2023/12/03 10:30
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ハーバルライフ|ポマンダー ~香りの魔除け・クリスマス飾り
このコーナーでは、庭で育てているハーブを使って、気軽に・手軽に楽しむアイデアをお伝えしていきます。 ハーブは“癒しの緑”としてはもちろん、キッチンや暮らしの中でも大活躍!
取材協力:かりの あさの さん(herbarist・ハーブ研究家)
12月は何かと気忙しい月となりますが、リラックスできる自分の時間もつくって、ぜひ手がけてみてほしいのが「ポマンダー」です。
ポマンダーは中世の頃からヨーロッパで広く伝わってきた、クリスマス時期の定番の飾り。今のように医療が発達していなかったため流行病で倒れる人々も多く、修道士たちがポマンダーを“魔除け”としてつくり、腰に吊るしながら看病していたそうです。
病気の予防や悪臭の改善、魔除けの効果も期待されたとか
ポマンダーは、柑橘系の果物や小さめのリンゴに、スパイスのクローブを挿してつくります。クローブは甘い香りの中にスパイスの独特の香りを感じます。この香りが苦手…という方もいらっしゃると思いますが、50代以上の方なら子どもの頃、歯が痛くなったときに使った「今治水(こんぢすい)」という薬を覚えているかと思います。今治水はグローブの香り。そうです、グローブが持つ軽い麻酔作用を利用したものなのです。
クローブ。日本ではチョウジとも呼ばれるスパイスの一つ
クローブはフトモモ科の樹木の花蕾(からい・開花前のつぼみ)。気分を高揚させたり、集中力を高めたりするほか、抗ウイルスや抗菌作用があります。日本では「丁子(チョウジ)」として親しまれているスパイスです。
今回は柑橘類の一つ、ライムを使ってポマンダーをつくっていきます。
[ 材料 ]
・ライム 1個
・クローブ 適宜
・シナモンパウダー 適宜
・マスキングテープ
・リボン
そのほか、千枚通し(ピックなど)やビニール袋、リボンなどを用意します。
[ つくり方 ]
【1】
ライムにリボンを巻く位置をイメージして、マスキングテープを貼りつける。ライムが冷えていると結露してテープがつきにくくなるので、つくる前に冷蔵庫から出して常温にしておく
【2】
千枚通し(ピックなど)を使って、クローブを挿し込むところに穴をあけていく。中の果実までクローブを挿して果汁が出るようにすること。作業時は手指に刺さないよう注意を。
【 Check!】
果汁がたくさん出てきますが、この果汁をクローブが吸収して揮発しながら乾燥していきます。つくっているときはクローブと柑橘の果汁がブレンドされた、さわやかな香りを楽しめます。
ライムにマスキングテープを十字に貼り、それをガイドにしてクローブを挿す穴をあける
穴をあけたらクローブを順に挿し込んでいく
【 Check!】
ピックを挿し込む際に果汁が飛び散りますので、目に入らないようにメガネをかけたり、挿し込む瞬間だけ目をつぶるなど、工夫してみてください。クローブはできるだけ深めに挿し込みます。頭の部分を強く押しすぎると割れてしまいますので、微妙な力加減が必要です。
クローブを挿し込んで4面とも埋める
【3】
すべての面にクローブを挿し終えたらマスキングテープを外し、ビニール袋にシナモンパウダーとマスキングテープを外したポマンダーを入れてよく振る。まんべんなくシナモンがついたら取り出し、余分な粉を落とす
ビニール袋にポマンダーとシナモンパウダーを入れて振る
【4】
仮の紐(ひも)で軽く縛って吊るしたり、お皿に置いたりして乾燥させる。表面の果汁の湿り気が減ってきたら、好みのリボンをあしらって完成。飾りながらしっかり乾燥させていく。
吊るしたりして乾かす
クローブの抗菌効果で10年経っても腐ることなく飾れます。乾燥し続けてドライフルーツになっていくイメージです。今の時期は暖房を入れているので、ポマンダー作りにはぴったりの季節でしょう。
今回は、大きめのライムを使用しました。柑橘系でつくりやすいのは、皮が厚めのもの。サイズによって使用するクローブの量は変わります。つくっている途中にクローブの頭の部分が割れてしまうこともありますので、業務用の袋で購入しておくと安心です。もちろん、お料理にも使えますよ。
袋に入って販売されているクローブ
おうち時間が長くなっていく季節ですし、12月はクリスマスのイベントが控えています。スワッグやリースを手づくりするという人は多いと思いますが、飾りの一つにポマンダーを手がけてみるのはいかがでしょうか。スパイスと柑橘を使った“手しごと”をぜひ楽しんでみましょう。
プロフィール
かりの あさの
herbarist・ハーブ研究家。ハーブやアロマの指導員などの資格を有し、30年以上植物と向き合い得た知識・経験をもとに、企業のアンバサダーや商品開発に携わる。また、さまざまな講座開催や公共の場での「みどりのまちづくり」のサポートなど、幅広く「ハーブのある暮らしの魅力」を伝えている。かりの あさのHP「ハーブまるごと活用生活」では、ハーブ&アロマのトータル情報をお届け。Facebook「かりのハーブcom」やInstagram「karinoherb」も。
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