2025/03/26 15:00
北海道生活WEBスタッフ

道内一の生産地!当別町で春色のチューリップが出荷最盛期

北海道の長い冬が終わりを告げる頃、お花屋さんの店先で、いち早く春の彩りを届けてくれるのがチューリップです。
石狩エリアの当別町は年間約40万本の出荷量を誇る、北海道内随一のチューリップの産地。2月下旬から4月にかけてシーズンとなるチューリップの出荷は、今まさにピークを迎えています。

春色のチューリップを求め、当別町のチューリップ生産者さんとJA北いしかり 当別花卉生産組合を訪ねてみました!

道内一の生産地!当別町で春色のチューリップが出荷最盛期 道内一の生産地!当別町で春色のチューリップが出荷最盛期

当別町産チューリップ。多彩な花色・咲き姿のチューリップが生産されている

道内一の生産地!当別町で春色のチューリップが出荷最盛期

JA北いしかり 花き出荷施設(当別町・JA直売所「はなポッケ 上当別」に隣接)。収穫したばかりのチューリップが集まってくる

手間と愛情が育む一本一本のチューリップ


圃場(ほじょう)を見せてくれたのは、「(有)きやじ」でチューリップの生産を行なっている木屋路 祐美(きやじ ひろみ)さん。2つある農業用ハウスのうち、1つを案内してくれました。ここでは18品種、約4万本のチューリップが栽培されています。もう一つのハウスのチューリップは、すでに全て出荷済みとのこと。

道内一の生産地!当別町で春色のチューリップが出荷最盛期

(有)きやじのチューリップ圃場。1つのハウスで約4本のチューリップを栽培している

(有)きやじは、花だけでなくお米や麦、野菜なども栽培する大規模農家です。実は、花の生産ではユリがメインだそう。秋にユリを出荷したあとは春まで畑が空くため、「畑を遊ばせているのももったいない」とチューリップの生産を始めたといいます。30年ほど前にもチューリップ栽培をしていたそうですが、久しぶりに祐美さんが再開することになりました。
土壌内にあるユリには不要な養素をチューリップが吸い取ってくれるため、チューリップの栽培はユリの栽培にとってもメリットがあるそうです。とても興味深いですね。

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木屋路 祐美(きやじ ひろみ)さん

北海道のチューリップ栽培は、雪が降る前に球根を植え付けて11月頃から加温を開始、2月から4月にかけて収穫し、出荷します。
お客様の手元に届くタイミングで花が見ごろになるよう、つぼみに色がつくかつかないかくらいの状態で収穫するのがポイントです。収穫は手作業で行なわれ、1本1本畑から丁寧(ていねい)に引き抜いたあと、球根部分を切り落とします。そして、背丈を一定の長さに調整して出荷。収穫後1週間ほどで、市場を経由し生花店やお客様の元に届くというサイクルです。

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畑に手を入れ、スッと抜き取ったチューリップ。球根付きの状態で収穫し、このあと切り落とす

「農業の仕事で大変だと思ったことはあまりないんです」と話す祐美さん。一方で、花の栽培の魅力については、「毎日、花の顔が変わっていくのを見るのは面白いですよ。直売のイベントなどでお客様が花で笑顔になっているところを見られるのもうれしく、やりがいを感じます」。
毎年2月末にはJA北いしかりによる札幌の地下歩行空間(チカホ)での直売会も開催されています。こちらは毎年人気のイベントで、今年は 2回も花を追加するほど大盛況だったとのこと。

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今年(2025年)2月28日に、チカホで開催された「当別産チューリップ直売会」の様子

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直売会当日、私も会場を訪ねてチューリップを購入! 白花の八重咲きとオレンジ色のチューリップが、寒い玄関で2週間ほど咲いてくれた♪

祐美さんが最後にもう一つ、「農業の仕事は大変と敬遠する人もいますが、私はそうは思いません。今、特に都会では若い人たちが新しい発想と感覚で農業に参画してきています。AIによる分析や、ドローンや機械による省人化などを取り入れ、農業で"大変"といわれていた部分がどんどん改善されているんです。若い世代の新しい発想や取り組みを見ていると、私たちも負けていられないなと感じますね」と、農業の未来についても前向きな展望を笑顔で語ってくれました。

当別町のチューリップは道内一の生産量を誇る


「当別町では、81軒の花農家のうち10軒がチューリップを生産しています」とJA北いしかりの担当者さん。1シーズンでおよそ40万本のチューリップが出荷される規模は、北海道随一だそう。週3回の市場の競りに合わせて出荷作業が行なわれ、道内はもちろん全国の花き市場へチューリップの出荷は4月まで続きます。

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品種はさまざまに、色分けされたチューリップの大きな束

取材当日には、当別町内にあるJA北いしかり 花き出荷施設で、地域還元の催しとして直接注文を募った ホワイトデー向けのチューリップを梱包する作業が行なわれていました。
チューリップ生産を行なう10軒の花農家さんが集まって作業をしていましたが、花の扱いがとても丁寧なことに、私も何だかうれしい気持ちになりました。

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地域還元の催しとして直接注文を募ったそう。この日は、注文通りにチューリップを梱包する作業を行なっていた

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木屋路 祐美さんの姿も

ふるさと納税の返礼品としても人気!


また、当別町産チューリップは、当別町のふるさと納税の返礼品にも採用されています。提供しているのは「四季農場」。昨年は50件ほどの申し込みがあったそうです。
生花の発送は配送途中で何かあってはいけないので、梱包にはとても気を使うそうです。四季農場の岩中さんは「よい状態で手元に届いて、喜んでほしい」といい、心を込めて送り出しているのが伝わってきます。チューリップは4月頃まで返礼品として選べ、夏のタイミングはヒマワリやカラーが返礼品として選択できるそうです。

50年以上の歴史を持つ花の産地


JA北いしかり 当別花卉生産組合ができたのは、今から54年前。半世紀以上にわたって当別町では花の生産が続いています。チューリップをはじめ、ユリ、ヒマワリ、カスミソウ、カーネーションなど約30品目が栽培され、北海道内で花の生産量はトップクラスです。

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高品質な「愛される当別の花」づくりに努めて50年以上

JA北いしかりの担当者さんは、「年によって人気の色や品種が変わるのも、花の面白いところ」と話します。改良により新しい品種も毎年登場していますが、昔から変わらずずっとある品種や、昔の品種を改良して昔の名前で再度売り出すリバイバル品種も人気だそう。
例えば 黄色・一重咲きのチューリップで当別町オリジナル品種の「ゆみこ」は、昔からある「ストロングゴールド」が最初の品種なのだとか。昔から知っている人にとっては懐かしく、若い世代には新鮮な品種として楽しんでもらえているのでしょう。

農業の中でも花の生産は手間がかかりますが、「皆さんが情熱を持って生産しているので、私たちもそれに応えるべく取り組んでいきたい」といいます。生産者が1本1本、愛情と手間をかけて育てた品質の高い花が、消費者に届いて、そしてそれが産地評価にもつながるように、「地域のブランド力を高め、当別のチューリップの価値をさらに高めていくことが目標」と花づくりへの情熱を語ってくれました。
当別町の生産者が真心込めて栽培した花は、北海道の切花品評会において農林水産大臣賞などを受賞するなど高い評価を得ています。

雪解けが進む北海道で、ひと足早く春の訪れを感じさせてくれるチューリップ。生産者の手間と愛情が詰まった当別産のチューリップが、今年も北国から全国へ、春の彩りを届けていきます。

(「北海道生活」WEBスタッフ)

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