2024/12/17 00:40
「北海道生活」編集長
「札幌芸術の森」で、大人のクリスマスディナー。
札幌の中心部から車で約30分のところにある「札幌芸術の森」。
その中に、坂本龍一を始め名だたるミュージシャンがレコーディングしてきたことで知られる「芸森スタジオ」があります。
スタジオには宿泊施設「Cloud Lodge(クラウド・ロッジ)」があり、一般の方でも宿泊ができるようになっています。
ここでは月1回、音楽や食、アートなどを組み合わせたイベント「Zero Cross」を開催。
先日は12月のクリスマスイベントとして、ここ最近ご縁のあった三人のシェフがコラボディナーをするというので、行ってきました!
やってきました、芸森スタジオ&クラウド・ロッジ。
雪に閉ざされた真っ白な森へ、といっても真っ暗な夜に車で走ること30分、あたたかな光の建物にホッとしました。
本日のイベントは、お昼過ぎからラウンジでお酒や飲み物、おつまみなどを楽しむ「アペロ」、畠山美由紀さん・小池龍平さんによる「ライブ」、今回参加させていただいた「ディナー」、そして余韻に浸る「バータイム」の4部構成で、全部参加もよし、一部参加もよし、というゆったりしたプログラムです。
到着すると、ホールでは暖かな暖炉、クリスマスの音楽、各テーブルにはロウソクの灯がともされ、まさに大人のクリスマスといった雰囲気でした。
食事が始まるまで、札幌「bar a vin lune」のソムリエ、三上朋子さんセレクトのワイン、日本酒やクラフトビール、藻岩山のふもとにある「斎藤珈琲」の焙煎コーヒー、など好みの飲み物を頼んで過ごします。
私は秋号で取材させていただいた「ドメーヌ・ブレス」の“musubi”という白ワインをいただきました。
テーブルで語らいつつ飲んでいると、いよいよディナーがスタート。
3人のシェフと、パティシエ、ソムリエによる食と音楽のコラボディナーです。
1.澤井シェフ「冬備へ」
スープはきのことヒノキという、森の香りがするコンソメ。
ひよこ豆と塩鮭の小さなコロッケ。
サンマの赤ワイン干しにピリッとする葉をアクセントにしたクレープ。
ストラッチャテッラというチーズに乾燥させたちぢみほうれん草をのせたタルト。
ここでシェフの説明がありまして、これが取材だったら真剣にメモを取り、詳しくお届けするはずが、完全オフのプライベートで来てしまったため、記憶を頼りに書いてます……ごめんなさい。
澤井克征シェフは、東京からヨーロッパで腕を磨き、北海道にほれこんで移住、ただいまレストランを準備中です。
9月の映画のイベントで初めてお会いして、3カ月もたたないうちに再会できました。
2.澤井シェフ&塚田シェフ 前菜3品
澤井シェフと札幌・円山の「noya」塚田宏幸シェフによる合作の前菜は、お刺身がテーマだったそうです。
真ん中と左は澤井シェフのカツオを使った2品で、左の根セロリは刺身のつまをイメージ。クリームを付けたり、食感や味覚が刺激されます。
右は塚田シェフのサッチェプ(アイヌ語で鮭の燻製)を山ブドウで漬けた大根、米麹、を口の中に入れると、いわゆる飯寿司(いずし)という北海道の郷土料理になってしまうという料理。
3.塚田シェフ「初冬の山の香り」
塚田シェフはかれこれ12年以上の付き合いになりますが、今年ようやく自身の店「noya」をオープン、10月にお祝いがてら食べに行き、これまでの道産食材を扱ってきた経験やアイヌ料理の知識などが活かされた料理を楽しみました。
この料理も、塚田シェフらしい!と膝を打った一品。食材としてなかなか認められてこなかった菊芋や、蕎麦の実、むかご、天然なめこ、をふんわりと蒸して、エゾシカのコンソメと味わうと、しみじみやさしい美味しさだなあと思います。
そして塚田シェフのパートナー、亜紗子さんはパン職人で、「noya」の隣りにパン店「ASAO」をオープン。
週2回しかお店は開かないので、すでにパン好きに大注目のお店です。
本日は特別にディナーのパンをいただきました。
ワインのお代わりは、「ドメーヌタカヒコ」のロゼにしてみました。
4.髙橋シェフ「いくらのブーダンブラン」
フランスではクリスマスに食べるという白いふわふわなソーセージ、ブーダンブラン。
「イクラのブーダンブラン?」と二度見したのは、せたな町でシャルキュトリー工房「サッカムセタナイ」を営む髙橋広大シェフのメニュー。
フランス料理のシェフから、養豚業を経て、シャルキュトリー職人へ。一度お会いしたいなあと思っている方のお一人で、「北海道生活」冬号のおとりよせ特集では「ドライソーセージ」を紹介させていただきました。
ブーダンブランにナイフを入れると、本当にイクラが入っていました!
