2024/04/28 11:30
北海道生活
中空知・食物語。炭鉱町の食文化と、大地の恵み・美味しい一杯
日本遺産「炭鉄港」である炭鉱町の食文化
近代北海道を築く礎となった空知・室蘭・小樽を、石炭と鉄鋼・港湾・鉄道というテーマで結び、人と知識の新たな動きを作り出す取り組み「炭鉄港」が、文化庁選定の「日本遺産」に登録された。それを踏まえ、中空知の各エリアに根強く残る食文化にも注目が集まっている。多彩な農産物を使ったひと品や炭鉱時代の懐かしいグルメを、ぜひ現地で楽しんでほしい。
「日本遺産」とは、地域の歴史的魅力や特色を通じて、国の文化・伝統を語るストーリーを文化庁が認定するもの。登録されたことで地域のブランド化やアイデンティティの再構築を促す
◆ガタタン(含多湯) 芦別市
かつて芦別(あしべつ)にあった人気中華料理店「幸楽」が考案したメニュー。塩味ベースのスープに、豚肉やイカ、野菜などたくさんの具を入れ、とろみをつけた一品で、炭鉱の活況にのって芦別の名物料理に。炭鉱夫たちの栄養補給にもひと役買っていた。
芦別市民にとっておなじみの味。各店でラーメンやチャーハンなどにアレンジして提供している
◆がんがん鍋 赤平市
炭鉱産業が栄えていた昭和20年頃、炭鉱長屋の石炭ストーブで作られていたスタミナ料理。豚ホルモンや豆腐、野菜が入った味噌ベースの鍋で、ガンガン煮込んでガンガン食べて働くという意味で名付けられた。現在は赤平市内の6店舗で提供している。
石炭ストーブをガンガン焚いてガンガン煮込んだ、昔懐かしい味噌仕立てのスタミナ料理
◆なんこ 歌志内市
東北・北陸から入植した開拓使により伝わったのが起源とされるひと品で、歌志内市(うたしないし)の名物料理として受け継がれている。馬の腸をやわらかく煮込んで味噌で味付けした鍋は栄養価が高く、寒い季節にぴったり。程よい食感と染み込んだ味噌の味わいがクセになる。
玉ネギやゴボウ、こんにゃく、ショウガを加えるなど、各家庭で具材や隠し味が異なる
中空知 歴史グルメ
◆ジンギスカン 滝川市
昭和初期に誕生したジンギスカンは、タレに肉を漬け込むタイプと焼いた後にタレを付ける2種類あり。どちらも美味しいが、味付けジンギスカン発祥の地である滝川市はもちろん味付け派!
・松尾ジンギスカン 滝川本店
住所/滝川市明神町3-5-12 TEL/0125-22-2989
・(有)小林精肉店
住所/滝川市江部乙町西11-13-34 TEL/0125-74-7865
・花尻ジンギスカン
(すすきの6条店・狸COMICHI店) TEL/011-784-9293
・(株)アイマトン
住所/滝川市流通団地1-4-25 TEL/0125-24-1105
◆とりめん、めはりずし 新十津川町
奈良県十津川村からの入植者がこの地 新十津川町(しんとつかわちょう)に伝えたのは、奈良県の三輪そうめんに鶏肉の卵とじをのせたやさしい味わいの「とりめん」。おにぎりに刻んだ高菜や鰹節をまぶして高菜の葉で包んだ香り高い「めはりずし」もあり、二つの町村の歴史を感じられる。
・新十津川物産館 レストランくじら
住所/樺戸郡新十津川町中央5-1 新十津川物産館2F
TEL/0125-76-3141
営業時間/11:00〜14:30
休日/月・火曜、年末年始
駐車場/あり(無料・20台)
WEB/https://bussankan.shintotsukawa.net/restaurant/
恵まれた土壌と気候風土から
確かな味わいの農畜産物が誕生
石狩平野の北部に位置する中空知エリアは、夏は昼夜の温度差が大きく、冬は道内有数の豪雪地域としても知られている。石狩川と空知川が流れる肥沃な土壌と気候が農作物の栽培に適しており、米づくりやさまざまな野菜、メロン栽培などが盛んに行なわれ、いずれも道内外で高い評価を得ている。
