2024/03/15 11:30
niwacul
ポタジェ|ドライフラワーにおすすめの草花8選
今回は、ドライフラワーに向くハーブや花の紹介と、きれいにドライフラワーにするコツなどをお伝え。
このコーナーでは、季節ごとの野菜やハーブ、果樹、お花など、相性のよいコンパニオンプランツを組み合わせながら育てて楽しむ“ポタジェのある暮らし”を紹介していきます。お料理や花のクラフトも。
文・写真:藤井 純子さん(ピュア・ポタジェ代表)
ここ数年、ナチュラルな色合いのドライフラワーが人気ですね。ご自宅の庭で育てた花をドライフラワーにして、スワッグなどをつくってみたいと思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、ドライフラワーに向くハーブや花の紹介と合わせて、きれいにドライフラワーにするコツなどをご紹介したいと思います。今年のガーデンプランにこれらの植物を取り入れて、クラフトづくりを楽しんでください。
アジサイとラベンダー、ラムズイヤー、ムギを組み合わせたスワッグ
野ブドウのつるの土台にホップとヤロウを組み合わせたリース
おすすめの草花8選
●千日紅(ヒユ科、一年草)
千日紅(センニチコウ)の丸い形状が可愛らしい
【特徴】
熱帯アメリカ原産といわれる千日紅は、暑さと乾燥に強く丈夫な植物。ドライフラワーにしても色が褪せづらいためリースなどの差し色に重宝します。
花に見える部分は苞(ほう)と呼ばれる葉のようなもので、実際の花は苞の隙間に小さく咲いています。濃いピンクや淡いピンク色の花(苞)が、千日色褪せないことから千日紅という名前がついたという説があります。
ピンク色の千日紅が入るだけで華やかな印象に
【栽培】
日当たりがよく、水はけのよい場所に植え、花が咲いたらできるだけ茎が長くなるように切りましょう。千日紅には、草丈30㎝ほどの低い品種や草丈80cmほどと高くなる品種がありますので、庭のデザインに合わせて好みの品種を選ぶとよいでしょう。ドライにするときは、数本束ねて花を下に向けてドライフラワーにします。洗濯バサミ付きの物干しハンガーなどを利用して乾燥すると便利ですよ。
洗濯ハンガーを使うと便利
●コットン(アオイ科、一年草)
クリーム色の花が美しいコットン
【特徴】
アジアや中南米が原産といわれるコットンは綿花とも呼ばれ、オクラやマロウと同じアオイ科の植物。美しいクリーム色の一日花が咲きます。本来は多年草ですが、日本の寒さでは越冬できないため一年草扱いになります。実が膨らんで弾けると中から綿が出てきます。白い綿以外にも茶色の品種もありますので、好みのものを選んでくださいね。
左/コットンの実が膨らんでいる 右/綿の中には5mmほどの大きさのタネが入っている
【栽培】
コットンは移植を嫌うため直播き(じかまき)がベストですが、発芽温度は25~30℃と高いため、苗をつくってから定植するのがよいでしょう。プランターや苗ポットに播種(はしゅ:タネをまく)して、本葉が4~5枚になり、外気温がしっかりと上がってから庭に定植するようにします。放っておくと草丈が1m以上になるので、草丈が80cmほどになったら摘芯(てきしん:先端の芽を摘む)すると、脇芽が育ち花(実)が増えます。そのタイミングで、台風などで倒れることがないように、周囲に支柱を立てヒモで縛ると安心です。
1本ずつ支柱を立てるよりも簡単に設置できる
北海道などの寒冷地では、栽培中に実が弾けない場合があります。そんなときは、晩秋に収穫した実をあたたかい室内に置くと、実が弾けることがあるので試してみてくださね。ワイヤーメッシュや焼き肉用の網などにキッチンペーパーを敷き、重ならないようにしておくとカビを予防できます。
