2025/02/08 13:00
北海道生活
北海道 バラの育て方|2月 「休眠挿し」で行なう挿し木の方法
北海道でガーデニングを楽しむための、バラや宿根草などの植物、病害虫についてなど季節のお手入れ・管理をプロの皆さんが伝授。ここでは、「バラ」についてお伝えします。
文・写真:曽根 浩太さん(岩見沢市・いわみざわ公園バラ園)
休眠挿しでバラを育てる、挿し木の方法・手順
前回に続き、「休眠挿し」の方法について解説していきたいと思います。挿し穂を冷蔵庫に保管するところまでお伝えしましたが、冷蔵庫から出したあとの作業についてです。

枝を採種し、冷蔵庫に保管しておいた挿し穂
休眠挿しに使う挿し穂(穂木)を冷蔵保存するのは、枝を休眠打破させるためになります。ですので、雪がない地域では3月に枝を採取して、そのまま次の手順で挿し木を行なっても大丈夫です。
ハイブリッド ルゴサやオールドローズは休眠挿しで発根しやすい傾向にあります。
●挿し木の手順
1. 挿し木をする前準備として、バットやポットに平らになるように赤玉土(小粒)を詰め、前日に水をたっぷりと染み込ませておきます。
2. およそ2カ月間低温にあてた穂木を、まずは4節ずつに分けます。上から数えて4節目の芽の下を切り出しナイフで斜めにカットし、裏返して反対側を今度は少し角度を緩めてカットすると切り口が楔形(くさびがた)になり、水の吸いがよくなります。

4節でカットした穂木。赤玉土に挿す方の穂先を楔形(くさびがた)にカットする
3. カットした穂木は切り口を揃えて新聞紙で巻きます。この時、切り口が少し新聞紙から出るようにしてください。バケツに水を張り、2時間以上水を吸わせます。

先を揃えて新聞紙で巻いていく。ラベルも一緒に巻き、品種が分かるようにするとよい

巻いた新聞紙の半分くらいまで水を入れて浸けるのが望ましい
4. 穂木に水を吸わせたら、1の赤玉土をバットなどに入れ、穂木を挿していきます。切り口に発根促進剤をつけ、挿す箇所にまず割り箸などで穴をあけます。あけた穴に穂木の上から3節目の芽が埋まるか埋まらないかくらいまで挿します。この時、若干斜めにすると発根がよいです。

枝がぶつからない間隔で斜めに挿していく
5. すべて挿し終えたら水をたっぷりと与えて、冷所に保管します。温床マットがあれば使用し、頭寒足熱にするとよいです。2週間くらいは上に新聞紙をかけ、乾いたら霧吹きなどで濡らし、湿度を保つようにしましょう。
品種にもよりますが、発根するまでに2カ月程度かかります。発根を確かめるには、軽く上に引っ張り抵抗があるかないかを調べます。この時、抜けてしまうことのないよう十分に注意を! 発根していたらビニールポットなどにポット上げし、管理を続けます。
鉢で育てる場合は、このままポット内に根が回るのを待ち、ポットのサイズを徐々に大きくしていきましょう。地植えに関しては、ポット上げしたばかりの苗は越冬が厳しいので、2年目までは鉢で大きくするか、地植えするならば秋に掘り上げて、冬期間はポットで養生させた方が無難です。
時間や手間も必要ですが、挿し木で育てると愛着が湧いたり、また違った達成感などを味わうことができますよ。
プロフィール
曽根 浩太
酪農学園大学卒業後、地方公務員を経て「いわみざわ公園バラ園」へ勤務。北海道のバラ栽培の専門家・工藤敏博氏(イコロの森)に師事し、バラ園の管理・栽培にあたる。今後の北海道のバラ栽培における専門家の一人。
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