2024/01/29 11:30
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ポタジェ|野菜栽培の格言、名言 ~理にかなった先人たちの知恵

今回は、野菜やハーブなどの植物を育てるときに役立つ格言をご紹介します。実に理にかなったものが多いですよ。
このコーナーでは、季節ごとの野菜やハーブ、果樹、お花など、相性のよいコンパニオンプランツを組み合わせながら育てて楽しむ“ポタジェのある暮らし”を紹介していきます。お料理や花のクラフトも。


文・写真:藤井 純子さん(ピュア・ポタジェ代表)



昔から伝えられていることわざや格言は、実に理にかなったものが多いです。例えば、「冬至にカボチャを食べると風邪をひかない」とか、「水やり3年」などの言葉には驚くばかり。そこで今回は、野菜やハーブなどの植物を育てるときに役立つ格言をご紹介していきたいと思います。

栽培に役立つ格言、名言


①「百の肥やしより一時の旬」

意味:旬(栽培適期)に合わせて栽培すると簡単に育ち美味しくなる

近年は、栽培技術の向上によってさまざまな野菜が1年中食べられるようになりましたが、旬の野菜は美味しいのはもちろん、最適な環境で無理なく育つため病害虫の被害にもあいにくいです。
例えば、ホウレンソウは冬が旬の野菜ですね。寒さに当てて育てることで甘みが増すだけではなく、葉も肉厚で旨味やビタミンなどの栄養価も豊富になります。また、ホウレンソウは長日植物なので日照が12時間よりも長い時期や、気温が高い時期に育てると徒長やトウ立ち(花芽のついた花茎が伸びる状態)しやすく上手く育たない場合があります。畑が雪で覆われる地域では、気温が下がった秋分以降にタネまきすると楽に栽培できます。

ポタジェ|野菜栽培の格言、名言 ~理にかなった先人たちの知恵

旬の野菜は、美味しいだけでなく、育てやすいというメリットもある


②「主人の足跡(足音)は、肥料にまさる」

意味:人の足音を聞いて、野菜が元気に育つ

帰宅したときに愛犬や愛猫などが喜んで玄関まで迎えにきてくれると本当にうれしいものですよね。実は、植物も足音を聞き分けたり、匂いがわかるといわれています。
植物の育ちが悪いと、肥料が足りないのでは?と心配になるものですが、よく観察してみると、根が浮いていたり、誘引の紐(ひも)が緩んで風で揺れストレスを感じていたり、何かしらの生育不良の原因に気づくことができます。こまめに様子を見て、植物の成長段階に応じた手入れをすることで、今までは気づかなかった小さな変化を敏感に受け取ることができるようになります。

ポタジェ|野菜栽培の格言、名言 ~理にかなった先人たちの知恵

こぼれダネから発芽したビオラ、ジャーマンカモミールの小さな芽


③「精農は土をつくる、駄農は草(野菜)をつくる」

意味:野菜がよく育つためには土壌づくりが大切

植物が大きく育つようにとついつい肥料を入れがちですが、化学肥料は即効性はありますが、土の中の微生物が住みづらい環境になるため、土が痩(や)せてしまいます。植物が育ちやすい団粒構造の土を目指して、コツコツと土づくりをしていくことが大切。土壌微生物のエサとなる堆肥(たいひ)や腐葉土などの有機物を入れることによって、徐々に土壌微生物がたくさん住む肥沃な土壌になっていきます。コンパニオンプランツを取り入れたり、少量多品種を混植したりすることも微生物層が豊かになる効果が期待できます。

ポタジェ|野菜栽培の格言、名言 ~理にかなった先人たちの知恵

エダマメとトウモロコシの混植。エダマメの根に共生する根粒菌が空気中の窒素を取り込み土壌を肥沃に。隣に植えたトウモロコシの生育も促してくれるコンパニオンプランツ


④「一種、二肥、三作(いちたね、にこえ、さんつくり)」

意味:タネ選びが重要

1番目はタネの大切さ。現在は、品種改良されたタネが気軽に購入できるようになりましたが、昔はどの農家もタネは自家採種していたそうです。私の菜園も、ほとんどの野菜のタネを自家採種していますが、たくさん実っている中からどの実を選ぶか、どのタイミングで採種するか、そして、採種したタネの中でどのタネがよいかを見極め、適切に保存。さらに、どのタイミングで播種(はしゅ:タネまき)するかによって生育に大きく影響します。それほど、タネ選びは重要です。
2番目は“精農は土をつくる”の通り、野菜の栄養となる土づくりが大切です。そして、意外に感じるかもしれませんが、野菜の手入れは3番目。苗半作(丈夫でよい苗をつくれば、半分成功したようなもの)といわれるように、手入れに関しては、植物の立場になり手助けするような気持ちで手入れをして、あまり過保護になり過ぎないことが大切ということですね。

