2025/01/15 11:30
北海道生活
ポタジェ|優しい味わいのボルシチとビーツの栽培
今回は、「奇跡の野菜」「食べる血液」という呼ばれるほど栄養価が高いことで知られる“ビーツ”を使った「ボルシチ」のつくり方をお伝え。
このコーナーでは、季節ごとの野菜やハーブ、花や果樹など、相性のよいコンパニオンプランツを組み合わせながら育てて楽しむ“ポタジェのある暮らし”を紹介していきます。お料理や花のクラフトも。
文・写真:藤井 純子さん(ピュア・ポタジェ代表)
今回は、「奇跡の野菜」「食べる血液」という呼び名がつくほど栄養価が高いことで知られる“ビーツ”を使った「ボルシチ」のつくり方をお伝えしたいと思います。野菜がたっぷり入ったスープは風邪をひいて食欲がないときや、食べ過ぎてしまったときなどにもおすすめです。後半ではビーツの栽培もご紹介します。
紀元前から食べられていたといわれるビーツ
世界3大スープといわれるボルシチはウクライナの郷土料理で、ビーツを使った赤みのある色合いが特徴のスープです。ボルシチに欠かせないビーツには、カリウムや鉄分、DNAの合成や細胞分裂に関わる葉酸、強い抗酸化作用を持つポリフェノールの一種のベタシアニンを多く含んでいるのが特徴です。
ビーツは茹でるとせっかくの栄養分が流出してしまうので、今回のようなスープにするか、皮ごと蒸して利用するのがおすすめ。また、ビーツは土のような香りがしますが、じっくりと加熱することで独特の香りが和らぎます。
Recipe ボルシチ
[ 材料 ] ※4人分
・牛肉(カレー、シチュー用) 200g
・長ネギ 5cm
・ビーツ 小1個
・タマネギ 1/2個
・ニンジン 100g
・ジャガイモ 中1個
・トマト 大玉1個(今回は冷凍トマトを使用)
・キャベツ 50g
・ニンニク 1片
・ローリエ 1枚
・水 500ml
・塩 小さじ1
・コショウ 少々
・サラダ油 小さじ1
・酢、砂糖 小さじ1
コンソメなどの顆粒だしを入れなくても、旨味のあるスープに仕上がる
[ つくり方 ]
【1】
牛肉に塩・コショウ(分量外)をふり下味をつけます。圧力鍋に牛肉と長ネギ、水300mlを入れフタをして火にかけ、1時間ほど肉がやわらかくなるまで煮込みましょう。圧力鍋を使用する場合は約15分加圧し、圧が下がるまでそのままにしておきます。
塩・コショウで下味をつける
ネギは臭み消しとして入れる
【2】
牛肉を煮ている間に野菜の用意をします。まず、ビーツ、タマネギ、ニンジン、ジャガイモ、キャベツを太めの千切りにします。ニンニクはみじん切りに。トマトは皮を剥いてザク切りにしておきます。ビーツを切る際は、まな板に色素がつかないように牛乳パックやクッキングシートを敷くとよいですよ!
野菜は太めの千切りにしておく
【3】
大きめのフライパンに油を敷き、ニンニクを炒めてからビーツを加えて炒めます。油が馴染んだらニンジン、ジャガイモ、タマネギの順で加えて炒め、その後5分ほど炒めてから火を止め、フタをして余熱で火を通します。
火の通りに時間がかかるものから炒める
【4】
【1】の鍋のフタを開け、長ネギを取り除き、アクを取り除きます。この鍋に【3】で炒めたの野菜と、キャベツ、トマト、酢と砂糖、ローリエ、水200mlを加えてサッと混ぜ、フタをして30分ほど煮込みます。圧力鍋の場合は5分加圧し、圧が下がるまでそのままフタをしておきます。
圧力鍋は加熱時間を短時間にできるのできるので省エネ!
【5】
できあがったら、うつわに盛ってサワークリームとパセリをのせて完成です!
トマトや酢の酸味が隠し味に
今回のレシピには、コンソメなどの顆粒だしを使用していませんが、牛肉と野菜を使うことで旨味のあるスープに仕上がります。ほんのり甘みのある優しい味わいは、食欲がないときや食べ過ぎてしまったときにおすすめですよ。
ビーツの特徴
ビーツはヒユ科フダンソウ属の根菜で、地中海沿岸原産といわれています。日本には江戸時代に渡来したといわれています。
写真の品種はデトロイト・ダークレッド
カブのような見た目ですが、砂糖の原料となる「テンサイ(甜菜)」の仲間です。また、スイスチャード(フダンソウ)やホウレンソウもビーツの仲間です。
ビーツ
スイスチャード(フダンソウ)の葉と、ビーツの葉はよく似ている
ビーツは濃い赤色が一般的ですが、白色や黄色、オレンジ色、断面が渦巻き状になるものなどさまざまな品種があります。珍しい品種はネットなどで購入すると楽しみが広がりますね。
ビーツの栽培
① 日当たりがよく、水はけのよい場所に直まきします。ビーツのタネは殻がかたいため、あらかじめ一昼夜 水に浸けてから土にまきましょう。株間10cm程度で、1カ所に3粒ずつまきます。北海道などの寒冷地では、5月以降にタネをまいて秋に収穫します。ビーツは冷涼な気候を好むため、暖地では9月頃にタネまきして12月頃に収穫。栽培期間は70日前後が目安です。
ビーツのタネはゴツゴツとした形で、一般的なタネよりも大きい
② 本葉が3枚くらいになったら草勢がよいものを残し、1カ所に1本になるように間引きして土寄せをします。その後、1カ月に一度程度は土寄せをしながら育てます。間引きしたものは、ベビーリーフとして食べることができますよ。
③ 根茎が5~7cmほどに肥大したら収穫します。そのまま育てると12㎝以上に大きくなりますが、食味が落ちるため小さめで収穫しましょう。収穫後は葉を切り落とし、新聞紙に包んでからビニール袋に入れ、冷蔵庫の野菜室に入れておくと、3カ月ほど保存できます。
保存しておけば、いつでも料理に使用できますね。ビーツのピクスルや、ほかの野菜と合わせたポタージュなどもおすすめです。
蒸したビーツを使ってピクルスに!
ビーツとジャガイモ、タマネギのポタージュ
「奇跡の野菜」「飲む血液」と呼ばれるほど栄養価が高いビーツ。小さなスペースでも栽培することができますので、ぜひ菜園の片隅で育ててみてはいかがでしょうか。
プロフィール
藤井 純子
「Pure Potager(ピュア ポタジェ)」代表。ポタジェ・アドバイザーとして道新文化センター札幌校などのセミナー講師のほか、新聞・雑誌にて執筆活動を行なう。また、ポタジェの魅力を一冊にまとめた「Green Finger ポタジェ~小さな庭が与えてくれる恵みと幸せ~」を執筆。「コーチャンフォーミュンヘン大橋店」で取り扱いのほか、HPに掲載のネットショップを利用。またはAmazonでも販売、「ポタジェ」で検索。
HP ピュア・ポタジェ
Instagram pure.potager
YouTube ポタジェ『心と身体を癒す庭へようこそ』 @lifewithpotager401