2024/05/28 12:30
北海道生活
北海道の庭|今週の花(5月27日) 浜名湖花博で出会ったガーデン風景
今回は、北海道の庭シーズンの最盛期前に、「浜中湖花博」への旅で出会った会場のガーデンや花の様子をご紹介。
ここでは、札幌近郊の長沼町で暮らす走川さんご夫婦のお庭から、今が旬の「今週の花」をお庭の様子とともに月2回 紹介していきます。手がけているお庭や植栽のこと、日々のできごとをお伝え。
撮影:走川 正裕 ・ 貴美 文:走川 貴美
5月14日~17日まで、名古屋空港セントレアを起点に中部地方を回って来ました。
本州の皆さんが「憧れの北海道ガーデン」といって道内の花めぐりを楽しむように、北海道に住むガーデナーたちも、北海道を飛び出して花の名所や有名ガーデンへ旅することが多いです。たくさんのガーデンや花の風景を見て、癒されるだけでなく、少しでも素敵なシーンを自宅の庭に取り入れたい…という気持ちからでしょうか。
さて、今回の旅の目的は、浜名湖花博。その前に少し観光も。信楽、瀬戸、常滑と陶芸の里めぐりをしてから、いざ「浜名湖花博」へ。
浜名湖花博は、はままつフラワーパーク(4/6~6/16まで)と浜名湖ガーデンパーク(4/6~6/2まで)の2カ所で行なわれています。2つの会場は車で20分くらいの距離です。
浜名湖花博、「浜名湖ガーデンパーク」会場のウエルカムガーデン
まずは「浜名湖ガーデンパーク」。浜名湖のほとりにあり、美しい自然と開放感ある景観が広がります。入り口を抜けるとウェルカムガーデンがありました。それぞれ違うカラー(色合い)で構成されたパレットのような花壇でした。ブルー、オレンジ、ダークレッド、ホワイトと、ブロックごとに手入れも行き届き、低い位置で花々が咲き誇っていました。
ウエルカムガーデン、ブルーの花色のエリア。シルバーリーフや白花が所々に入り、爽やかな印象
オレンジ~黄色のエリア。ブルーの花色が差し色に
赤い花と銅葉など、赤~ダークレッドの色彩でシックにまとめられたエリア
シルバーリーフと白花をベースにまとめた、ホワイトカラーのエリア
そうして、遊覧船で一番奥の印象派の庭へ。フランス・ジヴェルニーのモネの庭を模した、20年前の花博の際に造成されたエリアです(「花の美術館」エリア)。美術館の庭は「花の庭」「水の庭」の2つのコンセプトで構成されています。
水の庭。春から夏にかけてスイレンが咲く
花の庭。建物を背景に、花色あふれるガーデンが広がる。それぞれの花の個性を生かし、美しく華やぐ花や植物たち
花の数や手入れの行き届いたところは本家を超えるほど。前夜の雨で花弁が濡れていましたが、たくさんの水の恵みに生き生きとした表情で迎えてくれました。じつは昨年も訪れたのですが、今回は驚くほどの人で、人気の高さを実感。ここが一番の見どころポイントですから、さもありなん(当然のこと)というところでしょうか。
つる性のフジをフェンスのようにして、エリアを区切っている
色彩がとても美しく、その中でユリが主役のように咲き誇る姿に見とれてしまう
線が細くふわふわとしたグラスと、花後のアリウムの丸い姿とのコラボが面白い
戻りは、ぶらぶらと歩きながらコンテストガーデンを見て回りました。グランプリを取った高松市のGARDENSさんは、「五感で感じる水辺のヒーリングガーデン」と題し、さすがに素晴らしい展示でした。“浜名湖の水辺と合うようなデザイン”が今回のコンテストガーデンのテーマになっているようで、さまざまなグラス類が波のように見え、風に揺れる姿に癒されるような、テーマにも合ったデザインでした。
ガーデン全体に配置されるグラスの植栽が印象的。水の流れや波のような、風に揺れるグラスの姿がとても美しい
ポイントにもなっているイスを置いたスペース。ここからの眺めはどんな感じだろう…
その隣に、諏訪市のニコラス・レナハンさんのガーデン。イングリッシュガーデンの見本のような、まるでチェルシーフラワーショウに来たかのような感覚に。白とブルーの花色のコラボレーションが涼やかで、心癒される庭の展示でした。
ライン(線)のきれいな花とグラスが風にそよぎ、美しい景観をつくっている
そのほかのコンテストガーデンも、デザインや使用している植物など参考にしたいものばかり、見どころがいっぱいでした。
浜松の造園屋さんが手がけた庭。砂利の小道、ステッピングストーン、枕木の小道などいろいろなマテリアルを使って水辺を表現
さまざまな庭の展示が一堂に会するのは、花博ならですね。参考にしたい植栽の組み合わせや演出もたくさんありました。帰ったら、我が家の庭も見直してみよう…と思いました。ガーデナーはこうして、毎年どこか庭のデザインを変え、終わりのない庭づくりを楽しむのです。
次回は、「はままつフラワーパーク」の模様もお伝えしたいと思います。
最後に、我が家の現在の庭の様子。宿根草もバラもぐんぐんと成長し、茂ってきました! 木々の緑も日に日に濃くなっています。6月下旬にはバラの開花や、7月になれば宿根草も最盛期を迎えますね。楽しみです。
我が家の現在の庭は、宿根草やバラも葉を茂らせて成長中!
チューリップもまだ咲いている。宿根草との花色のコラボが素敵
プロフィール
走川 貴美
「オフィスサムグリーン」代表。「AMAサポーターズ倶楽部」代表、2016年に第27回「みどりの愛護」功労者国土交通大臣表彰受賞。日本フラワーデザイナー協会の講師なども務める。長沼町に移り住んで9年目、約750坪の庭を手入れしながら大好きな花々と緑に囲まれて暮らす。