2024/07/29 10:00
北海道生活
北海道 人気の旅先|出会いたい一軒③ ~東川・旭川エリア
北海道の人気の旅先の一つ、富良野~東川~旭川エリア。観光スポットをはじめ、一軒宿やおしゃれなカフェやレストランも多く、ぐるっと巡るのもおすすめ。そんな旅先でほっとできる、お店の雰囲気も人も、ぬくもりある一軒に出会う。
Vraie(東川町)
東川でしか味わえない “村上シェフの土鍋ごはん”
上水道のない東川町(ひがしかわちょう)は、地下水で生活できる水のきれいなまち。2017年、ここに小さなレストランがオープンした。オーナーシェフの村上智章(ともあき)さんは広島出身、関西で腕を磨き、札幌でビストロを営んでいたが、「もっと自然が豊かで、水がきれいな、生産者に近いところへ」と一家で東川町へ。徐々に生産者や地元の人との輪がつながっていった。中には、東川町にUターンした若者も多いという。「地元をいったん出たからこそ、自分たちは東川で何ができるか、次の世代に何を残せるか、と熱い思いをもっています」。旭川空港からも車で10分という立地から、道外へも旅をする機会が増え、各地に知り合いが増えていったそうだ。
木目調のファニチャーや内装など、ぬくもりを感じる店内。訪れる日のメニューはお楽しみに
東川でオープンしたビストロにも変化があった。「コロナ禍でなかなかお客さまが来られなくなり、東川まで来てもらうにはどうしたらいいだろうかと悩みました」。その答えは、自分たちの暮らすまちにあった。米どころであり、水のきれいな東川町。「コースの最後に、おいしいごはんを出そう」と考えた村上シェフ。フォアグラなどを使うのはやめ、店名から「ビストロ」の文字まで取ってしまった。ランチはビストロメニューだが、ディナーには村上シェフが厳選した食材でつくるオリジナルのフルコースを提供、そこには必ず土鍋ごはんがある。
ディナーの一例、北海道産羊のロースト。メインは足寄町の石田めん羊牧場の羊。ミルクラムからマトンまで季節ごとに楽しめる
ディナーでいただける季節の土鍋ごはん。使うのは東川産の「ななつぼし」。 香りが豊かで洋のメニューにもぴったりと合う
たとえば、夏季のディナーは北海道産羊のローストをメインに、冬のディナーでは旨味をたくわえたエゾシカのローストをメインに、春から秋には美瑛町「百姓や」の野菜を添える。メイン料理を味わっていると、土鍋ごはんが登場。東川町産「ななつぼし」をシンプルに炊いただけというが、驚くほど香りが豊か。和洋を超越した“村上シェフのごはん”がここにある。
Vraieのワインは、シェフの料理に合わせ揃えたナチュラルワイン
住宅地の中にある一軒
Vraie(ヴレ)
住所/北海道上川郡東川町南町1丁目4-11
TEL/0166-85-7530
アクセス/道の駅ひがしかわ「道草館」より徒歩約3分
営業時間/ランチ11:30~14:00(L.O. 12:30)、ディナー 17:30 または18:30スタート
定休/月・火曜 ※ランチは月・火曜、木・金曜 ※そのほか不定休あり
席数/約10席(完全予約制)
駐車場/あり(4台・無料)
WEB/https://vraie-hokkaido.com/
**********
Cafe 旭荘(旭川市)
地元の美味しいチーズで、味わう焼きたてピッツァ
「おこっぺモッツァレラのピザ」1,350円。コーヒーは旭川「たく」の焙煎珈琲豆を淹れている
旭川駅から車で約10分、住宅地の中にある一軒。地元の人たちが集う、おだやかな空間。ここは、あつあつのピッツァとコーヒーが評判の、居倉夫妻が営むカフェだ。
福島県出身の居倉健さんは大学進学をきっかけに旭川へ移住、人気店「エスペリオ」で興部町「ノースプレインファーム」のチーズを使ったピッツァを焼いていた。2017年には、自身の店を妻の香織さんとともにオープン。
店内におだやかでやさしい空気感をつくりだす、居倉健さん・香織さん夫妻
店内は旭川家具で統一しているが、異なるデザインのイスを配置。それぞれの座り心地を試してほしいから
「ノースプレインファーム」のほかに、「伊勢ファーム」や「吉田チーズ」、「ジャパチーズ」と旭川近郊のチーズも使うようになった。旭川「ふじくらますも果樹園」のリンゴとブルーチーズのピッツァもおすすめ。午前中は、ミニピッツァとコーヒーが付くモーニングセットも提供しているので、ゆったりとした朝を過ごしてみてほしい。
旭川駅から車で約10分。駐車場のスペースが限られているので、グループ利用の場合は乗り合わせを
Cafe 旭荘(あさひそう)
住所/北海道旭川市旭町1条2丁目439
TEL/0166-52-0031
アクセス/JR旭川駅より車で約10分
営業時間/10:30~17:00
定休/日・月曜
席数/20席(全席禁煙、ほか個室有)
駐車場/あり(6台・無料)
**********
珈琲亭 ちろる(旭川市)
メニューを充実させ、 あらたな歴史をつむぐ
静かな店内では、朝はモーニングセットを楽しみに、午後まで訪れる人が後をたたない
旭川の買物公園にほど近く、それでいて目立たずひっそりと建つ老舗の喫茶店。三代目オーナーとなる宮崎慶太郎さんも、旭川で育っていながら存在に気付かなかったという。コーヒーが好きで、自分で焙煎するのが趣味だった宮崎さんに、この店を継いでみないかという話が舞い込んだのはだいぶ後になってから。重厚感のある店内、ここが三浦綾子の『氷点』にも登場する昭和2年築の名店だと知る。老朽化のため傾いた床を直し、壁紙やソファの革を張り替え、テーブル席の一部をカウンターに。古い建物はそのままだが、久しぶりに訪れた人は「雰囲気が少し明るくなったみたい」と言うそうだ。
スペシャルティコーヒーは豆によって、さらに深煎り・中煎り・浅煎りと分ける。「たとえば酸味はすっぱいわけでないし、ブレンドも混ぜものではない。そんな誤解をといていきたい」と山崎慶太郎さん
すべてがボックス席だった店内を一部カウンターに。若い常連客も増えている
コーヒーは本格的なスペシャルティコーヒーを淹れ、メニューもコーヒーの香りを邪魔しないトーストやパンケーキに。手づくりの味わいは評判を呼び、名店の歴史をさらに進化させている。
「自家製小倉トースト」650円は、手づくりのあんこに、「よつ葉バター」かホイップクリームを選べる。比布町産「かっぱの健卵」のゆでたまご付き。「おこっぺ牛乳」の無添加ソフトクリームのミニサイズも追加(+250円)できる
珈琲亭 ちろる
住所/北海道旭川市3条通8丁目左7
TEL/0166-26-7788
アクセス/JR旭川駅より徒歩約8分
営業時間/10:00~17:00
定休/日曜
席数/32席(全席禁煙)
駐車場/なし