2024/05/01 12:03
「北海道生活」編集長
青森で「ハートの桜」に出会う。
桜前線が最後にやってくる北海道。
一足先に桜の風景を狙おうと、カメラマンとともに津軽海峡を越えて青森県に行くことにしました。
しかし、「開花が早まってる!」……がーん! 全国的に桜前線は猛スピードで北上し、北海道を出発した日にはすでに、函館と札幌で2週間近く前倒しで満開になってしまったのです。
たくさんの人が満開の桜を見に函館へ押しかけている中、カメラマンと青森行きのフェリーターミナルへ。
さよなら函館山……カメラマンが、「先週弘前へ撮影に行ったカメラマンに聞いたんですが、弘前では先週満開だったから、もう桜は散ってるんじゃないかと言ってました」と余計な情報を。
テンション下がるじゃないですか!
「いえいえ、桜ってどれくらい種類あるか知ってます? 松前公園なんか250種類くらいあって、早咲きから遅咲きまであるから1カ月間どこかで何かの桜は咲いてるんですよ!」
「え!桜ってそんなに種類あるんですか!」と驚くカメラマン。
「弘前公園は約52品種、2,600本も植えられていて、屋台もたくさん出ていてすごいんだから!」……ここは「北海道生活」春号を見ながら、受け売り情報をまじえつつ、なんとかテンション上げていこうと必死です。
フェリーの旅のおともに、競走馬がいました。
まわりにもけっこう競走馬のトラックがあって、北海道から馬たちが津軽海峡を越えていくんですね~。
青森に上陸したころには、すっかり夜も更けていて……これからさらに2時間かけて八戸へ行き、南部から下北半島、津軽、そして弘前へと青森の桜を追いかけることになります。
2022年に国史跡に指定された三戸城跡の「城山公園」。
見事なしだれ桜が咲いていて、とってもきれいでした!
こういうお城は北海道には松前でしか見られないので、お城好きにもたまりません。
「小川原湖公園」の桜のトンネル。こちらも満開!
桜のトンネルは各地に名所としてありますが、北海道で有名なのは日高の「静内二十間道路桜並木」。
「日高だったら大渋滞で、人もすごくて、とても桜の撮影どころじゃないですよ!」とカメラマンはハイテンションで撮影。
いいんですか?貸し切りで、というくらい誰もいない時間帯に桜のトンネルに行けたのはラッキーでした。
遠くに鯛島が見える「愛宕山公園」も満開。しかも、誰もいない貸し切り状態。
写真ではわかりませんが、この日の気温はずっと10℃近くてとっても寒い。
北海道と同じくらい寒いので、あたたかくなれば花見客が来そうな、いい公園でした。
近くの脇野沢港から「むつ湾フェリー」に乗って、向かいの津軽地方へ。
下北から津軽へは、車や鉄道だとけっこう時間がかかるのですが、フェリーならあっという間に着くのです。
しかもこの時期たまたま、イルカウォッチングができたんです!!
あまりの興奮でうまく撮影できませんでしたが、カメラマンは望遠レンズでしっかり撮影したそうなので、のちほど「北海道生活」でご紹介します♪
津軽鉄道の「芦野公園駅」は桜のトンネルを列車が走るという有名なスポット。
満開から散りかけでしたが十分にきれいで、久しぶりにたくさんの観光客を見かけました。
桜の名所・弘前公園へ。ハートの桜があった!
いよいよ取材のメインイベント、桜の名所・弘前公園へ。
予定では満開だったはずですが、現地のカメラマンに聞いても「お堀の桜ももう葉桜で……」と悲しいお知らせ。
この日は全国的に天気も悪く、曇り時々雨。
期待していた岩木山も見えないため、ひたすら桜をアップで撮るカメラマン。
なにかテンション上げられるものはないかと、「前に訪れた際にすごく感動した、たくさんの屋台があったんですが……」と屋台のある場所を探してみました。
あった!屋台がたくさんあるエリアを見つけました。
「めっちゃ昭和じゃないですか!!」と驚くカメラマン。
北海道ではまず見られない、たくさんの屋台があり、しかも昭和な風情を残していて懐かしい感じに感動します。
お化け屋敷まであります! 思わず童心に帰り、仕事を忘れそうになりました。
お花見の名所に屋台は付き物ですが、その規模の大きさと、以前訪れた時と変わらない昭和なたたずまいに気分が上がってきました。
「では、夜桜のライトアップまで待ちましょうか」
あとはカメラマンと撮影スポットを探し、構図が決まったら、日没までひたすら待ちます。
寒い……防寒が足りなかった……
日中も肌寒いのに、ますますの寒さに震えながら、じっと待ちます。
待つこと、1時間。
キターーー! 夜桜のライトアップ、すごくきれい!
日中は葉桜だったのですが、ライトアップされると、葉桜でも全く気にならなくなることを発見。
むしろ、桜の散りはじめは夜桜のほうがきれいに見えて、「来てみてよかった!」と感動。
それだけではありません。
風が止んだ瞬間、お堀が「水鏡」になるんです!
「これこれ!風が止むのを待ってたんです!!!」とカメラマンは超ハイテンションでシャッターを切ります。
有名な春陽橋も、桜と橋と花見客が水鏡に美しく映えていて感動。すでに2時間以上経っているのですが、寒さなんかすっかり忘れてしまいました。
そして最後に、「場所は非公開」というハートの桜を探して歩きまわるカメラマンと私。
「あ!あそこだ!」
十数人の人だかりがあって、空に向かってスマホを向けている。そこには、弘前公園で偶然みつかったという「ハートの桜」があったのでした。
天気予報は悪く、事前調査でも期待できないと思っていた桜の撮影ですが、実際に来てみると桜はあちこちで咲いていました。
桜のシーズンを過ぎると、いろんな花がどんどん咲きだし、見る目を楽しませてくれます。
ただいま発売中の「北海道生活」春号では、北海道の函館・道南と東北をめぐる旅を特集していますので、ぜひ北の花の旅を楽しんでみてくださいね!
(「北海道生活」編集長)
【青森の主な桜スポット】
🌸弘前公園
「2024年弘前さくらまつり」は、5月5日まで。満開のピークを迎え、桜が散り始めると、外濠では水面を花びらが埋め尽くす「花筏」が見られる。
🌸十和田市官庁街通り
長さ約1.1km、幅約36mの道にはソメイヨシノと松の木が4列の並木をつくり、春に一斉に咲き誇る。
🌸来(か)さまい大畑さくらロード
全長約8kmにも及ぶ桜並木があり、1,400本ものソメイヨシノが通る人々を魅了する。
🌸芦野公園
公園内を津軽鉄道が走り、昔ながらの小さな駅舎やのどかな風景が訪れる人々を一段と楽しませる。
【お花の名所】
🌷手づくり村 鯉艸郷(りそうきょう)
色とりどりのルピナスやシャクヤク、花菖蒲などが5~7月に見ごろを迎える。
🌷横浜町菜の花
美しい菜の花の作付面積が国内トップクラスで、その広さは約80ヘクタール。
🌷ペンセ湿原
「日本の自然100選」にも選ばれ、ニッコウキスゲが黄色のじゅうたんを敷き詰めたような大群落を見せる。
※この記事は「北海道生活」本誌2024年春号より一部転載しています。