2024/03/07 11:30
niwacul
ポタジェ|育てやすく使いやすい!クッキングハーブ5選&レシピ
今回は、ハーブを使ったレシピと、育てやすく利用しやすい5種類のクッキングハーブをご紹介。
このコーナーでは、季節ごとの野菜やハーブ、果樹、お花など、相性のよいコンパニオンプランツを組み合わせながら育てて楽しむ“ポタジェのある暮らし”を紹介していきます。お料理や花のクラフトも。
文・写真:藤井 純子さん(ピュア・ポタジェ代表)
今回は、ハーブを使った「サルシッチャ」「ハーブ鶏ハム」づくりと、育てやすく利用しやすいクッキングハーブをご紹介していきます。
ハーブは、さまざまな種類がある中でも普段使いしやすい5種類をご紹介。ホームセンターなどでも手軽に購入しやすく育てやすので、今年の菜園(ポタジェ)プランに取り入れてみてはいかがでしょうか。一年草ハーブは、野菜の株元に植えれば、省スペースで栽培できますよ。
まずは、ハーブの使い方の一例としてサルシッチャとハーブ鶏ハムづくりをお伝えしましょう。
ハーブを保存しておけば、自家製ドライハーブをいつでも楽しめる。収穫したハーブをドライにして、瓶などに保管しておくとよい。食品用の乾燥剤も一緒に入れておくと◎
Recipe.01 サルシッチャづくり
サルシッチャとはイタリア語で塩(Sale)と肉(Ciccia)が語源で、挽き肉と塩、ハーブを混ぜて腸詰めにしたものです。見た目はソーセージに似ていますが、ソーセージはドイツ発祥で加熱して燻製したもの。サルシッチャは加熱していない生ソーセージのこと。本格的なサルシッチャは豚の腸などを利用して腸詰めにしますが、今回はラップで成形し、手軽にサルシッチャづくりを楽しめるレシピです。
[ 材料 ]
・豚挽き肉 300g
・塩 6g
・酒または白ワイン 大さじ3
・すりおろしニンニク 小さじ1
・お好みのハーブ(細かく粉砕したもの) 2~3g
*おすすめのハーブ:モスカールドパセリ、イタリアンパセリ、オレガノ多め。タイム、コモンセージは控えめに。
ハーブはあらかじめ細かく粉砕しておく
[ つくり方 ]
【1】
挽き肉に塩、酒または白ワイン、ニンニク、ハーブを加えしっかりとこねます。粘りが出るまでしっかりとこねましょう。
粘りが出るまでしっかりとこねる
【2】
よくこねたら空気を抜いてラップで包み、半日~1晩冷蔵庫で寝かせます。寝かせることで味がしっかりとなじみます。
寝かせることで味がなじんで美味しくなる!
【3】
5~6本になるように分けて軽く形を整え、ラップに包んで成形します。もう一枚ラップで包み2重に包みます。こうすることで茹でたときに水が入るのを防いでくれます。
1枚目はキャンディー状に包む
2枚目は春巻きの皮を包む要領で対角線に置いて包む
【4】
鍋に湯を沸かし、ラップに包んだサルシッチャを入れ、沸騰したら弱火で15分ほど茹でます。
浮いてくるので落し蓋(ぶた)をするとよい
【5】
氷水を入れたボウルに茹でたサルシッチャを入れて粗熱を取ります。粗熱が取れたら冷蔵庫に30分ほど入れておきます。こうすることで旨みが肉にしみ込みます。
茹でたサルシッチャを氷水に入れて粗熱を取る
【6】
粗熱が取れたら、サルシッチャのできあがり! 食べるときは、フライパンで5分ほど焼き目がつくまでソテーしていただくのがおすすめです。保存料などが入っていないため、2日以内に食べると安心。
無添加のサルシッチャは、安心していただける
できあがったサルシッチャはピザのトッピングやパスタの具材、パンに挟むだけでも美味しいですよ。
Recipe.02 ハーブ鶏ハムづくり
ハーブと塩をすり込むだけで、しっとり本格的な味わいに仕上がります! サラダやサンドイッチ、おつまみにもピッタリです。
[ 材料 ]
・鶏むね肉 1枚(300g)
・塩 小さじ1
・酒または白ワイン 大さじ2
