2024/01/26 11:30
niwacul
ハーバルライフ|香り・見た目・お料理!あると便利な‟楽しめるハーブ”
このコーナーでは、北海道札幌市内に在住のハーブ研究科が、庭で育てているハーブを使って、気軽に・手軽に楽しむアイデアをお伝えしていきます。 ハーブは“癒しの緑”としてはもちろん、キッチンや暮らしの中でも大活躍!
取材協力:かりの あさの さん(herbarist・ハーブ研究家)
新年気分がどこかへ行ってしまう出来事が続きましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか? 被災地の方々、被害に遭われた皆さまの気持ちが、1日も早く平常に近づくことを心より願っています。
今回は、春に向けて庭にあると便利な‟楽しめるハーブ”をご紹介していきたいと思います。
まずはミントです。ミント系は海外種が多いのですが、北海道でも日本由来の和ハッカの栽培が盛んに行なわれていました。自生する品種もあり、最近では園芸市などのイベントの売り場にも、和ハッカの「ホクト」などのポット苗が並ぶことが増えてきました。
和ハッカの育苗を依頼したナーサリーで、栽培の様子を見せていただいた
以前、お仕事で和ハッカの育苗をナーサリーに依頼して、苗の数を確保していました。和ハッカの香りは海外のミント類に比べると、野性味はあるもののマイルドな香りが多いような気がします。オブラートで包んだようなまろやかな優しさあり、趣深く、私は結構気に入っています。
フレッシュの葉をお茶にするときは、お湯で短時間蒸らしていただくと、嫌味のない爽やかな香りを味わうことができます。
野性味といえば、ラビッジはウドの香りに似ていて、新芽を天ぷらにしていただくと春を感じることができそうですね。背丈が2mを越えるセリ科のハーブで、新芽のときは茎が赤紫色。
ラビッジは、新芽のときは茎が赤紫色
また、余談ですが、ラビッジの実はセリ科独特の風味が、チョコミント味のチョコレートによく合うと個人的に思っています(笑)。チョコレートのお口直しになりますよ。育てた際には、ひと粒つまんでみてください。
チョコミント味のチョコレートとラビッジの実。ひと粒つまんでみて!
ミツバもおすすめです。我が家には野生のミツバが2種類、裏庭で自由にのびのびと成長しています。赤紫色のミツバは林道脇にもよく生えていますよ。野生動物たちがタネを付けて持ち運び、落としていったものが繁殖してるのかな(?)と思ったりもします。我が家は山に近いのですが、愛犬も山に入るとよく被毛にいろんなタネをつけて歩いてました(笑)。
赤紫色のミツバも茹でると緑色になります。市販のミツバにはない、野生味あふれる香りがたまらないです。かしわ蕎麦に、たくさんのなめことミツバを入れていただくのが私は好きです。
ミツバには赤紫色のものもある
我が家では、地植えと鉢植えで多彩なハーブを育てています。花を楽しめるもの、香りのいいもの、クラフト用になど、所狭しとハーブが植わっています。食するものは主に鉢植えなのですが、狭い空きスペースも無駄にすることなく利用して、昨年は地植えのキッチンハーブエリアもつくりました。
チャイブの花が咲く頃はリーフレタスがもりもりに育って、毎日の野菜は事欠かなくなり、植物の恵みに感謝しています。
裏庭のキッチンハーブエリア。チャイブやセロリ、バジルとトマト、シソ、イタリアンパセリ、ディル、リーフレタスなどが育つ
ステビアも面白いです。葉っぱも茎も噛むととても甘い不思議なハーブで、普通の緑の葉を付ける姿からは想像できないですよね。話のネタにもなるので、育ててみませんか?
