2023/12/30 10:20
北海道生活
北海道 郷土料理 歴史のレシピ|とりめし 美唄市民のソウルフード
北海道の開拓が始まって150年以上。この歴史を支えてきた北海道の各地域の「歴史のレシピ“郷土料理”」。今回は、美唄市(びばいし)の「とりめし」。開拓期のご馳走であり、「美唄焼き鳥」と並ぶまちの名物。中村地区で受け継がれ、郷土の味として親しまれている。
【美唄市】とりめし
美唄市(びばいし)の石狩川沿いにある75世帯の農村集落、中村地区に100年以上前から受け継がれている「とりめし」。この地区は明治27年より開拓、農場主の中村豊次郎が小作人一戸につき鶏のつがいを与えた。開拓民たちは粟やきびを主食とし、石狩川の氾濫や豪雪に苦しみながら開墾に明け暮れた。やがて大正時代に入り、米がとれるようになる。昔は近くに店がなく、客人が来ると鶏一羽をさばいてもてなしたのが、とりめしの始まりだ。
とりめしは各家庭でつくられていた料理だったが、昭和49年に中村地区の一軒の農家が「しらかば茶屋」を開店、メニューとして提供するようになる。かつて美唄が一大炭鉱地となったころの味つけは炭鉱マン向けに塩がきつすぎてモツ臭いことから、モツを抜いて誰もが食べやすくした。平成10年には、中村地区の農家の女性たちが「なかむらえぷろん倶楽部」を結成、伝統食としてのとりめしの普及に乗り出した。こちらは鶏の精肉とモツを炒めて、米と一緒に炊き込む昔ながらのやり方。美唄市内のスーパーや催事などで販売している。美唄焼き鳥と並ぶ名物のとりめしは、開拓期のご馳走であり、美唄市民のソウルフードとしてまちにしっかり根づいている。
とりめしのレシピ(4人分)
[ 材料 ]
・鶏もも肉(皮つき) 200g、鶏ガラ
・玉ねぎ 1個(煮込み用)、1/2個(混ぜ込み用スライス)
・米 2合
・塩、砂糖、しょうゆ、こしょう、旨味調味料 適量
・酒 少々
【1】
鶏もも肉の皮、鶏ガラと玉ねぎを7~8時間煮込み、こして翌日まで冷ましておく(写真では丸鶏を使用)
【2】
煮込んで冷ましておいた【1】を再加熱し、角切りにした鶏肉を入れ、調味料で味付け。鶏肉と汁を分けておく
【3】
分けておいた【2】の汁で米を炊き、蒸す段階で【2】の鶏肉とスライス玉ねぎを混ぜ込む
【4】
きりふきなどで日本酒をふりかけ臭みを消し、20分ほど経ったら混ぜて完成