2024/08/16 15:00
北海道生活
ポタジェ|夏の菜園 夏野菜の栽培アイデア&アジサイとハーブ利用
今回は、夏真っ盛りの8月はじめのポタジェの様子をご紹介します。夏野菜の栽培時のアイデア、アジサイやハーブの利用など。
このコーナーでは、季節ごとの野菜やハーブ、花や果樹など、相性のよいコンパニオンプランツを組み合わせながら育てて楽しむ“ポタジェのある暮らし”を紹介していきます。お料理や花のクラフトも。
文・写真:藤井 純子さん(ピュア・ポタジェ代表)
今年は全国的に記録的な猛暑が続き、北海道の菜園も、夏野菜が少々夏バテ気味の様子。その一方で、雑草の育つ勢いには毎年のことながら圧倒されています。
今回は、夏真っ盛り、8月初めのポタジェの様子をご紹介したいと思います。
ピンク色のエキナセアや‛アナベル’が元気に咲いている
涼しげな色合いの‛アナベル’とアジサイは、眺めているだけで暑さを和らげてくれますね。これらは直射日光が当たる場所よりも、少し日陰に植えると花色が美しくなります。花びらに見えるのは“がく”と呼ばれる部分で、ドライフラワーにする場合は、がくにハリが出てから収穫すると綺麗なドライフラワーになります。アナベルの収穫のタイミングは、日当たりや地域にもよると思いますが、札幌では8月中旬に行なっています。
写真左はアジサイ、右は‛アナベル’
「秋色アジサイ」「アンティークアジサイ」と呼ばれる、‛西安(シーアン)’という品種のアジサイ
今年、ポタジェで育ていたグスベリー(スグリ科、落葉低木)を父の菜園に移植したため、空いた場所に数年前から挿し木で育てていたアジサイの苗2本を植えることにしました。このアジサイは、知り合いの庭に育っていた昔ながらのドライフワーに向くアジサイで、家を取り壊す際に枝を分けてもらい、挿し木にして育てていたものです。
小さい挿し木から育てていたアジサイ
植えたばかりの挿し木のアジサイはまだ小さいので、その横のスペースを有効利用しようと思いつき、ミニスイカの苗を栽培しています。大玉スイカは受粉後、約50日で収穫するのに対してミニスイカは35日ほどで収穫できますし、食べきりサイズも嬉しいところですね。
スイカ栽培の悩みのタネは、ちょうど食べごろになるとカラスも食べにくることです。そこで数年前から実践しているのが、土のう袋に実を入れる方法です。それだけでカラス除けに効果を発揮してくれます。
もう少し大きくなったら土のう袋に入れる
土のう袋にスイカの実をすっぽり入れて、そのまま栽培を続ける
また、毎年 4種類の固定種トマトを栽培しているのですが、今年は2種類の固定種のミニトマトを増やして栽培しているところです。一つは、オレンジと黄色の縞模様の「ブラッシュ」という皮が硬めですが甘みが強い品種です。8月中旬には、来年用のタネを採る予定です。タネを採るのは少し手間がかかりますが、毎年毎年タネ採りを続けると、やがてその土地に馴染み、育てやすくなったり、美味しくなるのも魅力です。
※固定種とは、同じ品種のタネを毎年栽培して採りつないできた種のこと。
もう少し全体に赤くなったら食べごろ。…待ち遠しい
もう一つは黒トマトとも呼ばれる「インディゴローズ」。黒い色に驚きますがヨーロッパでは人気がある品種だそうです。酸味と甘みのバランスがよいトマトで、半分ほどが赤くなり、やわらかくなったら食べごろです。
黒トマトと呼ばれる「インディゴローズ」
オレガノやタイムなどの宿根草のハーブは、花が咲くと香りが落ちるため、切り戻し作業が欠かせません。オレガノのように葉を利用するハーブは、花が咲く前に収穫するのがベストですが、花が咲いてしまっても根元から20cmほど残して切り戻すことで、再び葉が茂ってくれます。トマト料理に欠かせないオレガノは、ドライにして保存しておけば冬の間も重宝するハーブです。
花が咲いたオレガノは、切り戻せばまた葉が茂って利用できる
料理に重宝するオレガノやタイム、パセリなどをドライに!
ミントも花が咲くと香りが落ち、葉の色も黄緑色になってしまいますが、同様に根元から20cmほど残して切り戻すと再び緑色の葉が育ち、菜園の彩りとしても活躍してくれます。切り戻したミントは、ドライにしてお茶パックに入れてお風呂に浮かべれば、ハーバルバスとしても楽しめます。ハーブの香りが夏の疲れを癒してくれますよ。
花が咲いたミントも切り戻すと、再び緑色の葉が育ってくれる
切り戻したミントやお好みのハーブをお茶パックに入れて、お風呂に入れればハーバルバスに!
8月は台風の発生が多くなる季節です。植物が強風や雨で倒れないよう、しっかりと誘引したり、支柱などで補強したりする作業も欠かせません。
例えば、草丈も高くなり実が付き始めた枝豆は、上の部分が重くなると倒れやすくなります。数カ所に支柱を立てて、紐(ひも)で縛っておくと安心ですね。
写真(下)の左手前は、札幌伝統野菜の一つ「さっぽろみどり」。鮮やかな緑色の早生品種の枝豆です。左奥は、晩生種の鞍掛豆(くらかけ豆)です。未熟なうちは枝豆としても食べられますが、完熟するとコクのある大豆になります。
枝豆は支柱で補強し、台風に備える
春にタネを蒔(ま)いて育てていたエンドウは、7月中旬には支柱などを撤去して、その場所に秋野菜のダイコンのタネを蒔きました。発芽したばかりの双葉は、雨が降ると泥だらけになってしまい生育不良になることがあります。少し過保護かもしれませんが、大切な双葉のためにエン麦の茎を敷いて泥はねを予防しています。
大根のタネを蒔き、エン麦の茎を敷いて泥はねを予防
エンドウのうどんこ病予防のために一緒に育てていたエンバクは、タネが完熟した頃を見計らって収穫し乾燥しています。エンバクは、うどんこ病になりやすいキュウリやズッキーニ、カボチャなどのウリ科やエンドウの近くにタネを蒔いて育てると、うどんこ病を予防する効果があります。エンバクは敷きわらとしても重宝するため、タネ採りも大切な作業の一つです。
完熟したエンバクのタネを乾燥して保存する
そのほかにも、落花生(らっかせい)やニンジンの土寄せ、収穫したサヤインゲンを冷凍にしたり、夏野菜を美味しく料理したり、昆虫観察をしたりと日々忙しく感じますが、北海道の短い夏を楽しみたいですね!
プロフィール
藤井 純子
「Pure Potager(ピュア ポタジェ)」代表。ポタジェ・アドバイザーとして道新文化センター札幌校などのセミナー講師のほか、新聞・雑誌にて執筆活動を行なう。また、ポタジェの魅力を一冊にまとめた「Green Finger ポタジェ~小さな庭が与えてくれる恵みと幸せ~」を執筆。「コーチャンフォーミュンヘン大橋店」で取り扱いのほか、HPに掲載のネットショップを利用。またはAmazonでも販売、「ポタジェ」で検索。
HP ピュア・ポタジェ
Instagram pure.potager
YouTube ポタジェ『心と身体を癒す庭へようこそ』 @lifewithpotager401