2024/08/29 13:30
北海道生活
ポタジェ|ベランダ菜園にも!野菜&ハーブのプランター・スリット鉢栽培
今回は、さまざまな野菜&ハーブを、プランターやスリット鉢を利用して育てた様子をご紹介。
このコーナーでは、季節ごとの野菜やハーブ、花や果樹など、相性のよいコンパニオンプランツを組み合わせながら育てて楽しむ“ポタジェのある暮らし”を紹介していきます。お料理や花のクラフトも。
文・写真:藤井 純子さん(ピュア・ポタジェ代表)
ベランダなどでも手軽に育てられるプランター栽培。毎年、私が担当する講座でもプランターでの野菜栽培の要望が多いこともあり、今年はいつも以上にプランター栽培を行ないました。そこで今回は、さまざまな野菜&ハーブを、プランターやスリット鉢などを利用して育てた様子をご紹介したいと思います。
寄せ植えにした鉢をまとめて置いている
スイートバジルのプランター栽培
まずは、ジェノベーゼソースで人気のスイートバジルです。
スイートバジルは、トマトのコンパニオンプランツといわれていますが、畑に植えるとウリハムシなどの食害にあうことが多いのが悩みのタネでした。長年、さまざまな方法でスイートバジルを栽培、観察してきましたが、不思議なことに同じ品種のバジルを密植気味に植えたときの方が、虫の被害が少なくなる印象がありました。
そこで、今年は大きな素焼き鉢(直径40cm・高さ30cm)に10株ほどを密植気味に植えたところ、ほとんど虫の被害にもあわず、きれいなバジルが育ってくれました。また、バジルは半日陰で育てる方が、葉がやわらかく風味のよいバジルになるので、少し日陰になる場所に置いて栽培するのがおすすめです。
バジルは半日陰で育てると、葉が丸く、やわらかな葉に育ってくれる
8月中旬の道新文化センター講座では、プランターで育てたバジルを観察しながら、ジェノベーゼづくりと試食を楽しみました。ジェノベーゼは小分けのカップに入れて冷凍しておくと、色も香りもきれいなまま保存できます。
ジェノベーゼはニンニクと松の実、オイルをミルなどを使ってペースト状に
小分け容器に入れて冷凍するのがおすすめ
採れたてのトマトと茹でたインゲンをジェノベーゼと和えた簡単サラダ
●いろいろなバジルの寄せ植え
さまざまな品種があるバジルを寄せ植えにしても素敵。今回植えたのは、小さな葉がこんもりと茂るブッシュバジルと赤い葉のダークオパールバジル、インド原産のホーリーバジル。それぞれのバジルの色や香り、味などを比べるのも楽しいですね。
スリット鉢を使用。スリット鉢は床に直置きせず、レンガなどの上に置くこと
●スリット鉢とは?
スリット鉢
スリット鉢は一般的な鉢に比べ、通気性がよく、植物の根巻き(サークリング現象)を防止して全体に根を張らせるため、用土の90%以上を有効活用でき、植物の生育が向上するといわれています。
植物の生育が向上するといわれている
ズッキーニのスリット鉢栽培
畑に植えるととても大きくなるズッキーニは、コンパニオンプランツのネギやエンバクと一緒にスリット鉢(8号サイズ)に寄せ植えしてみましたが、予想以上に大きく育ちました。
どの植物も風などで揺れるとストレスになり、生育不良や病害虫の被害にあいやすくなります。そうならないようにズッキーニの場合は、茎を挟むようにして短めの支柱を2本挿して支えてあげるのもポイントです。
葉も大きく立派に育っているズッキーニ
ズッキーニを長期間収穫する秘訣は、なるべく小さなうちに実を収穫すること。そうすることで株の負担が減って光合成をする葉が大きく育ち、株全体の勢いも衰えないため長期間収穫することができます。
プランター栽培の場合は、実がなり始めたら追肥を施すことも忘れずに。ズッキーニは雄花と雌花があり、受粉することで実が肥大していきますので、2株以上育てるのがおすすめです。
15㎝ほどの小さいうちに収穫するのがコツ
トマトの寄せ植え
スリット鉢(8号)を利用したミニトマト、スイートバジル、チャイブの寄せ植え。どれも大きく育ち、ミニトマトは高さが2mを超えて6段目の花が咲いています。この寄せ植えは、今年6月に開催された“ちとせ環境と緑の財団”の「ハーブと野菜の寄せ植えセミナー」で植えたものですが、無事に大きく育ってくれました。スリット鉢は大きなプランターよりも培養土の使用量も少なく、省スペースで手軽に栽培できるのも魅力ですね。
ミニトマトは6段目の花が咲いている
トマトのスリット鉢栽培で気をつけるポイントは、脇芽は伸ばさず 1本仕立てにすること。鉢のサイズが小さいため、脇芽を伸ばしてしまうと地上部が重くなり鉢が倒れやすくなります。また、風で倒れないような場所に置くのも大切です。
支柱も長いものを利用して適宜誘引していくと、ストレスが少なくなって大きく育つ
あけびカゴの寄せ植え
アケビのつるで編んだカゴを利用して、ベゴニアとパセリを寄せ植えにしました。オーガニックで育てているベゴニアはエディブルフラワーとして食べることができます。ベゴニアの葉や花は、レモンのような爽やかな酸味があるのが特徴です。
アケビのつるで編んだカゴに寄せ植えしたベゴニアとパセリ。ナチュラルな雰囲気
今回使用した一年草のベゴニアは、札幌市公園緑化協会のガーデニングセミナーを受講していた方から分けてもらった苗なのですが、オーガニックで育てたとのことで、とても嬉しくなりました。
ベゴニアの花や葉はレモンのような味がする
●あけびカゴの寄せ植えづくり
手順はまず、カゴの大きさに合わせてジュートをカットしてカゴに敷きます。ビニールシートなどを使用する場合もありますが、通気性と排水性を確保するため今回はビニールを敷かず、鉢底石も入れずにそのまま培養土を入れました。今回使用したカゴは直径23㎝・高さ20cm。土を入れたら、用意した苗を順に植え付けて、株間に隙間なく用土を加えたらできあがり。植え付け後は、水もたっぷり与えましょう。
カゴの大きさに合わせてジュートをカットする
ジュートを敷き培養土を入れる、苗を植え付けていく
スリット鉢は生育面でも優秀ですが、小さな鉢で栽培できると使用後の鉢を洗う手間や保管場所、土をリサイクルする手間も少なくなるメリットもあります。
気温が下がり始め、そろそろ夏野菜も終盤となりますが、スリット鉢などのプランターを利用して“秋野菜”を育てみてはいかがでしょうか。これからの時期は、コマツナや水菜、ホウレンソウ、春菊、ラディッシュ、カブなどがおすすめです。
ベランダや玄関先などでも手軽に栽培できるプランター栽培を、ぜひ楽しんでみてくださいね。
プロフィール
藤井 純子
「Pure Potager(ピュア ポタジェ)」代表。ポタジェ・アドバイザーとして道新文化センター札幌校などのセミナー講師のほか、新聞・雑誌にて執筆活動を行なう。また、ポタジェの魅力を一冊にまとめた「Green Finger ポタジェ~小さな庭が与えてくれる恵みと幸せ~」を執筆。「コーチャンフォーミュンヘン大橋店」で取り扱いのほか、HPに掲載のネットショップを利用。またはAmazonでも販売、「ポタジェ」で検索。
HP ピュア・ポタジェ
Instagram pure.potager
YouTube ポタジェ『心と身体を癒す庭へようこそ』 @lifewithpotager401