ビニールコーティングされたワイヤーメッシュは使い勝手がよくておすすめ
●ラムズイヤー(シソ科、多年草)
用途が多彩なラムズイヤー
【特徴】
アジア南部が原産といわれるラムズイヤー。「羊の耳」とも呼ばれる通り、やわらかな手触りとシルバーリーフがガーデニングでも人気の植物ですね。かつては打ち身の湿布など薬用ハーブとして利用されていましたが、現在は観賞用として庭の植栽の一つになっています。上品なシルバーリーフは、いろいろな花材と相性がよく、主役にも脇役にもなります。
【栽培】
耐寒性のある多年草(宿根草)で、宿根草ガーデンで人気の植栽の一つ。高温多湿にやや弱いため、水はけがよく、日当たりと風通しのよい場所に植えるようにしましょう。越冬後や雨が多い時期などは、病害虫予防のためにも枯れ葉を取り除き、風通しがよくなるように手入れをします。
雪解け後の様子。黄色で囲んだ部分(株の周囲)は、枯れた葉をきれに取り除くこと
ラムズイヤーをドライにする場合は、花が咲く前に収穫するとやわらかいドライフラワーに仕上がります。つぼみが膨らんできたタイミングで収穫し、5~8本程度を束にして穂を下に向け、風通しのよい日陰で乾燥させましょう。千日紅と同様に洗濯バサミ付きの物干しハンガーなどを利用すると便利です。
株分けでも容易に育つ、育てやすい植物です。クラフト用に取り入れてみるのもよいですね。
左/ピンク色の花を咲かせるラムズイヤー 右/5~8本を束ねて干す
●ヤロウ(シソ科、多年草)
白、ピンク、黄色、赤などカラーも豊富なヤロウは庭の植栽にもおすすめ
【特徴】
地中海沿岸が原産で、暑さ寒さにも強いため容易に栽培できます。花色が豊富なのでドライフラワーはもちろん花壇にもおすすめ。アレキアという学名を持つヤロウは、古代ギリシャの英雄アキレスが、トロイ戦争で兵士の傷口をヤロウの葉で手当てしたことが名前の由来。葉に含まれる成分には止血効果があるといわれ、熱湯に葉を浸して冷ました浸出液は、傷薬として使用できるそう。
【栽培】
耐寒性多年草(宿根草)で、北海道のお庭でもよく育ちます。日当たりがよく、水はけのよい場所に植えましょう。地下茎を伸ばして生長するので、株間を広めに確保するのがおすすめです。開花期間は長いですが徐々に色褪せてくるので、適宜収穫してドライフラワーにするのがよいでしょう。
●ラベンダー(シソ科、多年草)
ラベンダーは野菜との混植には向かないため、菜園の周囲に植えるのがおすすめ
【特徴】
フランスやイタリアなどの地中海沿岸が主な原産地のラベンダー。ドライフラワーやポプリ、精油でも人気のハーブです。ラベンダーの香りにはリラックス効果があるので、眠れない夜などに香りをかぐと気持ちが落ち着きます。
【栽培】
耐寒性の強い多年草(宿根草)。ラベンダーは高温多湿が苦手なため、日当たりと風通しがよい場所に植えましょう。枝が込み合ってくると蒸れの原因になります。春先の新芽が出てくる時期(北海道では冬囲いを外す時期)と、花が咲き終わったタイミングで枯れた枝や老化した枝などは取り除くようにします。
左が開花した様子、右はつぼみ。花が咲く直前のつぼみの状態が最も香りがよい
開花直前の香りが強い時期に、黄色ライン(左下の写真)のところから収穫します。余分な葉を取り除き、20本ほどで束にして、千日紅と同様に花を下に向けて風通しのよい日陰で乾燥させます。しっかりと乾燥したら大きめの菓子箱などに入れて冷暗所に置くと、色も香りもよく保管できます。
左/黄色いラインのところから収穫する 右/余分な葉を取り除き、20本ほど束ねて乾燥させる
●野ブドウ(ブドウ科、つる性落葉低木)
水色や紫などカラフルな実が美しい
【特徴】
