2025/02/11 17:30
「北海道生活」編集長
発表!北海道の食匠「北のハイグレード食品2025」
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2010年にスタート、全国のバイヤーやシェフなど食のプロが審査する「北のハイグレード食品」。2025年の今回は、103品の応募から厳選なる審査を経て新たに18品目が選定となりました!
2月10日(月)には、札幌パークホテルで発表セレモニーが行なわれました。
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審査委員長の浅野裕紀さんは、「これまで全国に向けてきた北のハイグレード食品ですが、全体のレベルが十分に上がってきたので、これからは海外でもどんどん出ていくことを期待。それに応えた商品も今回出てたと感じています」と講評。
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表彰状が渡された後、三橋副知事は「いずれも高品質で、ストーリーも高く評価されました。自信をもって薦められるものばかり」と太鼓判を押しました。
「北海道生活」では次号の春号(3月3日全国発売)で詳細を紹介しますが、このセレモニーで受賞食品のすべてを試食させてもらえたので、感想とともに一足早くご紹介します!
<以下18品目、順不同>
白櫻(はくおう)(新ひだか町/銀鱗)
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ちょうど「北海道生活」冬号で紹介したばかりの「白櫻」は、スタジオで撮影したカメラマンが、「あ!あのホッケだ」と気づいた白いホッケ。
温暖化によりホッケのエサが変わって来て、脂ののったふんわりした白いホッケが揚がるようになったのを、腕利きの漁師と仕立て人により手間をかけて加工しています。
スタジオで焼いたときは大きすぎて大変でしたが、「あれはレストラン用などに出す大きいサイズで、一般に販売できる小売り用のサイズもありますよ」と生産者の堀田さん。
添加物を一切使わず、一枚ずつ塩のみで仕上げているので、焼くだけでとっても美味しい。
ホッケは知ってるという方にこそ、一度食べてみてほしい白いホッケです。
純米大吟醸酒粕西京味噌漬 北海道桜ます(札幌市/丸亀)
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こちらも「北海道生活」冬号でトキシラズの刺身醬油漬を紹介しているサケ専門店「丸亀」が、昨年につづき連続受賞。
「サクラマスの酒粕西京味噌漬」は船上活〆のサクラマスを純米大吟醸酒粕と西京白味噌で漬け込んでいます。
サクラマスは色がうすく繊細できめの細かい味わいですが、このサクラマスの美味しさを伝えたいという札幌のサケ専門店としての意気込みと、酒粕と塩のバランスが絶品と評判でした。
「幸福雲丹」幸雲丹(さちうに)
「幸福雲丹」福雲丹(ふくうに)(札幌市/世壱屋)
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「世界一美味しいウニを届けたい」と6年かけて編み出した熟成製法により、新鮮なウニをミョウバン不使用で保存・冷凍した「幸福雲丹」は、「幸雲丹(ムラサキウニ)」と「福雲丹(バフンウニ)」がダブル受賞。
本来のウニの味わいが楽しめるよう塩分ひかえめとなっているのが、ありそうでなかなかありません。
生ウニと同じレベルで全国流通が可能になったのも高い評価を受けていました。
生パスタ「RuRu Rosso」タリオリーニ
生パスタ「RuRu Rosso」スパゲッティーニ(留萌市/フタバ製麵)
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留萌で誕生したパスタ用超強力小麦「ルルロッソ」の生パスタ。
以前、フェットチーネが北のハイグレード食品に選定され、今回は新たに2品目がダブル受賞。タリオリーニは幅3mmの平打ち麺でのど越しがよくシコシコした食感。スパゲティーニは細麺で弾力に富んだモチモチ感が特長です。
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試食で出されたのは、塩でゆでただけのものなのですが、充分に美味しい!
