2023/12/09 10:30
niwacul
北海道 バラの育て方|9月 庭に補植する品種選びのポイント
北海道でガーデニングを楽しむための、バラや宿根草などの植物、病害虫についてなど季節のお手入れ・管理をプロの皆さんが伝授。ここでは、「バラ」についてお伝えします。
文・写真:曽根 浩太さん(岩見沢市・いわみざわ公園バラ園)
悪条件下には? 樹形の組み合わせは? バラの庭に補植する際の品種選び
今年の北海道の夏は本当に暑く、当園では人もバラも夏バテが続く毎日でした。9月に入り多少暑さも緩むと思いますが、まだまだ油断はできないですね。
今回は、バラを多く植えているお庭でバラを補植する際に、花の色や形以外で選ぶポイントを説明したいと思います。
法面や日陰など悪条件の場所には―
植栽する場所が、法面(のりめん)や日陰の時間が長いような悪条件の場所にHT(ハイブリッド ティー)やFL(フロリバンダ)といった系統のバラを植えてしまうと、生育不良で大きくなれなかったり、花付きが悪くなったりします。そのような悪条件の場所では、一季咲ですが G(ガリカ)や A(アルバ)、C(ケンティフォリア)といったオールドローズや原種系のバラ、品種によりますが HMsk(ハイブリッド ムスク)と
いった系統がおすすめです。
法面の上には、強健で優しい芳香のあるHMskを植栽。アンネリーズ(Annelies)
建物やヒバの陰になる箇所には原種を植栽している。R.multiflora、植栽1年目
樹形で組み合せる場合は―
樹形で考えることも大切です。違う色、形の花だったとしても樹形が似ている品種同士なら近くに植えていても違和感がありません。下の写真は、赤線の左右で品種が変わっていますが、樹形が似ているので違和感がないですね。
樹形が似ている品種の組み合わせ。赤線の左右で品種が異なる。左側/ギスレーヌ ドゥ フェリゴンドゥ(Ghislaine de Féligonde)、右側/ギルランド ダムール(Guirlande d'Amour)
また、背が高く下が抜けてしまう(株元に葉や花が付かず、抜け感ができる)ような品種の手前に、這い性のバラを植えることで抜けが気にならず、下から上まで花で覆うことができます。
その場合、高性のバラは手前を少し短く剪定し、這い性のバラの奥の枝は高めに剪定することで、2つのバラの一体感が生まれます。
下が抜ける高性のバラの手前に、這い性のバラを植栽。手前/這い性:ファイヤ― メイディランド(Fire Meidiland)、奥/高性:ハンザランド(Hansaland)
「毎日暑くて、真夏はお庭のことをゆっくり考えられない…」なんて人もいるかもしれませんが、9月頃から来期のバラの予約が店頭やネット通販などでも順次スタートし始めますので、お庭をじっくり見回して、欲しいバラを予約で確実にゲットしてください。
プロフィール
曽根 浩太
酪農学園大学卒業後、地方公務員を経て「いわみざわ公園バラ園」へ勤務。北海道のバラ栽培の専門家・工藤敏博氏(イコロの森)に師事し、バラ園の管理・栽培にあたる。今後の北海道のバラ栽培における専門家の一人。
Instagram iwamizawa_rosegarden
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