2024/03/08 11:30
niwacul
北海道 バラの育て方|3月 雪解けが早まると心配なバラの凍害
北海道でガーデニングを楽しむための、バラや宿根草などの植物、病害虫についてなど季節のお手入れ・管理をプロの皆さんが伝授。ここでは、「バラ」についてお伝えします。
文・写真:曽根 浩太さん(岩見沢市・いわみざわ公園バラ園)
雪解けが早い年は 寒風による凍害に注意を
先月は、北海道の2月とは思えないほどあたたかな気温の日もあり、かなり雪解けが進んだようですね。雪解けが早まれば庭仕事ができるようになり、バラの囲い外しなども早く行ないたくなると思います。しかし、作業が早すぎると寒風にさらされて凍害が進んでしまうので、耐寒性が低いバラはもう少しじっとこらえましょう。
雪解けが早いととても心配になるのが、雪による断熱効果の減少です。バラの株が雪に覆われることで外の冷気をシャットアウトし、気温の影響を受けにくくなります。積雪面からの距離や地表面からの距離にもよりますが、雪の中の温度はだいたい0℃近くに保たれます。雪室や雪中貯蔵はこの性質を利用したものになりますが、植物の越冬に関してもこの雪の断熱効果はとても重要になります。
いわみざわ公園バラ園がある岩見沢市は、植物の耐寒性の指標の一つであるハーディネスゾーン(※)において、「Z5」(ゾーン5:マイナス28.8℃~マイナス23.3℃)程度の地域になりますが、ハーディネスゾーンは最低気温を基準として定めており、積雪量を考慮していません。厳冬期の1月~2月にかけてバラがしっかりと雪の下になっていれば、Z5よりも最低気温の高い地域で選ばれるバラも育てることができますが、今シーズンのように雪解けが早い場合には注意が必要になります。
年によっても積雪状況は変わる。写真は2021/03/03撮影、囲いの竹すら見えないほどしっかり雪を被っているので安心!
2024/02/20撮影。ほぼ株の足元まで見えており、冷え込んだ場合は凍害が多くなり不安…
バラに関して、すべてのバラがハーディネスゾーンを調べられているわけではありませんが、ご自宅のある地域の特性に合わせたバラ選びの参考になると思います。
※ハーディネスゾーン:植物の耐寒性ゾーン(寒さに対して生育可能な地域)を表すもので、耐寒温度の指標としてゾーンナンバーで分けられる。数字が低ければより寒い地域(ゾーン)となり、厳しい寒さへの耐寒性が求められ、数字が高くなればより温暖な地域となり、耐寒性が低い植物や、反対に耐暑性が求められることがわかる。
プロフィール
曽根 浩太
酪農学園大学卒業後、地方公務員を経て「いわみざわ公園バラ園」へ勤務。北海道のバラ栽培の専門家・工藤敏博氏(イコロの森)に師事し、バラ園の管理・栽培にあたる。今後の北海道のバラ栽培における専門家の一人。
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