2024/02/16 13:00
「北海道生活」編集長
発表!北のハイグレード食品2024
2010年にスタート、全国のバイヤーやシェフなど食のプロが審査する「北のハイグレード食品」。
2024年の今回は、新たに19品目が選定! 2月14日(水)には発表セレモニーが行なわれました。
審査委員長の浅野裕紀さんは、「美味しさは大前提で、原材料の力をどれだけ生かしてるか、広い発想力があるかなどを観点に審査しました。見た目の美しさも大事で、パッケージを工夫したものも評価しました」と講評。
「北海道生活」では次号の春号(3月1日全国発売)で記事を紹介予定ですが、セレモニーで紹介された受賞食品をざっとご紹介します!
<以下19品目、順不同>
ドルンフェルダー2022(七飯町/はこだてわいん)
函館の老舗ワイナリー「はこだてわいん」より、満を持して出品し、とうとう受賞したのが「ドルンフェルダー2022」。
佐藤社長によると、以前この審査で某シェフから「こんなデザインのボトルじゃ店に置けない」といわれ、徹底してデザインを見直したそうです。
そしてドルンフェルダーという赤ワインのドイツ系品種、今の道産ワインはピノノワールなどフランス系が主流で、作っているワイナリーはごく少数。「もうやめよう……」と思っていたところ、「貴重な品種だから続けなきゃだめだ」と言われ、がんばって作り続けてきたとのこと。
だからこその受賞、とっても喜んでいらっしゃいました!
ホロ酔い 縞恵美(標津町/コスモス)
パッケージというキーワードでいうと、なんだか色っぽいおねえさんのイラストが印象的な「ホロ酔い 縞恵美」は、中華料理の酔っぱらい蟹にヒントを得た、野付湾名産シマエビを紹興酒に漬け込んだもの。
もちろん中身の味は美味しい! そのまま食べても十分に料理といえるほど。
シマエビはゆでて食べるのが普通ですが、こうして生っぽく味わえるのは珍しく、新しい食べ方としても印象に残りました。
銀毛鮭切身 純米吟醸酒粕漬(枝幸町/瀧源商店)
オホーツクの枝幸町(えさしちょう)の「瀧源商店」は、同じ道北の上川町にある「上川大雪酒造」の純米吟醸の酒粕で漬けた銀毛鮭で受賞。
一口サイズで試食させていただきましたが、とっても美味しい!
酒粕漬けというと、酒粕が強かったり、塩分が強かったり、というものが多いのですが、こちらはバランスが絶妙でおだやかな味わい。
お酒と合うのはもちろんですが、ごはんと一緒にいただいてもいいですね。
北海道ブランデーケーキ(旭川市/ビストロ・ボン・マルシェ)
旭川で洋食店を営んでいるブランデー好きのシェフが、こだわりにこだわり抜いて開発したというだけあって、ブランデー感が半端ない!
洋酒入りのケーキといえば、「お酒の苦手な方でも食べやすい」というフレーズを使いがちですが、これは、しっかりブランデーです。
オレンジピールとキャラメルで食べやすさも追及していますが、あくまで大人のスイーツ。
ベーコン節※(北広島市/エーデルワイスファーム )
(※登録商標取得済)
以前にもベーコンで受賞した「エーデルワイスファーム」で、まるでベーコンをカツオ節にしたような画期的な新商品を開発。
見た目はカツオ節ですが、口に含むとベーコンの熟成した旨み、ナラのスモークが香り、ほかにはない味わいが広がります。
「業務用でほしい」というシェフからの声もあったという、審査でも評判になった一品だそうです。
スモークサーモンジャーキー(寿都町/マルトシ吉野商店)
こちらも以前に受賞した「吉野商店」から、鮭のスモークジャーキーが登場。
乾燥と熟成を丁寧に繰り返し、使用するのは「塩だけ」というこだわり。
「いわゆる鮭トバとは一線を画している」という審査員のコメントもありました。
雲丹の佃煮 & うに屋のおいしいうにバター(北斗市/村上商店)
うに料理でおなじみ「函館うに むらかみ」で出されているメニューから商品化したという、「雲丹の佃煮」と「うに屋のおいしいうにバター」の2品。
出品された2品ともダブル受賞となりました!
会場では、佃煮はそのまま、うにバターはクラッカーにのせて出していただきました。
なるほど、うに専門店だけあって、美味しいはもちろんなのですが、うにの繊細さを損なわずに加工しているのがお見事!
どっちも受賞した、というのは納得の結果でした。
クリームチーズ〈トワ・ヴェール〉(黒松内町/フジタコーポレーション)
黒松内町のチーズ工房「トワ・ヴェール」のクリームチーズ、パッケージも高級感があっておしゃれです。そして、なめらかで美味しい!
