2024/03/17 10:00
「北海道生活」編集長
やぎさん取材日記|巻頭特集より 函館の秘境で野生馬を見た!
めっちゃこっちを見ている、ここは牧場ではありません。
函館の山にいた、野生馬……。
現在発売中の「北海道生活」春号は、函館と道南の特集。
表紙を見て「ここが函館?」と思った方もいるかもしれませんが、そうです、ここは函館市内なんです。
昨年、函館を取材して偶然出会った野生馬たち。それはちょうど、2023年の春から始まりました……
4月、函館で野生馬に出会う。
北海道の4月は、春というよりは、まだまだ冬の終わり。
雪解けもまだなのに夏号の取材をしなければならず、景色が茶色いなあと思いながら、駅弁「かなやのかにめし」をおともにJRの旅へ。
雪解け間近の北の空に向かい~♪という歌がありましたが、まさに「いい日旅立ち」なできごとがありました。
ちょうどそのころは、昨年の「北海道生活」春号が鉄道特集だったので、なつかしの駅弁を買うために、長万部駅で途中下車して走って買いに行った「かにめし」なのでした。
昨年の「北海道生活」夏号はアウトドアの特集で、函館で唯一アウトドアガイドをしている「Hakodate Adventure Tour」の中田さんを取材しに、函館にやってきた私。
中田さんには「とっておきの場所でインタビューしたい」
とお願いしたところ、全く知らない場所へ連れて行ってもらったのです。
そこは汐首山(しおくびやま)という地図にもあまりのっていない小さな山。
函館の中心部から車で20分くらい、誰もいない漁港で中田さんと待ち合わせ。
カメラマンと3人で山を登って行くと……
「えーーー! 馬???」
どうみても牧場ではなく、山にいる野生馬だったのです。(そのようすは本誌で詳しく)
ここが中田さんのとっておきの場所。野生馬たちが見守る中、インタビューをさせていただきました。そのもようは「北海道生活」2023年夏号でたっぷりご紹介しています※
※「北海道生活」2023年夏号のバックナンバーは、Yahoo!ショッピング または Fujisan.co.jp で販売しています
「ここが函館?うそ!」と衝撃的なロケーション。
「来年3月は函館の特集だ!表紙にしたい!」とこの時に決意し、まだまだ茶色い春の景色を眺めながら、「次は表紙を狙いに来るぞ~」と誓ったのでした。
6月、再び野生馬に会いに行く。
「北海道生活」夏号のアウトドア特集も発売となった昨年の6月、すでに次の撮影のためカメラマンと飛び回っていた私。
函館の野生馬の写真を見たカメラマンから「ここで写真を撮りたい!」と手を挙げられたので、二人で函館にやってきました。
再び中田さんに連絡、「また野生馬のところ連れてってください。今度は来年の春号です」。
なかなか珍しい、取材のリピーターです(笑)
2カ月ぶりに中田さんに再会、同じ漁港で待ち合わせて、同じ山道を歩いて頂上へ。
春に茶色かった山は、いつしか緑におおわれていました。
広がる青い海、青い空、遠くには函館山から市街地までが見渡せます。
運動不足の体には少々キツイ山登りですが、カメラマンは野生馬を探してどんどん先に行ってしまったので、中田さんに周りの草花を教えてもらいながらのんびりと山道を歩いていきました。
「いた!」
二つくらいアップダウンした先に、野生馬の群れがいました。
右側には津軽海峡が広がり、奥には恵山の山々が見えています。
カメラマンは夢中になって飛び回り、あちこちで野生馬の風景を撮影。
それこそ馬耳東風の野生馬たちは、ゆうゆうと草を食んでいます。野生ですが、まったく人を怖れる気配はありません。
たくさんの野生馬の写真から撮影した数々は、時間をかけてじっくりと後で編集させていただきました。
もちろん取材はほかにもあり、宮田さんにとっておきの場所へとどんどん連れて行ってもらいました。
こちらは「風の谷のナウシカ」に出て来そうな巨木。パワースポットとして知る人ぞ知る場所だそうです。
今はネットで調べればどこでも自分で行けますが、中田さんのツアーはプロならではの視点で安全に秘境へと連れて行ってもらえます。目的地に行く途中でも、函館にはこんな自然があるのか!とさまざまな発見ができますよ。
行ってみたい方はぜひ、「Hakodate Adventure Tour」の【オーダーメイドツアー】から申し込んでください。
Hakodate Adventure Tour(オーダーメイドツアー)
10月、またまた野生馬に会いに行く。
季節は秋……風景の写真は夏に撮り終えたので、今度はお店を取材しに別のカメラマンと函館へ。
すると、こちらのカメラマンも「野生馬に会いに行きたい!」。
もう撮影は済んでいるので、「もし天気が良くて、取材の時間が余ったら行ってみましょうか」ということになりました。
運よく予定していた取材がさくさく進み、カメラマンも「ぜひ行きましょう!」ということで、三度目の汐首山へ……。
今度は予定が立たなかったため、ガイドの方はいません。
2回行った経験と記憶をたよりに、カメラマンとやってきました。
「ヒグマ出没注意!」の札にビビります。ここは函館、北海道ですからヒグマはいるのです。
(そんなわけでプロのガイドと同行することは大事なんですね)
カメラマンと二人きりだと、だんだん心配になってきます。
野生馬はちゃんといるだろうか? いや、野生だからちゃんといるわけじゃない。でも空振りにならないだろうか?
無言で歩いていると、向こうから地元の人々が降りてきました。「馬、いたかい?」
「まだ見てません」「あっちがわにいたよ。このまま歩いてったら見つからないかもしれないね」。
天の采配とはこのこと、歩いていた道を行くのをやめ、カメラマンと草っぱらの道なき道を登っていきました!
あー!いたーー!
元気に先を登って行ったカメラマンが、野生馬たちを見つけていました。あのまま山道を歩いていたら全くの死角。ガイドなしだったので、空振りの可能性は大いにありました。
1回目も2回目も、こんなところにはいなかったのに、さすが野生だ!と、はやる心を押さえながら私も必死に山を登りました。
そして山の上に上がってみると、「なんということでしょう」。
そこには函館の市街地を見下ろす場所に、野生馬たちがのんびりと草を食んでいたのです。
奇跡的に撮れた一枚が、今回の「北海道生活」夏号の表紙になっています。
3人のカメラマンと登った汐首山の風景、そして、そのようすは「北海道生活」夏号の巻頭グラビアをぜひご覧くださいね!
(「北海道生活」編集長)