2024/08/04 10:30
北海道生活

北海道 宿根草の育て方|8月 通常管理とお盆が過ぎたら株分け再開

北海道のバラや宿根草、芝生や樹木、病害虫についてなど季節のお手入れ・管理をプロの皆さんが伝授。ここでは、「宿根草・草花」についてお伝えします。

文・写真:高林 初さん(苫小牧市・観光庭園 イコロの森)



引き続き除草や花切り、お盆過ぎから移植・株分けのタイミング


年々、北海道の夏も厳しさが増しているように感じますが、「イコロの森」では大型の宿根草がよく育つようになり、花壇のボリュームが増しています。

北海道 宿根草の育て方|8月 通常管理とお盆が過ぎたら株分け再開

「イコロの森」のボーダーガーデンでは、大型の宿根草が最盛期を迎えている

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夏の季節は、フロックスが多くの庭で咲く。この花に蝶(チョウ)が集まってきている。写真は、クロアゲハの仲間の一種

さっそく、夏に行ないたい作業をお伝えしていきます。夏場の花壇の除草や花切りのポイント、移植や株分けの再開のタイミングや適した種類、支柱についてなど。

●花壇の除草は、園路沿いなどを

除草作業は、花壇管理の基本中の基本。この季節は花壇に入り込まず、園路沿いや花壇前面のみをやるだけでも印象がまったく違います。
花壇の中は植物が旺盛に育っているので、雑草も育ちにくい環境かと思います。ただ、油断していると、宿根草の中から背の高い雑草が出てくることがあるので、見つけたら取り除きましょう。園路沿いなど日の当たる場所では、花壇の中とは違って雑草が成長しやすいので、そこを重点的に観察して除草を行なうとよいです。

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花壇の前面だけでも除草をきれいに行なうことで印象が変わる


●夏からの花切りは、種類に合わせて

繰り返し開花する種類は、花切りを引き続き行ないます。エキナセアやクナウティアなどは、開花の終わった花がらを次の芽のすぐ上で切り去ります。ただし、徐々に開花の量も少なくなってくる時期ですので、秋に花後のシードヘッドを楽しみたい種類は、花切りの量も調整しながら減らしていきましょう。
ダリアを育てている場合は、霜が降りるまで次々咲くので、都度花切りをすることをおすすめします。

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エキナセアはシードヘッドも美しいので、バランスを見ながら花切りを行なう

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ダリアは次々開花するので、こまめに花切りをする

これから開花を始める種類の多く(フロックスやセダム、ワレモコウ、ユーパトリウムなど)はほとんど花切りを行なう必要はありません。タネの結実まで鑑賞できますので、放置して秋まで楽しみましょう。

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これから開花を始めるセダムは花切り不要

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すでにシードヘッドをつくり始めているモナルダ。イコロの森では花切りしない


お盆過ぎから移植・株分けを再開

気温が高いときは避けた方がよいですが、お盆休みが過ぎて、気温が落ち着いてくれば再び移植や株分けも可能になります。曇りや小雨の日を狙って作業するようにし、作業後の数週間は状況によって潅水を行なうよう観察を続けます。
この時期に移植や株分けを行なうのは、寒さに強く、春から初夏に開花する種類がおすすめです。プルモナリアやヘレボルス、プリムラやアイリスなどで株が込み合っているものや、花数が少なくなった株などで行ないます。今まさに開花中のものや耐寒性の心配な種類は春が適期になりますので、春に行なえるように計画を立てておきましょう。


倒れた花を戻すには―。対応と支柱の工夫

夏の暑さがひと段落してくると、晩夏に向かって厳しい雨や風の日も増えてきます。大きく育ち、開花した宿根草は雨や風で倒れやすくなるので、雨によって倒れかかった種類は、雨後できるだけ早く葉や茎についたしずくを振るい落とせば、乾いたときに戻りやすいので、ひと手間を惜しまずにやってみてください。
また、倒れやすいものは覚えておき、春のうちに支柱を施す計画を立てておくのがよいでしょう。

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雨後に倒れかかったアムソニア

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水滴を振るい落とし、少し起き上がった状態のアムソニア

種類により枝先に多くの花が付いている場合は、1/3~半分程度の花を切り取るだけで頭が軽くなり、起き上がってくることがありますので、状態を見ながら行ないます。
株元から完全に倒れてしまっている場合は、添え木支柱で支えます。なるべく目立たない素材を使うと景観も維持できるでしょう。

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アネモネ ウィルギニアナは花後のシードヘッドも鑑賞したいが、すべて残すと倒れやすいので半分程度切り取って頭を軽くする

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株元から倒れてしまったユッカ。女竹を利用して支えている

まだまだ暑い日も続きますが、日差しの角度が徐々に低くなり、グラス類の穂も上がり始めて日によっては秋の雰囲気も感じるようになります。進む季節を味わいながら、ガーデニングを楽しみましょう!

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デスカンプシアの穂が陽に輝く

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9月初旬、イコロの森のボーダー花壇。ススキも穂を上げ、季節が進んでいるのを感じる

プロフィール


高林 初

英国Writtle College(リトルカレッジ)にてガーデンデザインを学ぶ。現在は、苫小牧市にある「イコロの森」の勤務、ヘッドガーデナー 。設計からメンテナンスまで庭づくりの幅広い経験をもとに、宿根草ガーデンの管理・栽培等を担当。

Instagram ikor_no_mori
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