2024/04/26 10:30
niwacul
ハーバルライフ|春の庭に咲く花と、アレルギー緩和に役立つハーブ
北海道にも春の季節がやってきました。今回は、我が家のハーブの庭に咲く春の花と、アレルギー緩和に役立つハーブをお伝えします。
このコーナーでは、香りを持つ植物の魅力に惹かれて、育てる、眺める、味わう―、日々の出来事をハーブ研究家のかりのあさのさんがつづります。「風葉香(ふうか)」は、風で葉っぱが揺れ香るハーブのことをイメージして。
取材協力:かりの あさの さん(herbarist・ハーブ研究家)
庭の日当たりのよい場所はすっかり雪が解け、土が見えてくるとじっとしていられなくなりますよね。冬囲いを外し、枯れ葉を取り除き、土を耕したり肥料をすき込んだり、強くなる紫外線を気にしながらも外にいる時間が一気に増えます。
今の時期は毎年、パンジーとビオラの寄せ植えをつくって玄関先に飾っています。こぼれ種で増え、越冬したパンジーやビオラの小さな苗を庭から掘り起こし、寄せ植えに利用しています。
春一番に楽しめるパンジー&ビオラ! 色鮮やかで春にぴったり
エディブルフラワーとしても利用できる花はたくさんの種類があり、パンジーやビオラもその一つですが、エディブルフラワー専用(薬剤処理していないもの)のタネや苗が店頭に並び始めると、ついつい足を運んでしまいます。春が来たことを実感しますね。
春を感じる花といえば、ムスカリやチューリップ、スイセンなどもそうですね! 秋に植えた球根(春咲きの球根)たちが、長い冬を越してふっくらと花を咲かせます。北国の冬の真っ白な世界から景色がどんどん変わっていく様子は、毎年飽きることがありません。
チューリップなどの球根は秋に準備して植えるのですが、庭は片づけに向かう頃。寂しい気持ちになりがちなので、春をイメージして鮮やかな花色を選ぶのがポイント!……と言いつつも、我が家では結局好きな花色に落ち着く感じです。また、カットしたり抜いたりの片づけと同時に、新たに球根を植える作業は不思議な感覚になりますよね。
チューリップも次々と開花し始める。白と黄緑のストライプや、白から薄いピンク色に変化していくタイプがお気に入り
ムスカリは植えっぱなしでも年々球根が増えてくれるので、ありがたい存在です。増えたものを秋のうちにチューリップの球根と一緒に寄せ植えにすることが多いです。
ムスカリ。青や紫、白などの花色があり、可愛らしい花の姿。チューリップと一緒に寄せ植えに!
宿根草では、春の花で一番好きなのがブルンネラ。ランナーで増えていき、ブルーの絨毯のように一面に花を咲かせて、地面を覆ってくれます。
ブルンネラ。ブルーの小花が爽やか
また、今シーズンのキッチンガーデンづくりを春に始めます。大きめのコンテナを使って、ハーブの種まき! シーズン中に育てたハーブを料理に使ったり、サイズの小さいうちに収穫しベビーリーフとしてサラダに使ったりします。広い畑で大きく育てる以外にも、少量多品種の野菜やハーブをコンテナ植えで育てる楽しみ方もあります。
ベビーリーフは、ハーブのタネをまき、発芽してある程度のサイズになったものから収穫していきます。若い芽葉は栄養価が高く、香り豊かなのが特徴です。少しだけ香りづけに、サラダに、付け合わせになど、小さなサイズだからこそ役に立つことが結構あります。
ハーブのタネをまいて、ベビーリーフとして使うのもおすすめ
タネまきで容易に育てられる野菜の一つに、コールラビがあります。サクサクした食感はキャベツの茎の部分に似ていて大好きな野菜です。これもコンテナ栽培が可能です。
タネから簡単に育ってくれるコールラビ
地温が上がってくるとグングンと伸びてくるチャイブは、我が家ではネギの代わりに大活躍しています。辛味が少なく、甘さが強いアサツキのような感じ。刻んだり炒めたり、秋遅くまでよく食べているハーブです。