せたな町ではエビやイカ、ウニなどが獲れますが、鮭も獲れ、イクラもせたな町産なんだそうです。
この「いくらソーセージ」もおとりよせ可能だそうですので、「北海道生活」で掲載しているドライソーセージや各種シャルキュトリー、そしてパートナーの友里菜さんが手がけるケーキとともに、おとりよせしてみてくださいね。
5.塚田シェフ「魚のシュークルト」
お魚のメインは、なんと鯛。
塚田シェフが道外の食材を使ったのかな?と不思議に思ったところ、温暖化でとうとう鯛が北海道でも揚がるようになったそうです!勉強になります。
皮目をパリッと焼いた北海道の鯛と、北海道ならではの巨大キャベツ「札幌大球」のシュークルート(ザワークラウト)、ゆり根が口の中でやさしく調和します。
6.澤井シェフ「インゲン豆カレー」
そろそろおなかも満足してきたころ、メニュー名を見てカレーが食べきれるかなと思っていたら、意外なひと皿が現れました。(澤井シェフの料理で、意外じゃないものはないかもしれない)
仔羊のローストにマッシュポテト、細かくカットされた野菜、ラッキョウに梨、その下にカレーソースが敷いてあって、混ぜながら口に入れるとサクサク食べられて美味しい!
7.髙橋シェフ「ベーコンとゴボウ飯」
カレーを食べている途中で、澤井シェフから「次のごはんに少し残しておいてください」といわれたところで、窯で炊き上げた高橋シェフのベーコンとゴボウのごはんと赤だしの味噌汁が出てきました。
先ほどのカレーと野菜を混ぜたものをごはんにかけてみると、さらにおいしい!
どれを食べても美味しいのですが、食べものの香り、周りではにぎやかな会話、そしてDJさんがかけるレコードのクリスマス音楽が食事をどんどん盛り上げていきます。
会場が一体となる、こんなクリスマスディナーもあるのだなと幸せな心地になれました。
8.髙橋友里菜さんの「クリスマスデザート」
大人のクリスマスディナーは、軽やかなデザートでしめくくり。
髙橋広大シェフとともに「サッカムセタナイ」を営む菓子職人、髙橋友里菜さんのお菓子は、まさにクリスマスを祝い、静かな冬の夜を感じさせるものでした。
ホワイトチョコレートのクリームに、サクサクの生地、その上には喜茂別町「チーズ工房タカラ」のチーズが雪のようにふんわりとまとっています。
小菓子はトマトのゼリーとバニラのマカロン。
髙橋友里菜さんは浜松出身で、フランスで修業を積み、ミシェルブラス洞爺でパティシエになったという経歴の持ち主。
こうして札幌にいて、それぞれのシェフの料理やパティシエのデザートを楽しめる機会に感謝です。
芸森スタジオ&クラウド・ロッジでは、今後も定期的にイベント「Zero Cross」を開催しているそうなので、チェックしてみてくださいね。
(「北海道生活」編集長)