2025/01/06 15:30
北海道生活
北海道 宿根草の育て方|1月 安心して冬越し!対策と鉢植え管理
北海道のバラや宿根草、芝生や樹木、病害虫についてなど季節のお手入れ・管理をプロの皆さんが伝授。ここでは、「宿根草・草花」についてお伝えします。
文・写真:高林 初さん(苫小牧市・観光庭園 イコロの森)
できるだけ安心して冬を越す!地植えの対策と鉢植えの管理
北海道に、本格的な冬がやってきました。
すでに宿根草は休眠期に入り、静かに春を待つことになります。北海道の冬は厳しいですが、雪が積もれば保温効果があり、土中の温度が0度程度で安定的に保たれるので、安心して越冬することができます。まさに雪の恵みです。積雪前に刈り取りと掃除を済ませていれば、ひとまずガーデナーの外での作業もお休みになります。
しかし近年は気候変動の影響か、雪が極端に多かったり、少なかったり、遅かったり、一度積もっても冬の間に溶けてしまったりなど、予測できない事態になることも見られるようになりました。
今回は、宿根草が無事に越冬できるよう、地植えの株の対策と鉢植えの冬越し管理をまとめました。
「イコロの森」(苫小牧市)は積雪が多くないので、保温効果があまり期待できない。実際の気温よりも植物には厳しい環境
●マルチングは、いざというとき安心
耐寒性に不安のある種類には、マルチングを施しておくといざという時には安心です。腐葉土やバーク堆肥、ウッドチップなどを株周りにたっぷりと被せて防寒対策を行なうとよいでしょう。2月初旬までは気温がぐっと下がることがあり、積雪がなければ一気に土壌の温度が下がって凍ってしまい、宿根草の根が傷むこともありますので注意が必要です。
マルチングは株の大きさよりも2周りくらい大きく、15㎝程度の厚みで被せると安心でしょう。
寒さ・凍害対策のマルチング。たっぷりと15cm程度被せる
●鉢植えも適切な低温下で休眠が必要!
鉢植えの宿根草も、今の時期は休眠に入っています。でも、気温の高いところで管理するとしっかりと休眠できず、健全に生育が望めなかったり、翌シーズンに花を咲かせないこともありますので、自然の冬に近い状態で管理することが理想です。
積雪が多い場所では、雪の下で越冬させるのがよいでしょう。ただし、素焼き鉢などの吸水性の高い植木鉢は凍結で割れてしまう可能性があるので、注意が必要です。
積雪の少ないエリアでは、ガレージや風除室などで管理することができます。それらの場所は、夜間に温度が下がりすぎてしまう場合があるので、シートなどで防寒する必要があります。一方、天気がよいと風除室は日中は温度が上がりすぎてしまう時があるので、換気をしたり、寒冷紗を使うなどして、なるべく温度の変化を最小限に抑える工夫が必要です。また、このような場所で管理する場合、休眠中であっても根は呼吸をしています。土が十分に乾いたときには適宜潅水しましょう。
イコロの森では、ボイラーを使わない無加温のビニールハウスで越冬。夜間の低温に備えてシートで保温している
鉢植えや株分けした株をそのまま置いている場合、日中の室温が上がりすぎるようなら、寒冷紗で日陰をつくってあげる
よい場所が見つかれば、工夫次第で冬の間に株分けや鉢緩め(一回り大きな鉢に鉢替え)などの作業も可能になります。
冬越しはもちろん、このような作業を行なう場合は、管理する場所の環境を知ることも大事なので、イコロの森では温度計で日々の最高気温と最低気温を記録しています。これを蓄積して冬場の管理に生かします。環境を知ることは、育てている植物の性質を知ることにもつながります。
植物の管理には欠かせない温度計。最高気温と最低気温を記録してくれる
地植えも、鉢植えの場合も、冬越しさせる場所の環境に合わせた対応を行なって、大切な植物が無事に春を迎えられるといいですね。
プロフィール
高林 初
英国Writtle College(リトルカレッジ)にてガーデンデザインを学ぶ。現在は、苫小牧市にある「イコロの森」の勤務、ヘッドガーデナー 。設計からメンテナンスまで庭づくりの幅広い経験をもとに、宿根草ガーデンの管理・栽培等を担当。
Instagram ikor_no_mori
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