2024/05/04 10:30
北海道生活
北海道 宿根草の育て方|5月 きれいな庭を維持するための作業
北海道のバラや宿根草、芝生や樹木、病害虫についてなど季節のお手入れ・管理をプロの皆さんが伝授。ここでは、「宿根草・草花」についてお伝えします。
文・写真:高林 初さん(苫小牧市・観光庭園 イコロの森)
初夏に向けて作業したい! 除草、株分けや移植、支柱など
北海道では、一日ごとに植物の成長を感じることのできる楽しい季節となりました。この時期の成長の勢いは、実(じつ)に目を見張るものがあります。
宿根草花壇では見ごろとなる初夏に向け、そのバランスを整えるために最も大切で忙しい季節です。
宿根草の開花の最盛期に向けて、行ないたい作業を以下にまとめます。
●花壇の除草(草取り)
除草は先手必勝! そういわれる理由はたくさんあります。
①小さいうちに除去すれば作業が大変ラクです。あっという間に終わります。
②育てたい植物にスペース(土中・地上部とも)、栄養(土中の養分、陽の光など)を集中させられます。
③通気性を確保し、病虫害の予防になります。
④見た目を美しく保てます。
早いうちに除草して、ラクしてきれいな花壇を維持しましょう。
雑草が成長する前の小さいうちはダッチホウを利用しての除草も可能。かがまなくてよいのでラクに行なえる
●勢いのバランスを調整
大切に育てている種類でも、隣の植物を侵食するほど勢力を拡大するものがあります。今の時期にはすでにその兆候は見られます。
少し難しいかもしれませんが、根茎で広がるもの、こぼれダネを落としているものなど、注意深く見て、今のうちに除去しておくとよいです。本来の株元にも実生の赤ちゃん(タネから芽を出した小株)がいっぱいあります。これらも取り除くことが既存の株を大きく育て、花を咲かせる重要なコツ。一体となってしまうと本来の株が弱ったり、花付きが悪くなったり、花壇のバランスが崩れたりもします。もったいないと思う場合は、小さな植木鉢に植え替えて、適切なサイズに育ててから、場所を決めて庭に植えましょう。
クリスマスローズの株周りも実生でいっぱい。養分を親株に集中させるためにも除去した方がよい
●移植・株分け
老化した株や混み合っている株は、株分けや移植で花壇全体のバランスを整えていきましょう。
作業は曇り(くもり)の日に行なうのがよいです。速やかに行なって、植え付け後はたっぷり水やりをします。また、作業後は数週間は状況をこまめに観察し、異変があればすぐに対応します。
株分けは2本のフォークを背中合わせにし、割くように行なう方法もある。根を切断しなくて済むので、種類によっては傷みが少ない
●支柱を施す
成長したら倒れてしまう種類には、今のうちに支柱を施しておくのが鉄則。支柱の材料や方法、サイズはさまざま。成長後の姿やご自身の好みに応じて適切な支柱を使用しましょう。
宿根草の成長前に支柱をすると効果的。支柱が目立つようなら、自然素材を使えばアートのようにも楽しめる
春のうちにこれらの作業を行なって、きれいな庭を維持しましょう。宿根草の最盛期には、見事な花風景を満喫してください。
イコロの森より、春のガーデン風景
4月下旬に近づくとチューリップがつぼみを膨らませ、あとは開花を待つばかりに。GW(ゴールデンウィーク)の頃には花開き、素敵な春の彩りとなっています。
春のホワイトガーデン。白花のチューリップや斑入りのホスタなどの組み合わせ
春は宿根草の成長が著しいボーダー花壇。茂る緑の中にチューリップや宿根プリムラなど花の彩りが際立つ
森の中にある「イコロの森」。木々の緑を背景に、優しい日差しを受けながらチューリップの花色が映えるエリアも
プロフィール
高林 初
英国Writtle College(リトルカレッジ)にてガーデンデザインを学ぶ。現在は、苫小牧市にある「イコロの森」の勤務、ヘッドガーデナー 。設計からメンテナンスまで庭づくりの幅広い経験をもとに、宿根草ガーデンの管理・栽培等を担当。
Instagram ikor_no_mori
HP イコロの森