2024/04/16 15:00
niwacul
北海道 バラの育て方|4月 枝の剪定は春先に行なう!
北海道でガーデニングを楽しむための、バラや宿根草などの植物、病害虫についてなど季節のお手入れ・管理をプロの皆さんが伝授。ここでは、「バラ」についてお伝えします。
文・写真:曽根 浩太さん(岩見沢市・いわみざわ公園バラ園)
北海道では春先が剪定のタイミング
3月は、雪解けが早まったかと思えば夜温がなかなか下がらず、思ったよりも春はまだ先といった感じでしたね。一度融雪したその後に寒くなるというのは、バラにとっても一番嫌なパターンなので、冬囲いの中がどうなっているのか心配でどきどきしました。
そして北海道の4月は、バラ栽培の一番の仕事といえば、やはり剪定です! 北海道でのバラの剪定は、基本的には春先のタイミングでしか行なわないので重要な作業となります。
冬囲いを外すと同時に剪定作業が始まる
剪定は大きく分けて、3つの工程があります。①老化枝や凍害枝といった不要な枝を取り去る、②開花に必要な太さまで切り詰める、③枝の数を減らし風通しをよくする「透かし」の工程になります。
開花に必要な枝の太さというのは、つるバラ以外のバラでは基本的に系統、花の大きさで変わってきます。
・大輪品種は、鉛筆程度の太さで切り詰める
HT(ハイブリッドティー)、Gr(グランディフローラ)など
細枝や枯れ枝をすべて切り、鉛筆程度の太さのところで剪定。枝の混み具合や庭に植栽されている位置なども考慮して、芽の向きを考えること。写真は、HT系のバラ‘クシェル’の例。
剪定前:左/細枝や枯れ枝なども多く見られる 右/赤線部分は、枝が細く切り去る対象。黄色線くらいから残す枝になる
剪定は、鉛筆程度の太さのところで行なう。すべて外芽の上でカット
外側を向いている芽の上でカットすると、外に枝が伸びいきバランスのよい樹形に。切るときは斜めに、芽の上5mmくらい
剪定後:枝が整理されてすっきり。今シーズンの枝が伸長して花を付ける
・中輪品種は、割りばし程度の太さで切り詰める
Fl(フロリバンダ)、ER(イングリッシュローズ)など
・小輪品種は、竹串程度の太さで芽がある箇所まで切り詰める
S(シュラブ)、Pol(ポリアンサ)、HMsk(ハイブリッドムスク)
S系は中輪の品種も多くありますが、小輪品種と同様の太さでも花付きよく咲いてくれる品種が多く、それぞれ品種の性質を見極めて剪定を行ないましょう。
枝の太さで切り詰めていくと、内側から出ている細い枝もしっかり取り去ることになり、あえて枝を透かすことはしなくても適正な枝数になる場合もあります。それでも枝が多い場合は、枝同士が重なっていたり、樹形を乱すような逆行枝などを切りましょう。そのほか、凍害枝や黒くなって芽が出そうにない枝なども整理が必要となります。
今後のことも考えながら行なう剪定は、意外と楽しい作業です。あまり深く悩まずに、楽しみながら行なってください。
凍害枝。黒くなってここから芽が出るのは期待ができない
シワがよった枝。枝数が少なければいったん残すが、ほぼこのあと枯れてしまう
プロフィール
曽根 浩太
酪農学園大学卒業後、地方公務員を経て「いわみざわ公園バラ園」へ勤務。北海道のバラ栽培の専門家・工藤敏博氏(イコロの森)に師事し、バラ園の管理・栽培にあたる。今後の北海道のバラ栽培における専門家の一人。
Instagram iwamizawa_rosegarden
Facebook いわみざわ公園バラ園
HP いわみざわ公園