2025/04/09 15:00
北海道生活
北海道 バラの育て方|4月 春は不要な枝・樹形を整える剪定から!
北海道でガーデニングを楽しむための、バラや宿根草などの植物、病害虫についてなど季節のお手入れ・管理をプロの皆さんが伝授。ここでは、「バラ」についてお伝えします。
文・写真:曽根 浩太さん(岩見沢市・いわみざわ公園バラ園)
春は剪定からスタート!3つの工程と剪定の仕方
ついに雪も解け、ガーデニングのシーズンが始まりました。すべての作業をスピーディーに行なう春先は、体力的に辛い時期ではありますが、「春を乗り切れば、きれいな花が咲いてくれる!」ことを想像しながら、楽しく作業しましょう。
冬囲いを撤去してすぐに行ないたいのが、剪定です。バラは「頂芽優勢」の性質を持っており、一番上の芽に一番栄養が集まることから、芽が動き出して細かい枝に栄養が集まる前に、剪定を終えてしまいたいところです。
春先の剪定は、3工程あります。①老化枝などを取り去る、②開花枝を必要な太さまで切り詰める、③風通しよく枝を透かす、という3つの工程です。
つるバラ以外のバラの品種では、基本的に系統や花の大きさで開花に必要な枝の太さが決まります。大輪品種(HT、Grなど)は鉛筆程度(8mm以上)の太さ、中輪品種(Fl、ERなど)は割りばし程度(5.5mm以上)、小輪品種(S、Pol、HMskなど)は竹串程度の太さ(3.5mm以上)で、芽がある箇所までそれぞれ切り詰めます。
※バラの系統:HT(ハイブリッドティー)、Gr(グランディフローラ)、Fl(フロリバンダ)、ER(イングリッシュローズ)、S(シュラブ)、Pol(ポリアンサ)、HMsk(ハイブリッドムスク)
そのほか、凍害で黒くなり芽が出そうにない枝や、シワの寄った枝なども整理が必要となります。

左/凍害枝。黒くなった部分から芽が出てくるのは期待ができない 右/シワが寄った枝。枝数が少なければいったん残すが、ほぼこのあと枯れてしまう
●枝の切り口(切り方)
芽の5mmくらい上で、芽がある方が高くなるようにカットします。

芽の上5mmくらいでカット
●枝の剪定
・Fl マチネ(Matinee)の例
割りばし程度の太さで切っていきますが、写真の株は内側に枝が集中しているため、正面から見て外に向いている芽を頂芽にしてあげると、外に向かって枝が伸び、きれいな樹形になりそうです。また、マチネは横張りする(横に枝が広がる)品種のため、外側の枝は多少細いと思っても残しています。

【剪定前】枝先が枯れ込み、内側に枝が混み合っている。芽の位置を確認しながら、バランスのよい樹形になるよう剪定を行なう

右/シワの寄った枝がある場合は、その下の芽で切る 左/切るときは、芽の方を高くして斜め切りする

【剪定後】最後に少し離れて、切り残しや全体的な樹形をみる
・HT マドモアゼル メイアン(Mdemoiselle Meilland)の例
HTのバラは、細枝や枯れ枝はすべて切り、鉛筆程度の太さのところで剪定します。その際、枝の混み具合や庭に植栽されている位置なども考慮して、残す芽の向きを決めましょう。

【剪定前】細枝や枯れ枝なども多く見られる。鉛筆程度の太さのところで剪定を行なっていく

【剪定後】バランスのよい樹形になるよう考慮し、すべて外芽を頂芽にしている
剪定ではほかに、どの位置からバラを見るのか…という目線も意識して行ないます。
例えば、地植えで後ろ側が壁の場合、後方の枝を中心から見て外芽で切ってしまうと壁側に向かって咲くので、この場合は、後ろの枝は少し高くし、中心に向かう芽を頂芽にしてあげると、開花したときに見やすい状態できれいに咲いてくれます。
品種ごとの特徴を捉えて剪定したり、庭の配置場所や見る位置によって剪定していくと、よりバラが輝きます。慣れてきたら実践してみてください。
プロフィール
曽根 浩太
酪農学園大学卒業後、地方公務員を経て「いわみざわ公園バラ園」へ勤務。北海道のバラ栽培の専門家・工藤敏博氏(イコロの森)に師事し、バラ園の管理・栽培にあたる。今後の北海道のバラ栽培における専門家の一人。
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