2024/06/13 12:30
北海道生活
ポタジェ|爽やかな梅の果実酢と梅ジャムづくり
梅が旬の季節です。今回は、爽やかな「梅の果実酢」と傷がついている梅を使った「梅ジャム」づくりをご紹介します。
このコーナーでは、季節ごとの野菜やハーブ、花や果樹など、相性のよいコンパニオンプランツを組み合わせながら育てて楽しむ“ポタジェのある暮らし”を紹介していきます。お料理や花のクラフトも。
文・写真:藤井 純子さん(ピュア・ポタジェ代表)
今年も、梅の季節になりましたね! 毎年、梅干しや梅酒、梅シロップなど“梅仕事”を楽しんでいる方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、スッキリ爽やかな「梅の果実酢」と、傷がついてしまった梅でつくる「梅ジャム」をご紹介したいと思います。
梅の果実酢を炭酸水で割った梅酢ソーダは、家族や友人からも大好評!
野菜ソムリエ仲間から梅干しづくりに誘われて梅干しをつくるようになり、気づけば10年ほどが経ちました。「継続は力なり」という言葉の通り、毎年続けていると効率のよいつくり方や、梅の新たな利用法などの発見があるものですね。特に驚いたのは、梅干しの副産物である梅酢は、紅ショウガづくりや桜餅に使われる桜の葉の塩漬け、桜の花を塩漬けにした桜茶づくりなどさまざまな利用法があり、梅の奥深さに驚くばかりです。
また、梅には疲労回復効果や殺菌効果、血流を促すミネラルが豊富に含まれるため、夏バテ予防にもおすすめです。
赤梅酢で漬けた、自家製紅ショウガ
梅にはさまざまな品種があり、和歌山の南高梅が有名ですが、東北地方や北海道などの寒冷地では「豊後」という梅と杏子を掛け合わせた品種が栽培されています。果実は50gほどと大きいですが、タネは小さく果肉の割合が多い品種です。完熟すると皮が破れやすくなるため、梅酒や梅シロップに適した品種です。
豊後梅は大分県で改良された品種
父の菜園で育てている豊後梅は、ここ数年、豊作が続いていることもあり、梅の利用法を試行錯誤する中で発見したのが「梅の果実酢」です。一般的につくられる梅シロップは、梅と砂糖を同量入れるため甘みが強く、梅のエキスが出てくるまで、瓶を振る必要があります。それに対して果実酢は、酢を多く入れるため甘さも控えめですし、瓶を振ったりせずにつくることができます。梅の果実酢を炭酸水で割る梅酢ソーダは、暑い時期にぴったりです。
樹齢は不明ですが、父の菜園にある大きな豊後梅の木
今年は、5月初めに薄いピンク色の花が咲いた
Recipe.01 梅の果実酢づくり
[ 材料 ]
・梅(豊後) 1㎏
・てん菜糖 500g
・りんご酢 500ml
・保存ビン(瓶はアルコール消毒や熱湯をかけて消毒しておく)
青梅でつくることもできますが、少し熟した梅でつくるとまろやかな果実酢になります。
ほぼ完熟した梅を使用している
[ つくり方 ]
【1】
梅をきれいに洗いキッチンペーパーなどで水分を拭き取るか、ザルなどに並べて水気がなくなるまで乾かします。竹串などで「なり口」を取り除き、キッチンペーパーなどでなり口の汚れや水分もきれいに拭き取りましょう。
へこんだ部分が「なり口」
【2】
保存ビンにてん菜糖と酢を入れて混ぜ合わせます。砂糖が溶けていないため濁っていますが、翌日には溶けて透明になります。
甘さが優しく仕上がるてん菜糖と無添加りんご酢の使用がおすすめ
【3】
砂糖と酢を入れたビンに梅を入れます。梅が液に浸かっていませんが、翌日には梅のエキスが出てきますので安心してください。
ビンに梅を詰める。まん丸の梅が可愛い
【4】
翌日には梅のエキスが出てきれいな色になります。空気に触れると梅が黒く変色する場合があるため、梅が浮いてこないように小皿などで重しをするとよいでしょう。2週間~1ヵ月ほど冷暗所か冷蔵庫に保管します。
最初のうちは梅が浮いてくる
梅が浮いてこないように小皿などで重しをするとよい
2週間~1カ月ほどで、飲み始めることができます。2カ月ほどで梅の実は取り出しましょう。取り出した梅の実は、タネを取り除いてから刻んでヨーグルトに混ぜても美味しいですよ。できあがった梅の果実酢の賞味期限は3カ月ほどです。
Recipe.02 梅ジャムづくり
梅干し用の完熟梅の中には、傷がついた梅などがあるものですね。そんなときは、梅ジャムにするのがおすすめです。ほどよい酸味が美味しい梅ジャムは、パンケーキやパンにぴったりな味わいです。
ほどよい酸味が美味しい梅ジャム
[ 材料 ]
・完熟梅 適宜
・砂糖 タネを取り除いた果肉に対して40~60%の砂糖を使用する
[ つくり方 ]
【1】
梅を洗い、なり口を取り除きます。傷がついている部分もあれば取り除きます。
なり口と、傷がついた部分を取り除く
【2】
鍋に梅を入れます。梅がひたひたに浸かる程度の水を入れて、中火にかけます。
ひたひたに水を入れる
【3】
沸騰したら弱火にして約15分煮ます。15分経ったら火を止めてお湯に浸けたまま冷まします。こうすることで梅のアクが抜けます。
アク(泡)は、取り除かなくても大丈夫
【4】
冷ましておいた梅を指ですくうようにして鍋から取り出します。ボウルや別の鍋を用意し、梅をギュッと握りながらタネを取除き、果肉だけを入れていきます。水分が多いように感じますが、煮詰めていくので大丈夫です。
粗熱が取れていても梅が熱いときがあるので、気をつけること!
【5】
タネを取り除いた果肉を計量します。果肉の重さに対して、40~60%の砂糖を測りましょう。鍋に果肉と砂糖を入れ、弱火で30分ほど煮詰めたら、梅ジャムのできあがり!
余熱で固くなるので、少しゆるいと思う程度で火を止める
できあがった梅ジャムは、消毒済みの保存ビンなどの容器に移して冷蔵庫で1カ月ほど保存可能です。ただし、砂糖を少なめにした場合は、1週間程度で食べるようにしましょう。すぐに食べない場合は、小分けの容器に入れて冷凍保存しておくと使いやすくおすすめです。
生の梅の旬は短いので、加工しきれない分は洗って水分を取り除いてから冷凍保存すると、いつでも梅酒や果樹酢づくりなどに使用することができます。冷凍することで細胞が壊され、エキスが出やすくなるというメリットもありますよ。
これから北海道にも暑い夏がやって来ます。梅の疲労回復効果などを期待して、夏バテ予防の対策の一つにしてみてください。
プロフィール
藤井 純子
「Pure Potager(ピュア ポタジェ)」代表。ポタジェ・アドバイザーとして道新文化センター札幌校などのセミナー講師のほか、新聞・雑誌にて執筆活動を行なう。また、ポタジェの魅力を一冊にまとめた「Green Finger ポタジェ~小さな庭が与えてくれる恵みと幸せ~」を執筆。「コーチャンフォーミュンヘン大橋店」で取り扱いのほか、HPに掲載のネットショップを利用。またはAmazonでも販売、「ポタジェ」で検索。
HP ピュア・ポタジェ
Instagram pure.potager
YouTube ポタジェ『心と身体を癒す庭へようこそ』 @lifewithpotager401