・お好みのハーブ(細かく粉砕したもの) 2~3g
*おすすめのハーブ:モスカールドパセリ、イタリアンパセリ、バジル。
ハーブと塩をすり込んで、しっとり本格的な味わいに
[ つくり方 ]
【1】
鶏むね肉の水分をキッチンペーパーなどで拭き取ります。皮は取り除かずにフォークで全体に穴をあけ、軽く形を整えましょう。
フォークで全体に穴をあける
【2】
塩を全体にすり込み、ハーブをパラパラと振って手で押さえます。空気を抜きながらラップで包んだら、冷蔵庫で1~3日寝かせましょう。漬け込み期間を長くすると、水分が抜けてハムのような仕上がりになります。
左/塩をすり込んでハーブを振る 右/ラップで包み、冷蔵庫に入れて寝かせる
【3】
冷蔵庫で1~3日寝かせたら、熱したフライパンで調理します。ラップを取り除き、皮を下にして弱火で5分加熱。鶏肉を裏返して酒または白ワインを入れ蓋(ふた)をして弱火で5分加熱。火を止めたあとは蓋をしたまま30分おいて、余熱で火を通します。
数日寝かせた鶏むね肉を、熱したフライパンで調理
【4】
粗熱が取れたら、冷蔵庫に入れて保存します。これでハーブ鶏ハムのできあがり! 保存料などが入っていないため、2日以内に食べると安心です。
ハーブを使って、いろいろな料理を風味豊かに楽しめます。今シーズンは菜園(ポタジェ)でお好みのハーブを育てて利用してみましょう。
おすすめのクッキングハーブ5選!
手軽に入手できて、育てやすく使いやすい、おすすめのクッキングハーブをお伝えしましょう。
ハーブには名前が似ているものや園芸品種がありますので、苗を購入するときは学名も参考に。特に、欲しい品種があるときには調べておくとベストです。
●パセリ(セリ科、ニ年草)
和名:オランダゼリ 草丈:約30㎝
縮葉種 学名:Petroselium crispum
平葉種 学名:Petroselium neapolitanum
モスカールドパセリとイタリアンパセリをミックスするだけでも本格的な味に
料理のつけ合わせなどに出てくる葉が縮れた縮葉種のパセリは「モスカールドパセリ」と呼ばれ、葉が平たい平葉種の「イタリアンパセリ」はモスカールドパセリに比べると香りが優しくクセが少ないのが特徴です。
パセリはハーブの中でもビタミンCや鉄分、カルシウムなどの栄養が豊富で、葉をみじん切りにしてドレッシングやパン粉に混ぜたり、スープやジャーマンポテト、ボンゴレなどに振りかけたりと幅広く活躍してくれます。
パセリはニ年草のため、2年目以降は花が咲くと葉がかたくなって風味が落ちるので、毎年新しい苗を植えるのがおすすめです。パセリとナスは相性がよく、近くに植えると病害虫を予防してくれます。外側の根元から収穫して、大きく育たった秋ごろにまとめて収穫しドライにして保存しましょう。
[ ドライハーブにする方法 ]
フレッシュ(生)のまま小房に分け、オーブンに入れて低温(約150℃)で15分~40分加熱し、完全に水分がなくなるまで乾燥させると、色も香りもよいドライパセリができあがります。
●オレガノ(シソ科、多年草)
学名:Origanum vulgare
別名:ワイルドマジョラム 和名:ハナハッカ
草丈:50~60cm
ピンクの花はハーブブーケにしても素敵
古代ギリシャ・ローマ時代から殺菌効果や消化機能を高めるなど薬草として利用されてきたオレガノは、イタリアやスペイン、メキシコ料理に欠かせないハーブです。特にトマトとの相性がよく、ピザソースやミートソースなどとは相性抜群です。オレガノにはさまざまな品種があり、ケントビューティーやゴールデンオレガノなどの園芸品種もあります。
多年草のオレガノは旺盛に育つため、菜園の周囲に植えるか、大きくなりすぎた場合は切り戻したり、根を切りながらコンパクトに管理するのがよいでしょう。お調理に使う場合は、花が咲く前に収穫し葉を利用します。