ステビアの葉は甘い
庭の植栽の一つとして、ワイルドストロベリーを植えている人も多いと思います。ワイルドストロベリーは、ランナーで縦横無尽に増えていきます。赤い実は見つけるたびに食べることができる、最高のおやつ(笑)。小さいけれど香りがとても強く、ジャムにすると発色がよくなります。
ワイルドストロベリーは鈴なりに実を付ける
実を付けるものでは、グズベリーなども人気ですね。グスベリーはだんだんと濃い赤紫色になり甘くなっていきますが、色づく前の実を少し濃いめの塩水に数日(2~3日)漬けておくと、おいしいおつまみになりますよ! お好みの味になれば、完成です。
我が家では、ドイツグズベリーを育てている。ジャムなどの加工品のほか、 塩水に漬けておつまみに
庭でさまざまな種類のハーブを育てると、風が吹くと葉が擦れ合ってブレンドハーブの香りで満たされます。料理に使わなくても、庭で花以外の香りを楽しむことができる、これもハーブを育てている魅力の一つになっています。
さまざまなハーブの香りを庭で感じたり、収穫したりして暮らしに利用できる
バラも、香り豊かなハーブの一つです。イングリッシュローズは北海道の気候に合う種類も多く、香りのよさには人気があります。花びらをお塩でミルフィーユのように瓶に詰めた「モイストポプリ」は、バラの香りが塩に移って、お風呂で使えるほか、香りを嗅ぐときだけ蓋をあけて楽しむと何年ももちますよ。
モイストポプリにして、香りを楽しむ
フレッシュハーブを収穫したら、石臼で潰して使うことも。バジルやイタリアンパセリを潰してグリーンカレーづくりをするのが、私の楽しみの一つ。
普通のカレーをつくる際もお好みのハーブを足してみると、タイカレーのような風味を楽しめるので、チャレンジしてみてください。
フレッシュハーブを石臼で潰す作業も楽しい時間
マジョラムは、ナチュラルな雰囲気の植栽。香りはオレガノに近く、花の咲き方がとても可愛らしくて大好きなハーブの一つです。
オムライスやミートソースなど、ケチャップやトマトを使う料理のときに葉を刻んで一緒に煮込むと、おいしいですよ。
マジョラムの花の咲き方が個性的
庭のハーブを数種類ブレンドしてつくる「ハーブソルト」は、お料理で活躍してくれるのでぜひチャンレジしてみて欲しいです。モイストポプリと原理は同じ。瓶にお塩を入れ、ハーブを数種類ブレンドして保存しておくと、葉から水分と香りが塩に移り、料理の味つけに重宝するハーブソルトに!
例えば、ハーブはイタリアンパセリやバジル、タイム、ラビッジ、セージ、レモンバームやミント、チャイブなどをブレンド。また、シソを入れれば和風テイストに。ドライオニオンやガーリック、ブラックペッパー、七味を加えるなどアレンジ自在です。
庭のハーブを使った、自家製ハーブソルト!
ハーブソルトは仕込んだその日からもう使えますよ。つくり立てはフレッシュハーブの香りが主張しますが、時間が経つにつれてまろやかになっていきます。数種類のハーブをブレンドすると、それぞれ単品で使うよりも風味豊かなお塩に仕上がります。
庭で野菜やハーブを育てていると、料理レシピの幅も広がりますね。毎日摂取する野菜も、庭で採れる季節の野菜とお好みのハーブリーフを使い、カマンベールチーズを加えれば、ボリュームいっぱいのグリーンサラダがあっという間につくれます。サラダはどうしても同じパターンになりがちなので、たまには違う雰囲気で楽しむのもよいと思います。
庭で採れたもので、あっという間にフレッシュサラダの完成
もし自宅で育てることができなくても、最近はスーパーの野菜売り場でもフレッシュハーブが入手できるので、楽しんでみてくださいね。
プロフィール
かりの あさの
herbarist・ハーブ研究家。北海道札幌市内に在住。ハーブやアロマの指導員などの資格を有し、30年以上植物と向き合い得た知識・経験をもとに、企業のアンバサダーや商品開発に携わる。また、さまざまな講座開催や公共の場での「みどりのまちづくり」のサポートなど、幅広く「ハーブのある暮らしの魅力」を伝えている。かりの あさのHP「ハーブまるごと活用生活」では、ハーブ&アロマのトータル情報をお届け。Facebook「かりのハーブcom」やInstagram「karinoherb」も。
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Facebook かりのハーブcom(ハーブ研究家)