2023/11/24 11:30
北海道生活
北海道 郷土料理 歴史のレシピ|ニシン漬 開拓時代から伝わる漬物
北海道の開拓が始まって150年以上。この歴史を支えてきた北海道の各地域の「歴史のレシピ“郷土料理”」。今回は、留萌市(るもいし)の「ニシン漬(にしんづけ)」。冬に合わせて漬け込む、北海道の開拓時代から伝わる漬物。
【留萌市】ニシン漬(にしんづけ)
北海道の開拓時代から伝わる漬物「ニシン漬」は、秋に採れた野菜を貯蔵し、水揚げされたニシンを干物にし、冬に合わせて漬け込んだもの。厳しく吹きつける寒風は、大根やニシンを固く干してくれた。また、10kgほどもある「札幌大球」というキャベツもでき、各家庭では長い冬の蓄えにたっぷりのニシン漬をつくることができた。
しかし時は流れ、食べるものに困らなくなり、大家族で山盛りのニシン漬を食べる習慣もうすれていき、ニシン漬をつくる家はごくわずかになってしまった。そして「札幌大球」も市場に出回ることがほとんどなくなった。留萌市(るもいし)から、昔ながらのニシン漬がすたれていく様子に危機感を感じる人もいた。
そこで、伝統のニシン漬を製造して販売しようと一軒の青果店が決意。「亡くなった祖母がニシン漬の名人だった」という。15年もかけて、理想とする製法と味を生み出した。
ニシン漬の作り方はシンプルだ。大根を干すか塩漬けして、ニシンの干物(身欠きニシン)を米のとぎ汁で戻せば、あとはほかの材料と漬け込むだけ。ぬか漬のように中をかきまわすこともしない。冷凍すれば、長く保存することもできる。
ニシン漬のレシピ
[ 材料 ]約10kg分(20Lの樽使用の場合)
・キャベツ 7kg(通常サイズ7玉程度)
・干し大根(または塩漬け大根) 3kg(3本程度)
・塩、米麹、ザラメ 各260g(キャベツ・大根の総分量に対し2.6%)
・人参 1~2本
・身欠きニシン(本乾) 500g
・鷹の爪 適量
※量的に多すぎる場合は、キャベツ2個・大根1本として、塩・米麹・ザラメ各大さじ3杯弱を目安に
※塩漬け大根の場合は、塩のみキャベツの分量に対し2.6%
【1】
キャベツは芯を取って大きめにザク切りにし、バラバラにせず、水を通すように洗う
【2】
大根は外に干した方が甘みを増すが、干せない場合は、塩漬けにして水分が抜けたものを乱切りにする
【3】
米のとぎ汁で1~2日戻しておいた身欠きニシンを一口大に切る。ウロコのほとんどは包丁で取り除くが、最後の身の手前は少しだけ残しておく
【4】
樽にキャベツ、大根、身欠きニシン、人参、調味料の順に詰めて重しをする。初日は常温に置いて発酵を促し、翌日から冷蔵庫に保存。水が出てきたら少しずつ重しを軽くしていくとよい。3週間ほどで食べられるようになる
■ニシン漁で栄えた留萌。北海道では明治の終わりからニシンが豊富に獲れ、留萌沿岸から小樽・余市にかけてはニシン御殿が建つほど隆盛をきわめた。