2024/03/08 11:30
niwacul
北海道 宿根草の育て方|3月 プランターは雪から取り出して管理を
北海道のバラや宿根草、芝生や樹木、病害虫についてなど季節のお手入れ・管理をプロの皆さんが伝授。ここでは、「宿根草・草花」についてお伝えします。
文・写真:高林 初さん(苫小牧市・観光庭園 イコロの森)
戸外越冬させたプランターの 雪解け時の作業と管理の注意点
雪解けが始まる季節となりました。もうすぐ訪れる春が待ち遠しいですね。
雪解け時にいち早く行なう作業としては、昨年の秋に仕込んだ球根類や宿根草のプランター(鉢植え・ポット植え)などが、積雪が減って姿を現し始めたら、雪の中から取り出す作業があります。
まずはその作業についてと、取り出した後の管理の注意点をお伝えします。
秋に仕込んだチューリップなどの球根類。鉢を1カ所に集めて春のディスプレイに。春までしっかり管理して楽しもう!
近年は気温の上下が激しく、雪解けの時期も例外ではありません。急に暖かくなったと思ったら大雪が降り、寒風にさらされるなど、人も植物も大変です。
雪が解けて、雪の保温効果が得られなくなったプランターの植物は凍害や根腐れなど、思わぬダメージを受けてしまうことがあります。そのため、プランターが見えてきたら雪をかいて取り出します。
雪から取り出したプランターは、以下の点に注意して管理を行ないましょう。
雪から出したプランターの管理・注意点
・湿度をチェック
溶けた雪と暖かい気温によって余分な湿気が生じるため、過湿になっていないか確認します。
・水はけを確保
鉢底穴から余分な水分がしっかり抜けているか確認しましょう。雪やゴミなどが凍って張りついていませんか? プランターを少し地面から持ち上げることで、水はけは随分よくなります。
少し地面から浮かすことで、排水性は大変よくなる
・湿度に応じて潅水
土壌の湿度に応じて潅水を行ないます。土壌がしっかり乾いてから、たっぷりと水やりをするのがポイントです。
・寒さから守る
今は気温の変化が大きい時期。これまで雪に守られていたプランターなので、表土にマルチングをしたり、夜は防寒カバーを施すなどして突然気温が下がるときに備えます。
・植物の変化を点検
すでに芽が動いていたり、葉が広がっている場合は、変化の様子を注意深く観察しましょう。しおれたり、葉が黄色くなったりするなどのストレスや傷みの兆候があれば、上記の項目を再確認し、すぐに対応します。
取り出したプランターの土壌の凍結が十分に解ければ、株分けしたり、鉢増し(1~2周り大きい鉢に植え替えること)も可能です。
気温が安定しない季節ですので、以下の点に注意が必要です。
早春の株分け・鉢増しの際の注意点
・耐寒性の種類を優先
早春の株分け・鉢増しは、寒さに弱い植物は避け、耐寒性のある種類を優先して行ないます。
・天候の安定時に作業を
天気予報を注意深く見て、穏やかで安定した天候の日に行ないます。気温変化が大きかったり、霜のリスクがある時期は避けましょう。
・ストレスを最小限に
清潔な道具を使うよう心がけます。根をほぐす時はやさしく必要最低限で。株分けの際は鋭利な道具できれいに分けます。
・作業後は潅水を
作業後には植物に十分な水やりを行ないます。
・防寒対策も必要
天候や気温が安定してくるまでは、植物用の防寒シートで覆ったり、表土にマルチングを施すなどして管理します。
作業後はしばらくの間、植物に異常がないか、こまめに観察を行なうことがとても大切です。しっかりと管理しながら、花のシーズンを待ちましょう。
プランター栽培の宿根草の楽しみ方
イコロの森では、プランターやポット植えで管理している宿根草も多くあり、さまざまに工夫して演出を楽しんでいます。いくつかご紹介しておきますので、参考にしてください。
見ごろの宿根草を集めて、即席の組み合わせを楽しむ。鉢なら好きな場所に移動できる魅力も
鉢で育てた宿根草を寄せて、目を引くディスプレイをつくることもできる
葉ものを多く使えばロングシーズン楽しめる
いろいろ試して花壇での組み合わせのシミュレーションにもなる
プロフィール
高林 初
英国Writtle College(リトルカレッジ)にてガーデンデザインを学ぶ。現在は、苫小牧市にある「イコロの森」の勤務、ヘッドガーデナー 。設計からメンテナンスまで庭づくりの幅広い経験をもとに、宿根草ガーデンの管理・栽培等を担当。
Instagram ikor_no_mori
HP イコロの森