2025/03/13 14:00
北海道生活

ポタジェ|菜園の苗づくり!タネから育てた苗~鉢上げ編

今回は、前回の「苗づくり ~タネまき編」に続き、鉢上げの方法と定植時期までの管理のコツをご紹介。
このコーナーでは、季節ごとの野菜やハーブ、花や果樹など、相性のよいコンパニオンプランツを組み合わせながら育てて楽しむ“ポタジェのある暮らし”を紹介していきます。お料理や花のクラフトも。

文・写真:藤井 純子さん(ピュア・ポタジェ代表)



日差しがあたたかくなり、少しずつ春が近づいていることを感じる季節になりましたね。
今回は、前回の「苗づくり ~タネまき編」に続き、「鉢上げ」の方法と定植時期までの管理のコツをご紹介したいと思います。

ポタジェ|菜園の苗づくり!タネから育てた苗~鉢上げ編

鉢上げから1カ月ほど経過した苗の様子。順調に育ってくれるとうれしい


鉢上げとは―

セルトレーで育てていた苗を、ビニールポットに植え替える作業のことを「鉢上げ」といいます。培養土(栄養分が入った土)に植え替えることで、見違えるほど大きく生育します。その生育した苗を、準備しておいた畑やプランターに植え付けます。

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トマト苗は、一番花が咲いた頃に定植するとよいといわれている

鉢上げのタイミング


セルトレーでタネから苗を育てていると、どのタイミングで鉢上げをするとよいのか迷うものですね。鉢上げを行なうタイミングをチェックしておきましょう。

本葉が3~5枚になったころ

植物の種類によって異なりますが、目安としては本葉が3~5枚になった頃といわれています。セルトレーの中でほどよく根が育っているタイミングです。鉢上げが遅れると根が育ちすぎてしまいますので、日々の観察を忘れずに。

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本葉3~5枚に育った苗。ほどよく根が育っている

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作業が遅れると、根が育ちすぎてしまう


隣の葉と触れ合うようになったころ

隣の葉と触れ合うようになると風通しが悪くなり、病害虫が発生しやすくなります。また、トレーの中央にある植物は、隣の苗と葉が触れることで光合成がしやすいようにと、茎を伸ばして背を高くしようとします。これも徒長苗の原因になるので、鉢上げをする目安になります。

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トマトの苗の様子。隣の葉と触れ合って窮屈(きゅうくつ)そう…

鉢上げの方法


まず鉢上げを行なう前に、必要な道具や材料も揃えておきましょう。

[ 道具・材料 ]

・培養土(栄養分の入った土、水はけがよい土)

・ビニールポット(ポットサイズの目安:ハーブ苗 6~9cm。野菜苗 9~12cm)

・ピンセット(なければ 竹串や割り箸)

・底面給水トレー(深さ5㎝ほどのトレー)

・ジョウロやスプレー、手袋、新聞紙など

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手袋、ピンセットなども用意しておく


[ 鉢上げの手順 ]

【1】

ビニールポットに土を入れます。あらかじめ培養土を1cmほどビニールポットに入れておきます。

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1㎝ほど土を入れておく


【2】

セルトレーから苗を抜き取ります。トレーの縁(ふち)からピンセットを入れ、底からすくうようにして抜きます。タネまきのときにしっかりと鎮圧しておくと、土が崩れず抜きやすくなりますよ。

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底からすくうようなイメージで抜く


【3】

苗をビニールポットに移します。ビニールポットの中心に苗をおき、ポットを回しながら苗の周囲に培養土を入れていきます。葉の裏には気孔があるので、葉に土がつかないように気をつけながら丁寧(ていねい)に入れましょう。