パスタソースがいらないほど、パスタそのものの味とコシが素晴らしく、小麦の香りもしてきて、お店でこのまま出せそうなパスタです。
スパゲティーニはペペロンチーノ、フェットチーネはバジルソースでシンプルに味わいたいなあと思いました。
北海道は小麦の生産量が日本一なのに、パスタといえばイタリア産、それがいつか北海道のパスタが当たり前になってほしいと感じていましたが、このパスタを食べてみて未来に希望が持てました。
びばい きなこ豆(美唄市/AguricoEN あぐりこ園)
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イタリア料理人の井澤さんは札幌出身、美唄市にある祖父母の大豆畑を継ぐ人がいないというので、一念発起して移住。農業を営むかたわら、美唄でイタリア料理店もオープンしたそうです。
料理人であることから、自然栽培で育てた大豆を煎り大豆ときな粉にしたものを使った豆菓子を考案したのが「びばい きなこ豆」。
きな粉の風味、大豆の味もしっかりしていて、いくらでも手が伸びる豆菓子です。
完熟ほおずり林檎ジュース(七飯町/まるみ園 宮田果樹園)
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「食事に合うジュースをつくりたい」と、全国的にも生産数が少なく希少な品種「ほおずり」を使ったリンゴジュース。
審査の際に取材したときは酸味が印象的だったのですが、二度目に飲んでみたら意外なほどまろやか。
驚いて聞いてみると「ワインと同じで、置くとだんだん味が出て来て、ジュースも追熟するんですよ」とのこと。
美味しいジュースとして、ノンアルのドリンクとして常備しておくといいですね。
ボトルもすてきなので、お店で出してもよさそうです。
フレッシュクリームチーズハスカップ&ハニー(滝上町/月のチーズ)
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東京から移住した月村さんがつくる、乳酸菌が生きたままのフレッシュチーズ。
滝上町(たきのうえちょう)産ハチミツと北海道産ハスカップソースとを混ぜ込んだ、甘酸っぱく口どけのいいひと品です。
前から知られているので、今どうして?と月村さんに聞いてみたところ、もともとチーズのコンクールやイベントには出ていなかったとのことですが、「北のハイグレード食品が、美味しいだけじゃなくて、味の背景やストーリーを厳しく審査すると聞いて」かえって出品してみようと思ったそうです。
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乳酸菌が生きたままのフレッシュチーズというのはなかなかなく、クラッカーにのせて出していただきました。
「受賞作だけでなく、ほかにもあるよ!という意味で持ってきました」と、りんごのフレッシュクリームチーズも。
お!それならと宮田果樹園の「完熟ほおずり林檎ジュース」を持ってきて、一緒に味わってみました♪
スマイルモモハム(当別町/浅野農場)
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循環型農業により自社産の小麦・コーン、いい水を与えてストレスを与えず健康に育てた豚「スマイルポーク」のハム。
モモ肉は脂肪が少なく、きめが細かい、あっさりとした味わいで、試食ではシンプルに焼いて、マリネにして、2種類で提供されましたがいずれも美味しい!
「塩分控えめでいて、かめばかむほど旨みが出る」と浅野先生もおっしゃっていました。
無塩せき ベーコン スライス(平取町/びらとりハム)
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昨年の「無添加 ロースハム スライス」につづき、今年も連続受賞。見ていただいてわかる通り、発色剤を使わず、保存料も添加物も不使用の、塩や香辛料だけで仕上げたベーコンです。
平取町にある二風谷アイヌ文化の継承を願い、アイヌ木工から出た木屑を燻材に一部使用、北海道産豚バラ肉の旨味が伝わる逸品です。
このまま味わって安心、塩味がほしければ軽く粒コショウをふったりマスタードを付けたり自分好みの味で楽しめますよ。
放牧豚のモンディオラ
ブーダン・エキゾチック(豊頃町/ELEZO社)
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こちらも「北海道生活」冬号でシャルキュトリーを紹介している、十勝・豊頃町で狩猟や畜産から肉づくりまで行なう食肉料理人集団「ELEZO」の2商品がダブル受賞。
すでにレストランのシェフや食通の方々には知られていますが、とうとう北のハイグレード食品に出て来たか!という思いでした。
「放牧豚のモンディオラ」は自社牧場で育てた放牧豚のサラミ。一般の約3倍となる1年半の歳月をかけ、スパイスに頼らず塩だけで旨みや肉の力づよさを引き出した、奥行きのある味わいです。
「ブーダン・エキゾチック」とはエゾシカを確かな技術で仕留め、最初に出る清らかな血液を無駄にすることなく、価値ある食品にしたいという思いから生まれた一品。
ふんわりしたテリーヌで、ワインと合わせてのデザート、ブランデー、葉巻とも合う、食通に絶賛されることまちがいなし。
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パッケージもかっこいいので、グルメな方のホームパーティに持っていってもいいかもしれません。
見た目も素晴らしいですが、食べてみれば、いかにしっかりとした肉・食づくりをしているのか、そしてこのレベルが一般に買えるというのがすごいと思わされます。
レストランにも肉やシャルキュトリーを卸しているというのも納得です。
「葡萄作りの匠 北島秀樹」ツヴァイゲルト(小樽市/北海道ワイン)
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GI北海道認証を取得、国内外のコンクールでも数多く受賞している、北島秀樹さんの畑から単独仕込みした赤ワイン。
もうとっくにハイグレード食品だったと思っていたのですが、赤ワインは初めて出品したのだそうです。
エレガントでいて、ジンギスカンなど北海道の肉料理にも合うスパイシーさもあり、酸味と渋味のバランスが取れたミディアムボディの味わいです。
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というわけで、試食で出された「放牧豚のモンディオラ」と「ブーダン・エキゾチック」でペアリングしてみたら、やっぱり合う!