水色や紫などカラフルな小さな実を付ける野ブドウ。古くは漢方薬として利用されてきたそうですが、現在は観賞用として庭で楽しまれています。
野ブドウのツルは、適度にしなりやすいため輪がつくりやすい
リースの土台やカゴづくりにはアケビを使うのが一般的ですが、野ブドウのつるは細くてしなりやすいためリースの土台づくりにもおすすめ。半日~1日干してから輪にします。風通しのよい日陰で乾燥させてから段ボールなどに入れ保管しましょう。
【栽培】
日本各地の野山や藪などに自生するつる野ブドウは、。日当たりがよい場所であれば、土質を選ばず栽培できます。斑入りの園芸品種もあります。
●ほうきもろこし(イネ科、一年草)
草丈が3mほどに成長するほうきもろこし
【特徴】
座敷ほうきの原材料になるほうきもろこし。穂先にできる実を取り除いて束ねていくと、座敷ほうきができあがります。また、実の色合いを生かしたリースやスワッグも素敵です。
薄茶から濃い赤色のグラデーションを生かしたリース
【栽培】
ほうきもろこしはタネを直播きして育てます。中間地では5月初旬、寒冷地では5月中旬に播種します。株間は20~30cm、3~5粒を点まきし(土に1cm程度の穴をあけてタネをまく)、草丈が20cmほどで1~2本に間引き(1~2本残して抜く)します。草丈が1mを超える頃になったら、コットンと同様に倒伏予防に周囲を囲むように支柱を立てると安心です。座敷ほうきにする場合は、穂先の実が緑色のうちに収穫すると、やわらかな座敷ほうきに仕上がります。
タネ採りする場合は、実が濃い赤色になった頃に収穫。赤い実をリースなどに利用する場合は、頃合いを見て収穫しましょう。実を下に向けて風通しのよい日陰で乾燥させます。
ほうきはインテリアとして飾っても素敵
●ホップ(アサ科、つる性多年草)
苞が重なり合った毬花(球花)
【特徴】
ビールの苦み、香りづけに利用されるホップ。松ぼっくりのように見える部分は、苞と呼ばれる葉っぱのようなものが重なり合ったもので、毬花(まりはな)または球花(きゅうか)と呼ばれています。苞のつけ根に分泌線があり、そこに苦みや香りの成分があります。ホップの香りには鎮静作用があるので、リースにもそんな効果が期待できるかもしれませんね。
リースをつくるときは、摘みたてのホップを使う
毬花は早く収穫するとしぼんでシワシワになるため、苞にハリがでてきた8月中旬頃に収穫するときれいなリースに仕上がります。
【栽培】
日当たりと風通しがよく、冷涼な環境を好むホップ。耐寒性多年草です。雄と雌それぞれの株がありますが、受粉すると香りが弱まるため雌株だけを栽培します。株分けも容易にできますが、繫殖力が旺盛なので広い場所に植えるようにしましょう。
物干し台を利用してホップを誘引している様子。グリーンのナチュラルな雰囲気を演出してくれる
季節の変化を感じながら一つ一つの植物を丁寧(ていねい)に育て、その材料でリースやスワッグをつくるひとときを楽しんでみてくださいね。
プロフィール
藤井 純子
「Pure Potager(ピュア ポタジェ)」代表。ポタジェ・アドバイザーとして道新文化センター札幌校などのセミナー講師のほか、新聞・雑誌にて執筆活動を行なう。また、ポタジェの魅力を一冊にまとめた「Green Finger ポタジェ~小さな庭が与えてくれる恵みと幸せ~」を執筆。「コーチャンフォーミュンヘン大橋店」で取り扱いのほか、HPに掲載のネットショップを利用。またはAmazonでも販売、「ポタジェ」で検索。
HP ピュア・ポタジェ
Instagram pure.potager
YouTube ポタジェ『心と身体を癒す庭へようこそ』 @lifewithpotager401