この地はかつて、炭鉱産業が盛んに行なわれていたことから、炭鉱夫たちの栄養やパワー補給のために、地元食材を生かしたさまざまな料理が生まれてきた。今ではすっかりおなじみとなった漬け込みジンギスカンが誕生したのもこの地域とされており、肉の旨味を引き出した味わいが支持され、道内各地へと広まっていった。ほかにも、エゾシカ肉や合鴨などのジビエ、ブランド豚肉である『上原ポーク』も特産品として注目を集めている。
料理に合わせるお酒づくりにも力を入れており、地元の酒米を使った日本酒や、伝統的な醸造方法で作られたクラフトビールは道内外で知られている。さらに、冷涼な気候風土を利用してワインの栽培•醸造を始めた中空知エリア初のワイナリー「えべおつWein(ヴァイン)」も話題になっている。2019年には「虹」の名前でワインを初リリースし、新たな食文化の広がりが期待されている。
中空知の 大地の恵み
◆お米
浦臼町 赤平市 奈井江町 新十津川町 滝川市 芦別市 雨竜町
道内屈指の米どころで、雨竜町(うりゅうちょう)の『うりゅう米』はブランド米として知られている。ほかにも『ゆめぴりか』や『ななつぼし』など、道産米のクオリティの高さに定評がある。
◆上原ポーク 砂川市
砂川農場で育った『上原ポーク』は、濃厚な脂身と赤身が特徴。さっぱりとした口当たりが美味しいと評判。
◆あいがも 滝川市
滝川(たきかわ)の豊かな自然で育てられた合鴨は、やわらかな肉質で臭みもなく旨味たっぷり。市内のスーパーや道の駅で購入できる。
◆暑寒メロン 雨竜町
雨竜町(うりゅうちょう)を産地とする「暑寒メロン」は糖度が高い青色果肉で、芳醇な香りとたっぷりの果汁が魅力。
◆鹿肉 浦臼町
浦臼町(うらうすちょう)や近隣市町村で捕獲されたエゾシカの肉を工場で加工。スーパーや小売店で販売している。
中空知の 美味しい一杯
◆地酒 新十津川町ほか
中空知唯一の酒蔵、新十津川町(しんとつかわちょう)の「金滴酒造」では、酒米や道産原料にこだわった日本酒を醸造・販売している。
◆クラフトビール 滝川市
滝川市では3種のクラフトビールや特産品のりんごを使ったフルーツビールもあり。
◆ワイン 歌志内市、滝川市、浦臼町
北海道を代表するワイナリー「北海道ワイン」の自社農場。
中空知初のワイナリー「えべおつwine」も。
・えべおつWein
住所/滝川市江部乙町東11丁目758
TEL/080-6087-3650
◆トマトジュース 奈井江町、浦臼町
土作りにもこだわる中空知の大地から生み出されるトマトジュースは、糖度が高く全国からも人気を集めている。
「すながわスイートロード」
砂川市(すながわし)を通る国道12号線沿いを中心に、数多くの菓子店やカフェが点在する「すながわスイートロード」。空知が炭鉱で栄えていた時代から労働者の疲れを癒してきた創業100年以上の老舗店や、全国的にも知名度の高いメーカーの個性的な銘菓を求めて、多くのゲストが訪れる。
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もっと詳しく!中空知の観光情報
・北海道・中空知を楽しむマガジン「なかなか」
https://www.nakasorachi.com/images/2023_nakasorachi_pamphlet.pdf
・芦別市
・赤平市
http://akabirakankoukyoukai.jp/
・滝川市
・砂川市
・歌志内市
https://www.city.utashinai.hokkaido.jp/hotnews/category/6.html
・奈井江町
・上砂川町
https://town.kamisunagawa.hokkaido.jp/sangyo_kanko/index.html
・浦臼町
https://www.town.urausu.hokkaido.jp/kankou/index.html
・新十津川町
https://www.town.shintotsukawa.lg.jp/kanko/
・雨竜町
・中空知広域市町村圏組合