こういう試食はひとつずついただくものなのですが、食品とお酒をアテるのは大事なことだと思っております。
雪の系譜 シャルドネ(岩見沢市/宝水ワイナリー)
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宝水ワイナリーの「雪の系譜 シャルドネ」も、すでに受賞していたと錯覚していたほど、以前からあるワイン。
岩見沢の風土を表す「雪」のような冷涼で凛とした味わい、と表現されていますが、ミネラル感がありシャルドネらしいと高評価でした。
私は試食に出ていた「幸福雲丹」と「桜ます」と「白櫻」をアテてみましたが、やはり魚介にぴったりでした♪
まるごとかみふらのプレミアムビール(上富良野町/かみふらの産業賑わい協議会)
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国内で唯一、ビールホップとビール大麦の両方を生産している上富良野町で生まれた、上富良野産原料100%のオールモルトビール。
上富良野産大麦「きたのほし」、上富良野産ホップ「フラノスペシャル」と「フラノビューティー」の2種を使用、飲んでみると苦みのインパクトに驚かされます。
これこそホップの苦み、そして、ホップの旨味がしっかりあります。
試食で出された「びらとりハム」のベーコンや「浅野農場」のハムにも合うし、ルルロッソのパスタにもちょうどよかったです。
酒粕あいす 郷宝(函館市/冨士冷菓)
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前にハイグレード食品を受賞した七飯町の地酒「郷宝(ごっほう)」のしぼりたての酒粕を使ったアイスクリーム。
新鮮な北海道産の牛乳、生クリーム、練乳、砂糖、酒粕と、すべて北海道産原料にこだわっていて、「ミルクと酒粕のバランスがいい」と評価されました。
北海道芽室町産 落花生ヴィーガンジェラート「Veganaice北海道 落花生味」(帯広市 /B'weeds)
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原料は北海道産100%、添加物を一切使用しない、豆乳を使った珍しいジェラート。
十勝・芽室町産「めむろピーナッツ」を使用、ピーナッツ特有の濃厚なコクと香りに驚かされます。
ヴィーガンというと意識高めの人のためのものに感じられますが、もろ落花生の味が濃厚に伝わる美味しいジェラートですよ。
落花生といえば千葉県が有名ですが、農家さんの高年齢化で畑がつづかないところもあるとのこと。そこで十勝では落花生もがんばってみよう!と生産しているのです。ぜひ、北海道・十勝のピーナッツも食べてみてくださいね。
やぎミルクの生ソフトクリームアイス(札幌市/弘安倉庫)
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希少で生産量の少ない、北海道のやぎのミルクを使用したアイスクリーム。
ソフトクリームサーバーを使っているので、アイスでも軽やかに、生クリームのような濃厚な味わいでいて、後味すっきり。
こちらの商品は札幌の地下街にある直営店「プティ・シェーヴルHOKKAIDO」というお店で食べたことがあるのですが、「やぎのミルクって……」と敬遠される方にこそ美味しい!と概念が変わると思います。
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以上、18点が今回の「北のハイグレード食品2025」に選ばれました。商品の一覧は、3月3日に全国発売する「北海道生活」春号で掲載されますので、どうぞお楽しみに。
選ばれた商品は、全国の「北海道どさんこプラザ」でも発売されていくそうなので、ぜひ買ってみてくださいね!
(「北海道生活」編集長)