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葉に土がつかないように、そっと優しく

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最終的にビニールポットの9割ほど土を入れる


【4】

軽く押さえ鎮圧します。土がふわふわしているとしっかりと根が張れないので、優しく押さえ鎮圧しましょう。最後にネームプレートを挿しておきます。

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土を優しく鎮圧

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これでOK。ネームプレートを挿しておく


【5】

水を与えましょう。給水トレーに苗を並べ、苗に水がかからないように周囲から注ぎます。葉に水がかかると水の重さで葉が下がり、葉に土がついてしまうことで生育不良になります。また、このときにトレーの左上から下へ順にビニールポットを並べていくと、品種の管理がしやすくなりますよ。

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左上から並べていく


鉢上げ後の「間引き」

苗が込み合っている場合は、1~3本になるように間引きします。抜きにくい場合は、根元からハサミでカットしましょう。このとき、ヒョロヒョロとして背が高いものより、茎が太く葉がきれいに育っているものを残してください。

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きれいに育っているものを選ぶ

鉢上げ後の管理ポイント


鉢上げ後は、2~3日ほど日陰に置いて養生させます。その後は、前回お伝えしたタネまきの「発芽後の管理ポイント!」と同様にすることで、徒長を防ぐことができますよ。

① 適温で管理

あたたかい場所に置くと徒長しやすくなります。少し肌寒いかなと思う温度(20℃前後)で管理しましょう。


② 昼間はしっかりと日光を当てる

植物は葉で光合成をして、根や茎など自身の体を大きくします。できれば4~5時間は日光が当たる場所に置くようにしましょう。しっかりと葉が育って光合成ができていると、追肥の必要がなくなります。


夜は暗い環境に

夜は植物も眠る時間。室内の照明が当たらない場所に移動するか、段ボールなどで覆うなどの工夫をしましょう。

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上/我が家では、日中は日当たりのよい東向きの出窓に置いている 下/夜は、遮光シートで覆って暗い環境に


水分を控えめに!

発芽後は指で土を触り、乾燥していたら底面給水トレーにぬるま湯(35℃前後)を注ぎます。「水が足りないのでは?」と心配になるものですが、水分が多くいつも湿っていると根腐れになる場合があります。

もともと根は水分を求めて伸びる習性があるため、根が伸びると地上部(茎や葉)も育って光合成が盛んになり、株全体がやや軟弱に大きくなります。そのため、少し乾燥気味に管理するのがコツです。また、鉢上げ後に根が浮いてくるときがありますので、水やりの際に確認しながら株元を押さえると、根がしっかりと張ってよい苗ができます。

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正常生育の範囲で水を与えること! 


生長点を摘む「摘芯」

生長点を摘み取る「摘芯(てきしん)」することで、脇芽が増え、株全体のボリュームが増します。マリーゴールドやペチュニア、アリッサム、ナスタチウムなどの花苗は、本葉が4~8枚以上になったら生長点を摘み取ります。バジルは、草丈が20~30cmほどになったら摘芯します。摘芯の必要性は植物によって違いますので、タネ袋などの説明を確認するとよいでしょう。

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摘芯(てきしん)すると脇芽が増えてボリュームが出る

定植する(畑に植え付ける)までは、もうしばらくかかりますが、小さかった苗が少しずつ大きくなる様子を眺めるのは楽しいものです。毎朝、「おはよう!」と声をかけながらお手入れしていると思いが伝わるはずですよ。

プロフィール


藤井 純子
「Pure Potager(ピュア ポタジェ)」代表。ポタジェ・アドバイザーとして道新文化センター札幌校などのセミナー講師のほか、新聞・雑誌にて執筆活動を行なう。また、ポタジェの魅力を一冊にまとめた「Green Finger ポタジェ~小さな庭が与えてくれる恵みと幸せ~」を執筆。「コーチャンフォーミュンヘン大橋店」で取り扱いのほか、HPに掲載のネットショップを利用。またはAmazonでも販売、「ポタジェ」で検索。

HP  ピュア・ポタジェ 
Instagram pure.potager
YouTube ポタジェ『心と身体を癒す庭へようこそ』 @lifewithpotager401



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