保存方法
収穫したニンニクは、2カ月ほど乾燥させてから冷蔵庫のチルド室で保存しましょう。ただし、12月頃になると鱗片の中にある芽が成長し風味が落ちてしまうため一片ずつにばらし、皮をむいて、保存袋で冷凍しておくのがおすすめ。30秒ほど常温に置くだけで、すぐに切れるようになるので、みじん切りしたり、すりおろしたりと手軽に使えて便利ですよ。
鱗片の中にある芽が成長して風味が落ちるので、12月頃には冷凍するのがおすすめ
栄養豊富で栽培もさほど手間もかからず、病害虫の心配も少ないニンニク。ぜひ、お庭の片隅で育ててみてくださいね!
プロフィール
藤井 純子
「Pure Potager(ピュア ポタジェ)」代表。ポタジェ・アドバイザーとして道新文化センター札幌校などのセミナー講師のほか、新聞・雑誌にて執筆活動を行なう。また、ポタジェの魅力を一冊にまとめた「Green Finger ポタジェ~小さな庭が与えてくれる恵みと幸せ~」を執筆。「コーチャンフォーミュンヘン大橋店」で取り扱いのほか、HPに掲載のネットショップを利用。またはAmazonでも販売、「ポタジェ」で検索。
HP ピュア・ポタジェ
Instagram pure.potager
YouTube ポタジェ『心と身体を癒す庭へようこそ』 @lifewithpotager401