花もネギの香りがするので、タネができる前のやわらかいときに収穫し、かつお節に散らして醤油(しょうゆ)をたらし、おむすびの具材にすることもあります。
チャイブの花は庭の彩りにも。花は6月頃に咲く
勢いよく育ってくるチャイブ。春はやわらかく、とても美味しい
新緑の季節は、アレルギーの季節の始まりでもあります。白樺(シラカバ)花粉やブタクサ、イネ科の植物などによって涙目になったり、鼻の調子がよくなかったり、悩ましいものですね。
アレルギー対策にも、私はハーブを利用しています。花粉症を治療するということではなく、あくまで花粉症の不快な症状を乗り切るための、心身のバランスを整えるサポートとして、ハーブの香りや成分を取り入れています。持病や症状、体質によって使わない方がよいハーブもあるので、わからないときは専門家に相談してみましょう。
ハーブティーをブレンドしながら体調管理も
アレルギー症状の緩和に役立つといわれているハーブを、いくつかご紹介しましょう。
エキナセアは、宿根草ガーデンでは主役になる時期が長いハーブ。根、茎、葉を乾燥させ、細かくしてお茶にします。さほど癖(くせ)はないので、ストレートでも飲みやすいと思います。免疫力に働きかける効能が期待できるのは、エキナセア プルプレア種、アンギスティフォリア種、パリダ種です。
エキナセア。白花やピンク色の花が庭でも重宝するハーブ
マヌカは、可愛らしい花は1円玉くらいのサイズ。有名なマヌカハニーは、この花から採取されます。殺菌効果が期待できるので、喉が不調のときにお世話になるマヌカハニーは常備しています。
マヌカの花。北海道では戸外越冬はできないので、鉢植えで育てて冬は室内で管理している
知らない人はいないくらい有名なハーブの一つ、ジャーマンカモミールは、青リンゴのような甘い香りが特徴です。お茶にするととても美味しいです。リラックスしたいときに、最適ですね。ジャーマンカモミールは一年草扱いですが、こぼれダネで毎年たくさん発芽して育っています。
また、ローマンカモミールは青リンゴのような香りと甘さがありますが、お茶にするとジャーマンカモミールとは違って少し苦味があります。ローマンカモミールは宿根草扱いです。
ローマンカモミール。やわらかな草姿で、地面を覆うようにして可愛らしい花を付ける。お茶にすると苦味があり、ジャーマンカモミールとは味わいが異なる
ジャーマンカモミール。人気の高いハーブの一つ。草丈はローマンカモミールよりも大きく、草姿がしっかりとしている
ミントは、爽やかな香りが鼻の奥をスッキリさせてくれます。草姿が茂って育ってきたらカットしてネットに入れ、湯船に浮かべて利用します。
ミント。暑くなる季節には庭からたくさんのミントを摘んでお風呂に利用する、癒しの時間を味わってみて
私がハーブを育てている理由の一つは、さまざまな製品の原材料にもなっているハーブとしての植物が、どんな姿をしていてどの部分を利用しているのかに興味があるからです。どこから香りを放っているのか、どんな花が咲くのか、庭でその楽しみを存分に味わっています。
今シーズンもいろいろなハーブから、パワーを分けてもらおうと思います。
プロフィール
かりの あさの
herbarist・ハーブ研究家。北海道札幌市内に在住。ハーブやアロマの指導員などの資格を有し、30年以上植物と向き合い得た知識・経験をもとに、企業のアンバサダーや商品開発に携わる。また、さまざまな講座開催や公共の場での「みどりのまちづくり」のサポートなど、幅広く「ハーブのある暮らしの魅力」を伝えている。
・かりのあさの lit.link(リットリンク)https://lit.link/karinoasano
HP「ハーブまるごと活用生活」、Facebook「かりのハーブcom」やInstagram「karinoherb」をまとめて掲載中