2025/03/23 15:30
「北海道生活」編集長
やぎさん取材日記|道南いさりび鉄道“食いだおれ観光列車”の旅
ただいま発売中の「北海道生活」春号では、春から始まる観光列車をご紹介しています。
道南いさりび鉄道は、北海道新幹線が誕生した2016年、廃線となったJR江差線の一部「木古内」から「五稜郭」までを引き継いだ第三セクターの鉄道です。

車両はキハ40形という、昔はどこでも走っていた普通列車で、この道南いさりび鉄道ではいつでも乗ることができます。

車内は青色のシートでなつかしい雰囲気。五稜郭を出発するとすべてが無人駅で、各地の方々に支えられている路線は、乗っていても穏やかなほっこりした気持ちになります。

北海道にある鉄道は、JR北海道のほかは、通称「いさ鉄」と呼ばれる道南いさりび鉄道1社だけ。
ここに「日本一貧乏な観光列車」といわれる観光列車「ながまれ海峡号」が走っています。

観光列車「ながまれ海峡号」が登場する5月から10月頃までは様子が一変、運行日には観光客が次々と乗り込み、にぎやかになります。
ここからは、以前取材した「ながまれ海峡号」のようすをご紹介。(今年の内容については異なりますので、最新情報は公式サイトをご確認ください)

車内は大漁旗など漁師町ならではの楽しい飾り付けで、まるで「あまちゃん」の観光列車を思い出すにぎやかさ。「潮騒のメモリーズ」が出てきて歌いそうです♪

いつものシートも特別に道南杉のテーブルが付けられ、ここで飲食も楽しむことができます。

この「ながまれ海峡号」は日本一貧乏な観光列車といわれていますが、鉄道のみなさんや地域のみなさんの手づくりで行なわれているぶん、とっても心があたたまる内容になっています。
まずは、上磯駅で懐かしい立ち売りがお出迎え! 地元の方々が特産品、まちのお店でつくられているパンやお菓子などを立ち売り販売していました。 北斗市のキャラクター・ずーしーほっきーもいましたよ。

終着駅は木古内駅。この向かいに、北海道でも人気トップクラスの道の駅「みそぎの郷きこない」があります。ここで、おみやげタイムというのもうれしい♪

帰りは函館方面へ戻りますが、ここからは食いしん坊&飲兵衛に充実の時間。
まず、ランチボックスは道の駅の人気イタリアン「どうなん'des」のパスタとサラダセット。けっこうなボリュームです。

ランチを食べてからは、ほろ酔い気分で。車内では地元産の日本酒・焼酎・ワイン、そして北海道限定サッポロクラシックを販売しています。
私は木古内の地酒「みそぎの舞」を車内販売で買いました。六角精児さんの「呑み鉄」に憧れているのです。

まもなく夕方。「いさりび鉄道」の名前のように、いさりびがきらめく夜へと向かいます。

茂辺地駅では、地元のみなさんが海鮮BBQでお出迎え! ホタテやツブなど豪華、しかも焼き方がプロフェッショナルでとっても美味しそう。

焼きあがったころに列車が到着し、焼きたての海鮮を盛りつけた特製お弁当が配られるのです!

さらに、おにぎりや和菓子も付いていて、かなりのボリューム。
道の駅「みそぎの郷きこない」で、パスタのほかに、コロッケや塩パンなど美味しいグルメをおなかに入れてしまった人は、別腹の量をはるかに超えているため真っ青になるほどです。
帰りはとても食べきれず持って帰りましたが、鉄道のご担当者いわく「食べきれないと文句をいわれるくらい出すのがこだわり」だそうで、日本一貧乏などころか、日本一おなかいっぱいになれる「食いだおれ列車」なのでした。

帰りはすっかり夜になっていて、運がよければ名前の通りの「漁り火」がみえることも。

そして上磯駅は工場夜景の名所でもあり、車窓からは美しい工場夜景も眺められます。

五稜郭または函館で下車。ここからさらに、函館山や五稜郭の夜景を楽しむのもいいですね。
五稜郭駅のショップでは「鉄印帳」も販売しているので、お好きな方はぜひチェックしてください。

最新情報としては、この五稜郭駅のショップで「まかりのおにぎり」を販売!
函館市民ならだれでも知っている、しょうゆをまとったごはんのおにぎりです。
観光列車のない日も、車内で食べてほしい立ち寄りグルメを「北海道生活」春号でいろいろ紹介していますので、ぜひご一読ください。

これからの季節は春、北海道で一番早い桜が咲きだすのも道南ならでは。
各駅では、チューリップ、芝ざくらなど、お花の名所も楽しめますよ。
観光列車が登場する前の4月は、普通列車に乗りながら花見するのがおすすめ。
急ぐ旅でなければ、五稜郭または木古内で道南いさりび鉄道に乗ってみてくださいね!
(「北海道生活」編集長)