2024/02/14 12:30
niwacul
北海道の庭|今週の花(2月13日) 素敵なカラーリーフ「ヒューケラ」
エルミタージュ=隠れ家的な 走川さんご夫婦のお庭から、今が旬の「今週の花」をお庭の様子とともに月2回 紹介していきます。冬の間はシーズンの庭や植栽のこと、日々のできごとをお伝え。~今回は、葉色が豊富でとても便利な植物「ヒューケラ」です。
撮影:走川 正裕 ・ 貴美 文:走川 貴美
庭の植栽デザインにおいて、葉もの(リーフ)の存在はとても大事に感じています。利用するガーデナーも最近は多くなりました。花々の中で葉ものは、アクセントや引き締め役となって、花壇の植え込みや縁取りに使われたり、大株になるものはボリュームを加える植栽として使われたりしていますね。
今回は、葉色も豊富にあり、日なたでも日陰でも育てられる、とても便利な植物「ヒューケラ」を取り上げてみます。
和名は「ツボサンゴ」。名前の由来はツボ形の丸い小花を付けることや、サンゴを連想させる花の姿や赤い茎の色などからきているそうですよ。日陰でも育てることができるので、シェードガーデンにも利用されることが多いです。
ヒューケラは“カラーリーフ”の中でも種類が多く、葉色のバリエーションが豊富。シルバーリーフや銅葉、黄みや赤みを帯びた葉などカラフルにあるので、これだけでも絵になる植栽になります。暑さ寒さにも強く、春から夏には花も咲き、年々大株になる優れものです。手間いらずのうえ、一年中色どりを保ってくれるありがたい存在です。花壇の中にはもちろん、コンテナに植えてもおしゃれな演出を楽しめます。
我が家の庭でのヒューケラを使った植栽を、いくつか紹介したいと思います。
・植栽1
カラーリーフを集めたフロントガーデンです。さまざまなグリーンの中に、茶色(赤みを帯びた葉色)と黒いヒューケラを入れています。その間にビオラも植えています。
フロントガーデンの植栽。黒っぽい葉と赤みを帯びた銅葉がヒューケラ。ビオラが顔を覗かせる様子も可愛い。そのほか、斑入りのホスタや宿根リナリア、クリスマスローズなどの葉を組み合わせた
・植栽2
昨年改造したパーゴラ横の花壇が午後から日陰になるので、ヒューケラとホスタの葉色を混ぜて明るく演出しています。今年はこれらの間に、個性的な色のスナップドラゴンや鮮やかなジニア プロヒュージョンなどの一年草を植える予定です。
午後から日陰になるパーゴラ横の花壇。花壇の縁にシルバーリーフと黄色い葉のヒューケラなどを植栽。ヒューケラの花がアクセントにも
・植栽3
ヒューケラのコンテナ植えも素敵です。株が年々大きくなってくれるので、見応えも出てきます。どこにでも置けるので、庭の中のアクセントに利用できます。コンテナに植えている株には、2週間に1回くらい水やりを兼ねて液肥を与えています。
2年前にコンテナに植えたヒューケラ。今年はもっと大きくなってくれるのが楽しみ!
・植栽4
玄関先に、お揃いの鉢に1株ずつヒューケラを植えて並べています。葉の色彩で明るく演出できるので、ウェルカムコンテナのように利用。後ろにアスチルベとトリフォリウムを混植したコンテナも置いて、葉色の組み合わせを楽しんでいます。庭の中でどこか寂しいところが出たときは、移動して空間を埋めることもできますね。
ヒューケラの葉色の組み合わせで、玄関先を明るく演出! 背景の緑の葉によって、彩りがより引き立つ。アスチルベのコンテナは、少々水やりを忘れていても平気な組み合わせ
・植栽5
市役所前の大型コンテナにヒューケラを寄せ植え。私が所属する「AMA(アマ)サポーターズ俱楽部」がデザインし管理しています。札幌市の企画で十数年続けています。日陰になる場所のため一般的な花は成長が悪いのですが、ヒューケラやコリウスにはちょうどよい環境。例年はインパチェンスも入れていますが、去年は葉ものばかりにしてみました。一年草も利用すれば、毎年違った雰囲気を演出できますね。
葉色の異なるヒューケラの組み合わせ。大きなコンテナは見応え十分。一年草のコリウスも色が豊富なので重宝。細いヒモはテングスで、カラス除けに利用
私が以前訪ねたイギリスのガーデンでの使用例も見てみましょう。撮影してきた写真を眺めながら、庭の植栽の参考にしたりしています。
まずは、チェルシー フラワーショーで見た植栽。銅葉のヒューケラを縁取りに使った様子が印象的で、ほかの植物との色合わも素敵でした。全体の統一感にプロの技を感じます。
円形の花壇が銅葉のヒューケラで縁取りられ、より強調されている。キリっと締まり、奥の同色の樹木とも素敵な組み合わせ(チェルシーフラワーショーより)
花壇の中のニューサイランとヒューケラの銅葉がコラボして、全体を引き締めてる(チェルシーフラワーショーより)
赤、黄色、緑とカラフルな植栽だけれど、全体の配色に一体感がある。地面の色とつながるようなヒューケラの使い方も見事(チェルシーフラワーショーより)
そして、ブレッシングハム ガーデンズ。葉もの(リーフ)やグラス、樹木などグリーンばかりの植栽のガーデンですが、入り口の少し華やかな花壇の演出や、
園内の植栽デザインにも感心するばかりでした。
入り口を装うコーナー。全体を紫系に統一した組み合わせがとても素敵。花も加わり、華やかさも感じる(ブレッシングハム ガーデンズより)
多彩なグリーンを使ったグリーンガーデン。ローメンテナンス究極のパターン。紫系の銅葉ヒューケラがアクセントに(ブレッシングハム ガーデンズより)
バラのコレクションをしているガーデン「ガーデン オブ ザ ローズ」では、広い芝生と樹木の間に植わっているバラの花色がそこだけ華やかに引き立っていて、バラの使い方の参考になります。入り口付近に植栽されていたバラの根元に、同系色のヒューケラがグランドカバーとして使われていたのが印象的でした。
バラの足元を覆う銅葉のヒューケラ。根元はむき出しにしたくないので、このような感じに植栽するのもいいなと思った(ガーデン オブ ザ ローズより)
リージェント パークで見た、カラフルな花とグリーンの間に植栽された大株のヒューケラの使い方も素敵です。デザインをキリっと引き締めるポイントとして、少しだけ使う手法もあるのですね。
植栽の間にポイントとして銅葉のヒューケラを使っている(リージェント パークより)
そのほか、ベスチャト―ガーデン、キューガーデン、RHSガーデンや、私が20年以上前にイングリッシュガーデンを学んだキャシー先生の庭…、どこのガーデンも銅葉のヒューケラがまとめて植えられています。ピンク色の花との組み合わせも大変美しく、鑑賞価値があります。
RHSガーデン。銅葉のヒューケラとピンクの花色が相性抜群
キャシー先生の庭
ヒューケラは日本の方がたくさんの葉色のものが手に入るようで、ガーデナーにとっては嬉しいところ。ローメンテナンスで美しいカラーリーフガーデンをつくるのも面白そうですね。