ポタジェ|野菜栽培の格言、名言 ~理にかなった先人たちの知恵

採種するスナックエンドウには目印をつける

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タネが完熟し実がはじけたスナックエンドウ

ポタジェ|野菜栽培の格言、名言 ~理にかなった先人たちの知恵

採種したタネは袋に入れ、名前を書いて保存する


⑤「上農は、草を見ずして草を取り、中農は、草を見てから草を取り、下農は、草を見て草を取らず」

意味:早め早めを心がけましょう

「雑草という草はない」といわれるものの雑草とどう付き合うかは、とても大切ですね。“一粒万倍”というように、雑草のタネも一粒万倍です。一粒万倍とは、一粒のタネが万倍に増えていくという言葉ですが、雑草もタネができるまで育ってしまうと、やがて落ちて万倍に広がってしまいます。なるべくなら小さなうちに地上部を刈り取るか、あらかじめ緑肥作物のタネをまき、雑草を抑制するのがおすすめです。ただし、雑草が適度に育っていることで地表の乾燥を防ぐ効果もありますので、野菜の生育を阻害しない適度に残すことができればベストでしょう。

ポタジェ|野菜栽培の格言、名言 ~理にかなった先人たちの知恵

ギシギシは根が深く伸びて、自然と土を耕してくれる


⑥「雑草は取るよりさくれ」

意味:雑草の根は残して除草しよう

「さくる」とは、鍬(くわ)などを使って、土をすくいとるように掘ることをいいます。鍬や鎌、三角ホーを使って土寄せや中耕を兼ねて草を刈り取るようにしましょう。一般的な雑草の残った根は微生物の働きで分解され、野菜の栄養分にもなります。地下茎で繁殖するスギナは酸性土壌を好んで生育しますので、地上部を刈り取り、生えていた場所にそのまま置くとやがて中和され、繁殖力を抑える効果が期待できます。

ポタジェ|野菜栽培の格言、名言 ~理にかなった先人たちの知恵

ニンジンの周囲の雑草は鎌で除草


⑦「秋の稲妻千石増す」

意味:秋の雷が光ると収量が増える

地球上の大気には、窒素(N2)78%、酸素(O2)21%、そのほか1%(二酸化炭素(CO2)、アルゴン(Ar))が含まれています。雷が発生すると、その空中放電により大気中の窒素(N2)と酸素(O2)が窒素酸化物に変化し、それが雨水に溶けて土に給水され、硝酸態窒素となって植物の成長を促すといわれています。
通常、肥料に含まれる窒素は、微生物などの土壌菌によって植物が吸収できる窒素(アンモニア態窒素、硝酸態窒素)に分解・変換され、栄養として吸収されています。
雷があることで、空気中の窒素が植物の生育促進に活用されるのですね。

ポタジェ|野菜栽培の格言、名言 ~理にかなった先人たちの知恵

雷のエネルギーによって窒素と酸素が窒素酸化物に変化する

昔の人は経験値として、雷が植物の成長によい効果があることを感じていたなんて本当に驚きますね。

プロフィール


藤井 純子
「Pure Potager(ピュア ポタジェ)」代表。ポタジェ・アドバイザーとして道新文化センター札幌校などのセミナー講師のほか、新聞・雑誌にて執筆活動を行なう。また、ポタジェの魅力を一冊にまとめた「Green Finger ポタジェ~小さな庭が与えてくれる恵みと幸せ~」を執筆。「コーチャンフォーミュンヘン大橋店」で取り扱いのほか、HPに掲載のネットショップを利用。またはAmazonでも販売、「ポタジェ」で検索。

HP  ピュア・ポタジェ 
Instagram pure.potager
YouTube ポタジェ『心と身体を癒す庭へようこそ』 @lifewithpotager401


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