2025/03/08 10:30
北海道生活
北海道 宿根草の育て方|3月 雪解け後の庭の確認とお手入れ
北海道のバラや宿根草、芝生や樹木、病害虫についてなど季節のお手入れ・管理をプロの皆さんが伝授。ここでは、「宿根草・草花」についてお伝えします。
文・写真:高林 初さん(苫小牧市・観光庭園 イコロの森)
雪が解けたら、庭のチェックとお手入れスタート!
少しずつ春の気配が感じられる3月。北海道の宿根草ガーデンでは、雪解けが始まり、徐々に作業を始める時期となります。しかし地域によって気候差があり、雪解けが進む場所もあれば、まだ厚い雪に覆われていることも。気温の変化に注意しながら、無理のない範囲で作業を進めましょう。

イコロの森のボーダーは、雪は少なくなったが、まだ花壇には残っている状態。雪解けまで焦らずに待っていよう
今回は、雪解け後に行なっておくとよい 宿根草の庭のチェックと、雪解け直後から始まるお手入れについてお伝えします。
●雪解け後の確認と管理
雪が解け始めたら、庭の状況をチェックしましょう。地植えの宿根草が顔を出し始めている場合、以下のポイントに注意します。
【ポイント】
・霜柱で持ち上がった株は、軽く押さえておきましょう。
・溶けた雪の影響で、地面が過湿になっていないかチェック! 水が溜まるような場所は、水はけを改善します。実行は土の凍結が解けてから行ないましょう。
●雪解け後の花壇の清掃
雪解けが進むと、昨年の枯れ葉や折れた茎が目立つようになります。これらを取り除くことで、新しい芽の成長を促し、病害虫の発生を防ぐことができます。
【ポイント】
・枯れた葉や茎を剪定し、不要なものは処分する。
・雑草がすでに生え始めている場合は、早めに抜いておく。

ヒマラヤユキノシタ。周囲に枯れた葉が残っているので、取り除いていく

作業後のヒマラヤユキノシタ。株周りがきれいに!

落葉性のグラス スポロボルスは、見た目が人の頭のよう。そろそろ茶色い葉は切り去ってよい時期
●マルチングの調整
秋に施した腐葉土やバーク堆肥などのマルチングは、3月に入ってもまだ有効です。特に夜間の冷え込みが続く時期には、急な温度変化から根を守ってくれます。
【ポイント】
・雪が解けきる前や気温が安定しない間は、そのまま被せておきましょう。
・降霜のリスクがなくなったら徐々に周囲に敷き均し、花壇のマルチング材としてそのまま利用する。

越冬が心配な株に施したマルチング。もう少し暖かくなったら周囲に敷き均す
●植木鉢の管理
雪解け後、植木鉢(鉢植え)の植物にも注意が必要です。過湿になっていると、植物の根がダメになってしまう場合があります。日当たりがよく、夜は寒風が咲けられる場所に置くとよいです。根詰まりにも注意です。
【ポイント】
・鉢底の水はけを確認し、過湿になっていないかチェックすること。
・寒暖差が大きいため、日中は日当たりの良い場所に置き、夜間は寒風を避けましょう。
・冬の間に根詰まりしている鉢は、小さなフォークや根かきなどで軽く表土をほぐしてあげる。
・鉢植えの水やりは、土の表面がしっかり乾いてから行なう。

植木鉢は水はけが肝心 少し浮かせることでさらに水はけがよくなる
●春の準備と計画
本格的な作業シーズンに向けて準備を進める時期です。昨年の庭の写真やメモを見返し、宿根草の配置を見直しましょう。そのうえで 庭に迎え入れる新しい苗の購入リストを作成し、春の植え付けに備えるとよいです。
また、ガーデニングツールの手入れを行ない、切れ味の悪くなったハサミやスコップを整備しておきましょう。春に向けて準備しておくことで、スムーズに庭仕事がスタートできますよ。

必要なツールのメンテナンスや購入は今のうちに
3月は庭の様子をよく観察しながら、ゆっくりと春に向けた準備を進める時期です。雪解けのペースや気温を見ながら、無理なく作業を進めていきましょう。

雪解けとともに開花するスノードロップ

ミニアイリスのキャサリンズゴールドも雪が解けたらすぐに開花する。繊細な色合いが春の日差しによく似合う
プロフィール
高林 初
英国Writtle College(リトルカレッジ)にてガーデンデザインを学ぶ。現在は、苫小牧市にある「イコロの森」の勤務、ヘッドガーデナー 。設計からメンテナンスまで庭づくりの幅広い経験をもとに、宿根草ガーデンの管理・栽培等を担当。
Instagram ikor_no_mori
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