北海道のチーズはどれも美味しいので、逆に審査が難しいのでは?と思いました。
料理関係者の方からは「まろやかな舌触りと優しい酸味が良い」、そして流通関係者からは「フレッシュ感が良く出ていて、他のクリームチーズと比べても、非常に上品に感じる」とのコメント。
やはり日ごろからチーズの様々な品種を目にしているプロは、見ているところがちがいます。
さて、今回は審査会場も取材させていただいたのですが、委員長の浅野さんが「特に今回は肉製品、ベーコン・ソーセージづくりの原点に立ち返ってつくられている商品が印象に残った」とおっしゃっていました。
そうして選ばれた3品目も、このセレモニーで試食させていただきました。
BIOベーコン(北斗市/Wise man's FPL)
「原材料はお肉と塩だけ」をテーマに、添加物・発色剤・化学調味料などを使っていないベーコン。
その塩分も控えめで、こんな味わいのベーコンが作れるのか!と驚かされました。
試食している他の方々からも「直売所はないんですか?」と聞かれるほど評判で、直売はなく製造だけなんだそうですが、このベーコンは買いに行きたいと思わされる逸品でした。
無添加 ロースハム スライス(平取町/びらとりハム)
見ていただいてわかる通り、発色剤を使わず、保存料も添加物も不使用の、塩や香辛料だけで仕上げたロースハム。
北海道産の豚肉本来の旨みを活かすため、伝統の製法でていねいにつくったハムです。
「北海道生活」でもご紹介したことがありますが、このハムを食べてみれば、無添加のハムとそうでないハムの違いは歴然。豚肉の美味しさが伝わります。
白カビ付きサラミソーセージ(大樹町/源ファーム)
十勝の大樹町といえばロケットで話題になりましたが、「源ファーム」のハム・ソーセージは以前から評判で、私も個人的に大好き。
自社産ケンボロー・ホエー豚の旨みを追求した、こだわりの豚肉や肉製品はどれも美味しいのですが、中でも今回受賞した「白カビ付きサラミソーセージ」は約 20 年かけて試行錯誤したというもの。
無添加のやさしい味わいは、塩分もくどくなく、しっとりした食感も完璧。本場のイタリアやスペインにも誇れる北海道のサラミでした。
そして、ドリンクやスイーツなどからは7品が選出。
体にいいものからおみやげまで、順に紹介していきましょう。
COOZY AMASAKE(旭川市/COOZY JUICE STAND)
自家製米糀を使った「米糀甘酒」の専門店がつくる、甘くてとろりとした濃厚な甘酒。
以前アマチュアでボクシングをしていたという畠尾さんが、体調管理や試合前の減量で米糀甘酒を飲んでいたことから、次第に自分でも作るようになったのがきっかけだそうです。
材料にもこだわり、有機質肥料で育てた旭川米『ななつぼし』と『ゆめぴりか』、大雪山系の天然水を使用した、旭川ならではの米麹甘酒です。
生搾りアロニア(日高町/MIURAYA)
ポリフェノール含有量が高く、生では渋くて食べにくいアロニアを、独自の加工方法で渋みを和らげフルーティな飲み口に仕上げた無添加ドリンク。
原材料はアロニアのみで、水や添加物を一切使わず100%原液にこだわった商品です。病気のため食生活や健康を見直した三浦さんが、脱サラして農家となり、妻の母親が育てていたアロニアと出会って開発したとのこと。アロニアの効果を広め、ベリー農家を応援したいという熱い思いがありました。
審査員のおひとり、脇屋友詞さんシェフも「今の時代に合った抗酸化作用があるなど、生産量が多い北海道のベリー類の価値も広く伝わるといいなと思います」とおっしゃっていました。
赤いはちみつ(伊達市/花カフェAivalley)
アロニアの商品が、もうひとつ選定されています。
アロニア生産量日本一の伊達市大滝区から誕生した「赤いはちみつ」。
アントシアニンを豊富に含み、赤いルビー色が特徴で、その色の美しさを活かしたパッケージは。まるで宝石箱みたい!
シナ(菩提樹)蜂蜜(上士幌町/十勝養蜂園)
今回はもう一点、十勝の上士幌町産のはちみつも受賞しています。
同じ十勝・糠平町「ぬかびら源泉郷」の温泉水を与えた、菩提樹(シナ)の独特な香りの天然蜂蜜。
日本の基準値よりも高い糖度80%以上にこだわり、より熟成された濃厚なはちみつで、素材の良さが十分に生かされていると評価が高かった一品です。
美瑛きなこ蜜(美瑛町/喫茶と宿 美瑛茶房)
田園風景の美しい美瑛で宿とカフェを営んでいる武部さん。風景は世界的にも有名ですが、農作物にも目を向けてほしいと、作物のひとつ・豆類の魅力を伝えるために開発した、きな粉のシロップです。
この商品は「北海道生活」読者プレゼントでもご紹介したことがありますが、いい商品でもどのように販路を広げていったらいいか悩まれていたので、この受賞は大きな喜びだったようです。
美瑛の写真家・中西敏貴さんの大豆畑の写真を使い、きな粉の砂時計をイメージしたデザインも審査員に高評価でした。
コタプリン(七飯町/小野養鶏場・里山楽房)
地鶏「岡崎おうはん」を平飼いで育て、無添加のエサにもこだわった卵「おのたま」の、卵黄だけを使った贅沢なプリン。
元特別支援学校の教員だった小野さんが教え子とともに開発したそうで、うまく飲み込めない人や年齢に関係なく美味しく食べられるよう試行錯誤したのだそう。
北海道産の牛乳と生クリームのほか、コクがある甘さは、きび糖なのだそうです。安心して味わえるところも、「ユニバーサルフード」として審査員の評価もありました。
イチゴのバターサンド(函館市/プティ・メルヴィーユ)
北海道のフレッシュバターと小麦粉を使用している、新しい函館みやげとして注目を受けそうな、いちごのバターサンド。
クッキー部分がほろっと繊細に口の中でとけ、いちごのバタークリームとのバランスもよく計算されています。
以上、19点が今回の「北のハイグレード食品2024」に選ばれました。商品の一覧は、3月1日に全国発売する「北海道生活」春号で掲載されますので、どうぞお楽しみに。
選ばれた商品は、今後「北海道どさんこプラザ」札幌店や有楽町店ほかで発売されていくそうなので、ぜひ手に取ってみてくださいね!
(編集長)