2025/03/09 10:30
「北海道生活」編集長
やぎさん取材日記|JR室蘭本線「母恋めし」と海の絶景と秘境駅

広い北海道、道南とひとことで言っても範囲はさまざまです。
そこで今回の「道南の鉄道」の旅は、室蘭本線の室蘭駅からスタート。
カメラマンの車を駅前に停め、二人で普通列車に乗り込みました。
“鉄のまち”の風景、目の前に広がる海、有珠山や昭和新山など左右の車窓を楽しみ、噴火湾沿いをめぐります。

今回は東室蘭駅からのびる小さな支線を走る普通列車を使って室蘭駅へ。
札幌から特急で南へ向かうと、東室蘭駅に停車しますが、そこから普通列車に乗るのは初めてです。
室蘭駅から徒歩で約10分のところには、国の登録有形文化財に数えられる旧室蘭駅舎があり、おとなりには蒸気機関車が展示されています。
さあ撮影しようと高台に上がったら、カメラマンが「あ!」と、そこには選挙ポスターがずらり。
「石破さんって鉄道好きだったよね?」「なんでこの風景を邪魔するかなあ(笑)」と、なんとか見えないように撮影しました。

おとなりの母恋(ぼこい)駅は、なかなか風情のある無人駅。
雰囲気がいいなあと思っていたら、旧国鉄時代のポスターに使われたこともあるそうです。

この母恋駅で買えるのが、地元でひとつひとつ作られている「母恋めし」。
包みを広げると、ほのぼのしたイラストが目を引きます。

ふたのイラストもかわいい。
実際にお弁当を渡してくださった関根さんはシルバークレイ作家の素敵な方で、かっぽう着のおっかさんというイメージとはちがいました。
それでもやさしい笑顔は一緒でした♪

ホッキ貝工芸作家のご主人と編み出したという「母恋めし」の中身は、ホッキの貝殻を再利用しようということもあり、まずは大きな貝殻にびっくり。
ホッキごはんのおむすびは、貝殻の中にも入っているので、2個あって満足です。
ほか自家製の燻製卵・燻製チーズに、茎わかめもちょこんと入っていて、「これはビールのおともにもいいですね~」と話をしながら、もちろん仕事中なのでお茶とともにいただきました。

お弁当を食べ終わったら、デザート代わりに「ご安全で楽しい旅を‼」とハッカ飴も入っていてうれしい。
のんびり普通列車に揺られながら、さわやか~なランチタイムを過ごせました。

こじんまりとした長和駅にさしかかり、「あ!ここが長和か」と気づきます。
特急に乗っていると通過駅になってしまうので、なかなか実際の駅を見たことがなかったのでした。

長和のあたりは北海道では珍しい田んぼの風景と列車が一緒に見られます。
カメラマンとこのような風景を狙って撮影に行ったことを思い出しました。
ちょうど、2024年に登場したH100型ラッピング車両のうち「日高線ラッピング」がコトコトと走っていく様子が撮影できました。

そして、室蘭本線を普通列車で行く、もうひとつの目的は日本一の秘境駅。
「あ!小幌(こぼろ)駅」というまに到着し、すぐに出発します。
一度降りたら、次はいつ乗れるのか……時刻表をチェックしないと大変なことになります。
カメラマンが撮影した時は「降りてじっくり撮影したかった~!」と言っていました。

……といっているまに、長万部へ到着。
「あ!」とまたまた声を上げたのは、ホームの向かいに「日高線ラッピング」が停まっていたからです。
アイヌ文化と馬産地を表現した「日高線ラッピング」、旧国鉄色をベースに、日高から胆振(いぶり)地方にかけての馬やアイヌ文様などが描かれているのがよくわかります。
帰りはこの車両に乗って、カメラマンとともに再び室蘭へと戻ります。

撮影は終わっているので「あとはゆっくり休んでください」と伝えたのですが、途中だんだんと夕方の車窓へと変わって行き、美しい海の姿が……。
海が見えるホームがある無人駅として知られる北舟岡駅で、カメラマンが渾身の一枚を撮影してくれました。

室蘭の夜は、やっぱり「室蘭やきとり」。
札幌に移住してからは塩味の焼き鳥を食べることが多くなったのですが、室蘭はだんぜんタレ。
しかも鶏肉でなく豚肉、長ネギでなくタマネギ、カラシを付けるのがマストです。
同じく室蘭名物の「うずらの卵」も皮ごと焼いたのが、皮ごとやわらかくて美味しかった!
北海道は広い、やきとりと言っても地域によって全然ちがう。
それでも「おつかれさま!」とビールで乾杯して、楽しく酌み交わす時間はどこへ行っても同じなのでした。
(「北海道生活」編集長)
【今回のたちよりスポット】・・・・・・・・
母恋めし本舗 (母恋駅売店)
※「母恋めし」は母恋駅の売店ほか、喫茶「ブロートン」にて販売、数量限定のため事前に連絡を(詳細はHP参照)
営業/ 10:00~13:00(木曜定休)
HP/ https://www.bokoimeshi.com/
※この記事は「北海道生活」本誌2025年春号より一部転載しています。