2025/03/27 15:00
北海道生活

ポタジェ|野菜・花・ハーブを混植する“ポタジェづくり”で大切なこと

美しい植物を眺めていると安らぎを感じますね。そこで今回は、野菜・花・ハーブを一緒に育てて楽しむ“ポタジェづくり”で大切にしていること!をご紹介します。
このコーナーでは、季節ごとの野菜やハーブ、花や果樹など、相性のよいコンパニオンプランツを組み合わせながら育てて楽しむ“ポタジェのある暮らし”を紹介していきます。お料理や花のクラフトも。

文・写真:藤井 純子さん(ピュア・ポタジェ代表)



美しい植物を眺めていると穏やかな気持ちになったり、安らぎを感じるものですよね。私のポタジェを訪れた方が、「どの植物もとっても元気ね」「なんだか家庭菜園とは違う。ここに来るとホッとする」「心が安らぐ」という感想をいただく機会が多くあります。そこで今回は、そんな菜園を楽しむための「“ポタジェづくり”で大切にしていること」をご紹介したいと思います。

ポタジェ|野菜・花・ハーブを混植する“ポタジェづくり”で大切なこと

7月中旬のポタジェの様子

皆さんからの質問で「土づくりはどうしているの?」「肥料は何を使っているの?」と聞かれることが多いですが、いつも「土づくりや肥料よりも、基本的なことをしっかりしているだけなのよ」と答えています。育てはじめたばかりの頃は、「植物は肥料で育つもの」という先入観がありましたが、肥料を入れたとたん虫が大量発生したことがきっかけで、なるべく使わないようになりました。

それを実感したのは、ほかの場所での栽培経験でした。私のポタジェは砂質土壌ですが、札幌市丘珠にある「さっぽろ農学校」の土壌は粘土質でした。また4年ほど前、野菜やハーブ・花などの有機種子の専門店「グリーンフィールド」と神奈川で共同菜園をしたときも粘土質のような土壌で、北海道とはまったく環境が違いましたが、このときも基本を大切にすることでいつもと変わらず元気に育ち、周囲の人が驚いていたことを今も覚えています。

そのもととなる考えは、光合成です。植物は光合成をして、自らが育つためのエネルギーをつくり成長しています。つまり強い株をつくれば、生育も向上し、病害虫の予防にもなるということ。光合成ができていると肥料などに頼りすぎることなく栽培することができます。
また、ポタジェの特徴でもある少量多種を混植することで、微生物などの生態系が豊かになり、生育促進や病害虫予防効果も期待できます。

ポタジェ|野菜・花・ハーブを混植する“ポタジェづくり”で大切なこと

光合成がしやすいようにすることが大切

5つのポイント!


それぞれの植物が好む環境づくり

その植物が好む最適な環境選びも大切です。例えば、ピザやパスタに欠かせないスィートバジルは、強い日差しに当たり続けると葉が固くなり風味が落ちてしまいます。また乾燥し過ぎもよくありません。やわらかく風味のよいバジルを育てるためには半日陰になる場所を選ぶなど、その植物にとって最適な場所をあらかじめ選ぶことも大切です。

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半日陰で育てたバジルは、やわらかく風味がよい


定植やタネまきの方法

苗半作といわれるように、よい苗を育てることや選ぶことも重要ですが、適切なタイミングで植えることも大切。寒さに弱い植物を気温や地温が上がっていない時期に植えると初期生育がこじれ、その後の生育に影響します。また、定植やタネまきの深さにも気を配り、しっかりと根が張れるように鎮圧することも大切です。

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定植やタネまき後は、根が張りやすいように鎮圧することも大切

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定植時は深植えや浅植えにならないよう、適切な深さで植える


③ 水やりの方法

水やり3年といわれるほど、水やりの方法やタイミングも重要です。葉裏には気孔があるため、勢いよく水を与えると、はねた土が葉裏についていまい生育不良になります。植え付けた直後はもちろんのこと、なるべく植物に直接水がかからないよう、株元に優しく与えるように意識しましょう。

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目安としては、定植から1カ月ほどは優しく与えること


ライフサイクルを意識した手入れのタイミング

栽培をする上で「知識や技術が重要なのでは?」とよく聞かれますが、手入れや収穫などのときに参考にしているのが“植物のライフサイクル”です。
植物の生長過程には「栄養生長」と「生殖生長」があります。タネから発芽し、光合成のために葉や枝を伸ばして体を大きくするのが「栄養生長期」で、開花して実を付け、タネをつくるのが「生殖生長期」です。情報収集も大切ですが、この植物のライフサイクルを頭の片隅に入れておくと、柔軟に対応することができます。

ポタジェ|野菜・花・ハーブを混植する“ポタジェづくり”で大切なこと

植物のライフサイクル

間引きや摘芯などは、はじめのうちは難しく感じるかもしれませんが、経験を積むことで少しずつ技術も向上します。何事も継続することは大切ですね。

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ニンジンの間引きは生育中に3回ほどに分けて行なう 

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ホーリーバジルもスィートバジルと同じく花が咲いたら剪定する

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大きくなってきたら中耕する(表土を軽く耕す)ことで、土に空気が入り生育を促す効果が期待できる

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風で揺れるとストレスになるので、誘引も欠かせない作業

また、収穫のタイミングも重要で、例えばトウモロコシの収穫は、雌穂が茶色くなってから20~24日ほどといわれ、収穫が遅れると粒皮が硬くなり甘みも減少します。おいしく収穫できるのは3日しかない!ともいわれていますので、収穫適期を見逃さないためにもよく観察することが大切です。

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収穫のタイミングも大切!


雑草との共存

雑草は虫たちの住みかになって害虫を予防する効果も期待できるため、雑草と戦うという気持ちを手放し、共存する気持ちが大切です。穏やかな心で植物に触れると心に余裕が生まれ、今までは気づかなかった小さな変化を敏感にキャッチできるようになるはず。雑草が大きくなったときは根から抜かず、地際からハサミでカットしましょう。

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スベリヒユは地表の水分を保つ効果が期待できる

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サツマイモは雑草を抜かずに栽培

ポタジェ|野菜・花・ハーブを混植する“ポタジェづくり”で大切なこと

ハコベも抜かずに育てるとよい

愛情込めてつくった料理が美味しい感じるように、一つひとつの植物の特徴を知り、基本を大切にすると居心地がよさそうに元気に育ってくれます。やがて「そろそろ間引きして」「食べごろだよ」と植物のメッセージを受け取れることでしょう。

プロフィール


藤井 純子
「Pure Potager(ピュア ポタジェ)」代表。ポタジェ・アドバイザーとして道新文化センター札幌校などのセミナー講師のほか、新聞・雑誌にて執筆活動を行なう。また、ポタジェの魅力を一冊にまとめた「Green Finger ポタジェ~小さな庭が与えてくれる恵みと幸せ~」を執筆。「コーチャンフォーミュンヘン大橋店」で取り扱いのほか、HPに掲載のネットショップを利用。またはAmazonでも販売、「ポタジェ」で検索。

HP  ピュア・ポタジェ 
Instagram pure.potager
YouTube ポタジェ『心と身体を癒す庭へようこそ』 @lifewithpotager401



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