2023/12/09 10:30
niwacul
北海道 バラの育て方|10月 来年の植え床づくり・土壌改良
北海道でガーデニングを楽しむための、バラや宿根草などの植物、病害虫についてなど季節のお手入れ・管理をプロの皆さんが伝授。ここでは、「バラ」についてお伝えします。
文・写真:曽根 浩太さん(岩見沢市・いわみざわ公園バラ園)
残暑が厳しかった9月も終わり、昼夜の寒暖差が大きくなってきました。この寒暖差が花の色づきや香りをよくしてくれます。ガーデナーの皆さんのお庭のバラも、きっと今はきれいに咲いていることでしょう。
秋は秋バラを愛でるほかに、冬囲いが始まる前にもうひと仕事、来年のための「植え床づくり」や「土壌改良」を終わらせたい時期です。
今の時期に来年バラを植える箇所の植え床をつくっておいたり、既存の株の土壌改良を行なっておくことで、これから半年の間に周りの土壌と馴染む時間ができます。周りの植物の根を切るリスクもあるので、休眠期に入ってくる10月下旬くらいから行なうのがよいです。
また、バラを植える場合は、基本的には連作障害を回避するために、長年植えていた場所とは違う場所に植えるのが理想です。
植え床づくり・土壌改良の方法
●植え床づくり
植え床をつくる際、表層の土(表土)と下層の土(心土)を入れ替える「天地返し」は効果的です。ただ、それだけだと腐植分が不足してしまうと思うので、堆肥や腐葉土を混ぜるようにしましょう。それぞれの土壌状態によって入れる堆肥の種類や量は変わってきますが、土中に入れ込むので使う堆肥は必ず完熟のものを使用してください。また、土の入れ替えを行なう場合でも、最低でも3割くらいは現在の土を混ぜ合わせると周りとの馴染みがよくなります。
【1】
マルチングでチップを敷いている場合は、チップを土の中に入れないようにいったん取り除きます。
マルチング材のチップはいったん剥(はが)す
【2】
円柱状に掘っていきます。今回は直径30cm程度にしていますが、理想は50cm程度で、周りの植物にも配慮して決めるとよいでしょう。
堀る穴の直径は50cmが理想
【3】
土を掘りはじめると、上部が黒い土になっています(写真)。マルチングを施しているとチップが分解され、表土に腐植が供給された結果です。下部の粘土とはっきりと見分けがつきます。
天地返しは、堆肥を混ぜながら上部の腐植を下に、下部の粘土を上に入れ替えます。腐植のバランスをとって団粒構造がつくられるのを促し、下部にたまった微量要素を上にあげることが目的です。
【4】
深さは50cm掘っています。表土と心土は左右に分けてそれぞれ堆積します。掘るときに穴がすり鉢状にならないように注意します。
表土はチップが分解し腐植が共有された黒い土に。掘っていくと下部は粘土質なのがわかる
深さ50cm(スコップの緑テープライン)。表土と心土を左右に分けて堆積
【5】
何回かに分けて、掘り上げた土と堆肥を混ぜながら入れていきます。固まっている土はくずしながら入れ、踏み固めます。
堆肥を混ぜながら土を入れ戻して(天地返しして)、踏み固める
【6】
最後は円の真ん中に目印を挿して終了です。
植え床の円の中心に目印を挿しておく
●既存の株の土壌改良
既存の株の土壌改良は、バラ園では「溝堀り」で行なっています。株間に幅20cmで深さ30cmほどの溝を掘り、底に堆肥などを入れて土を埋め戻します。株数や植栽スペースの広さによっては、株周りに数カ所穴をあけたりして同様に作業を行なうのもよいでしょう。
バラ園の花壇では肥効や作業効率も考慮し、幅20cm・深さ30cmの溝を堀って、底に堆肥を施して埋め戻している
プロフィール
曽根 浩太
酪農学園大学卒業後、地方公務員を経て「いわみざわ公園バラ園」へ勤務。北海道のバラ栽培の専門家・工藤敏博氏(イコロの森)に師事し、バラ園の管理・栽培にあたる。今後の北海道のバラ栽培における専門家の一人。
Instagram iwamizawa_rosegarden
Facebook いわみざわ公園バラ園
HP いわみざわ公園