●コモンタイム(シソ科、多年草)
学名:Thymus vuigaris
和名:タチジャコウソウ 草丈:15~30cm
ハーブの中でも特に殺菌、防腐効果が高いタイムは、古代エジプトでは遺体の保存に使用したほか、古代ローマでは葉をいぶして聖堂の浄化に用いられたとされています。
甘くスパイシーな香りと味は、肉、魚、野菜などさまざまな料理と相性がよく、特にミートソースやビーフシチュー、ピクルスには欠かせないハーブです。また、ハーブティーは風邪やインフルエンザ、胃腸炎、気管支炎、喘息などの症状を緩和してくれます。
タイムは乾燥した土壌を好むので、日当たりがよく、水はけのよい場所に植え付けましょう。
●コモンセージ(シソ科、多年草)
学名:Salvia officinalis
和名:ヤクヨウサルビア 草丈:30~60cm
定植して数年経過すると花が咲き始めるので、植え替えを行なう
殺菌効果や消化を促す働きなど薬効成分が豊富なセージ。北欧では古くから「庭にセージを植えている人は長生きする」といわれているそうです。また、セージは防腐効果や抗菌力があることから古くから肉の保存などに利用されていたそうです。そのためソーセージの語源となったという説があります。ただし、香りや風味が強いため、料理には少量を使用するのがおすすめです。
セージには、精油に利用されるクラリセージや浄化などに使用されるホワイトセージ、園芸品種のチェリーセージやロシアンセージなどさまざまな品種がありますが、食用にはコモンセージを利用します。
ハージは日当たりと水はけのよい場所に植え付けます。株は徐々に木質化していくため、4年くらいを目安に挿し芽などで株を更新し、植え替えを行なうようにしましょう。
●スィートバジル(シソ科、一年草)
学名:Ocimum basilicum
和名:メボウキ 草丈:40~60cm
半日陰に植えて育てると、やわらかく香りのよいバジルに
爽やかな香りが特徴のバジル。熱帯アジアの暖かい地域が原産で、名前の由来はギリシャ語の「王の草」という意味があります。馴染(なじ)みのあるスィートバジルのほかに、レモンバジルやシナモンバジル、ダークオパールバジル、ブッシュバジル、インド原産のホーリーバジルなど数多くの品種があり、その数は150種類以上といわれています。ドライバジルは香りが強いため料理には少量を使用しましょう。トマトソースには、パセリ類、オレガノとの組み合わせがおすすめです。
トマトのそばにバジルを植えると、トマトの風味をよくしたり、水分を分け合ったり、病害虫を予防したりする効果があるといわれています。栽培のポイントは、草丈が30cmほどになったら、摘芯(一番上の葉を摘み取る)して脇芽を増やしながら育てると大きく育ちます。花が咲くと香りが落ちて葉も固くなるので、花が咲かないように随時花芽を摘み取りながら栽培します。寒さに弱いため暖かくなってから定植しましょう。
育てたハーブを夏の間に収穫してドライにしておけば、冬の間も自家製ハーブを使った料理を思う存分楽しむことができますよ。
パセリとオレガノをミックスしたハーブパン粉のポテトコロッケ
プロフィール
藤井 純子
「Pure Potager(ピュア ポタジェ)」代表。ポタジェ・アドバイザーとして道新文化センター札幌校などのセミナー講師のほか、新聞・雑誌にて執筆活動を行なう。また、ポタジェの魅力を一冊にまとめた「Green Finger ポタジェ~小さな庭が与えてくれる恵みと幸せ~」を執筆。「コーチャンフォーミュンヘン大橋店」で取り扱いのほか、HPに掲載のネットショップを利用。またはAmazonでも販売、「ポタジェ」で検索。
HP ピュア・ポタジェ
Instagram pure.potager
YouTube ポタジェ『心と身体を癒す庭へようこそ』 @lifewithpotager401